MLG Vegasに続きIEM Gyeonggiでもマップドラフトが廃止され、あらかじめ指定されたマップで戦う固定方式が採用されることが決まりました。
Official update on @PlayOverwatch #IEM Gyeonggi Invitational map pool: https://t.co/zWhjpjNvMc pic.twitter.com/xhvynpovxm
— Intel®ExtremeMasters (@IEM) 2016年12月10日
当初、IEM Gyeonggiではマップドラフトが採用されることになっていましたが、対戦カードとマッププールが発表された1時間後に固定式への変更が明らかにされました。
"Rulings 9.1.1, 9.1.4, and 9.1.5 in the original IEM Season 11 rulebook incorrectly stipulated an Overwatch map pool and map selection process that wasn’t in compliance with Blizzard’s tournament specifications. The process has since been adjusted, and the revised map pool for the Overwatch IEM Gyeonggi Invitational is as follows:"
ルール変更に関するアナウンスメントですが、要約すると、オーバーウォッチの大会規定にそぐわないため、規定に合わせるようマップ選択プロセスを変更したということです。当初のルール発表後にブリザード側から固定式を採用するよう通達があったものと思われます。
IEM Gyeonggiで使用されるマッププールは以下の9マップです:
- Hanamura
- Volskaya Industries
- Watchpoint: Gibraltar
- Route 66
- Lijiang Tower
- Ilios
- Numbani
- Hollywood
- Eichenwalde
そして、各グループで使用されるマップ:
自分は正直なところこれまでトーナメントを観戦する際、マップドラフトの存在についてあまり気にすることはありませんでしたが、ここでマップドラフトではなく、固定マップ式を採用することのなにが問題なのかを簡単にまとめてみたいと思います。
- チームが時間をかけて練習してきたマップをプレーできるか否かは主催者側の恣意的な判断に委ねられる。
- 強豪チームはタイトなスケジュールに挟まれているため、全てのマップを満遍なく練習することは現実的ではない。
- MLG Vegasでは一度マッププールが発表された後にプールが変更されどのチームも困惑している(by Mendokusaii選手)
- Hanamuraのような2CPマップは”Unfair”な結果になりやすく、プロチームの多くが2CPや一部のKotH(特にIlios)をマップドラフトの過程でBanしており、これらのマップを強制することはコンペティティブな要素が損なわれることに繋がり、観ている側の興味も損なわれることになる。
- CS:GOではマップドラフトも戦術のひとつとして重要視されており、相手が得意なマップをBANしたり、自チームの持ち味を活かしたりと、それらの駆け引きも試合を観る側の楽しみの一つとなっている。
尚、今のところプロシーンで最も評判が良いとされているマップドラフト方式がDreamHackでのドラフトで、以下のような手順でフェーズが進んでいきます。
For example Dreamhack used the following draft format for a bo3:
- Ban – Ban (each team bans once)
- Ban – Ban
- Pick – Pick (Each team picks one map)
- Ban – Ban
- Ban – Ban
- Pick – Pick
このように、BO3マッチでも最低一回はマップ選択権があり、タイブレークまでもつれれば双方のチームにトータル2回の選択権が与えられることになります。Banフェーズでは相手チームが得意と思われるマップを消したり、自チームが苦手なマップを消していくのでそこで駆け引きやチームのリサーチ能力が問われるわけですが、固定式ではこういったシーンを見ることはできません。
さらにIEM Gyeonggiではトーナメントにシード枠があるため、1ラウンドから戦うチームは準決勝も含めると9マップ全てを練習する必要がある一方で、シード枠のチームは7つで済むという不公平な問題も生じます。
固定マップ式がプロシーンやコミュニティから激しい反発を受ける一方で、Misfitsのような大幅にロスターを変更した「新生」チームにとっては、練習すべきマップが限定されることで、短期的には有利な面もあります。
I hope Map vetos is ATLEAST considered in future even tho not much against predetermined BUT MUCH prefer map vetos
— TviQaRN (@MisfitsTviQuE) 2016年12月10日
ただ、Misfitsに新加入したTivQ選手でさえもマップBANできるドラフト方式のほうがずっと好ましいとコメントしています。
最後にシーズン2でドラフト方式が採用されたトーナメントで実際にマッチに使われたマップとMLG Vegasで指定されたマップの比較です。
これを見るとあえてブリザードはプロシーンから嫌われているマップを採用してきたと思えなくもないですね。