[オーバーウォッチリーグ] OWLと司法省の和解交渉が決裂―サラリーキャップ制度と選手組合を巡る争い

Overwatch League

米司法省から反トラスト法(独禁法)違反で調査受けているオーバーウォッチリーグですが、同リーグを所有するActivision Blizzard(ABK)と司法省の和解交渉が決裂したと報じられています。

Activision Blizzard Settlement With US Department Of Justice In Esports Antitrust Case Breaks Down
Settlement negotiations broke down after Activision reportedly "refused to make certain concessions."

リポートによると、OWLは以前から競技の公平性を保つとの名目で、ソフトサラリーキャップ制度1を採用しており、2020年時点ではサラリーキャップ160万ドルを超過する度に1ドルをリーグ側に支払う必要があったとのこと。補強総額170万ドルであれば、+10万ドルの贅沢税が発生します。

同様のシステムはNBAやMLBなど他のプロスポーツでも採用されていますが、これらのプロリーグにはサラリーキャップを高くするようリーグ側と交渉を行う選手組合が存在する一方で、OWLには同様の機能を有する組織が存在しないために、サラリーキャップが発言権のない選手の利益を著しく損なうものとして昨夏あたりから司法省が調査に乗り出していました。

昨秋にはこのサラリーキャップ制度が廃止されたとのリポートもありましたが、司法省がマイクロソフトによる買収成立後のサラリーキャップ規定変更の維持を含む譲歩案を提示したところ、ABK側が拒否したことから交渉が決裂したとのこと。

この問題はABKによる従業員の組合潰しとも関連した問題と見られており、同社は選手組合結成を否認する一方でその代案としてサラリーキャップを廃止したものの、司法省の訴えを取り下げるには十分ではなかったものと見られています。

脚注:

  1. 各チームは補強資金が一定額を超過した場合にリーグに贅沢税を支払う。
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