現役オーバーウォッチプロ300名以上と元プロを含めた総勢400名の感度設定を記録してグラフ化したポストが高い評価を得ていたので紹介したいと思います。
[PC] I looked at the sensitivities of 300+ current and former pros so you don’t have to — A Study of OW sensitivities (with graphs and data!)
byu/MaybeMabu inOverwatchUniversity
ポスト自体かなりの分量があるので、わかりやすく簡潔にするために、必要と思われる部分だけまとめていますが、エイム向上のための一般理論や序章については、データと直接関係ないので省略しています。また、ここで扱っているデータはLiquipediaのプロフィールを参照しているとのこと。
ロールの分類:
データはOW1時代のプロが多いためロールの分類は6v6を参照している(ドゥームはタンク扱い)
各ロールはプロシーンの定義に沿って、メインタンク、オフタンク、ヒットスキャン、フレックスDPS、メインサポート、フレックス・サポートのサブロールに分類
DPSについては、議論の余地はあるかと思うが、交戦距離や感度の傾向を考慮してプロジェクタイル(ハンゾーやメイ)をヒットスキャンと同じカテゴリとして分類し(ほぼメインDPSと同義)、トレーサーやゲンジのように感度が高い傾向にあるヒーローをよく使う場合はスペシャリスト/フレックスDPSとして同じ枠で扱っている
補足:
ここで言う感度は基本的にeDPI(DPI x ゲーム内センシ)を指している
感度の範囲:
チャートの上下のヒゲは感度の上限下限、実体(ボックス)は中間50%(感度の上限下限25%を排除した残りの50%)を示す
これは、ほとんどのプロプレイヤーが実体の範囲内の感度でプレーしていることを示している
※メインタンクならeDPI 約4800~8000の範囲
エイムに問題を抱えていて、自分の感度がこれらの実体の範囲から大きく離れている(±1標準偏差以上)場合は感度変更を検討したほうがよいかもしれない
変更が問題解決を保証するものではないが、極端な感度でプレーしながら自分のフィジカルに不満を抱くプレイヤーが多すぎると感じる
感度の分布:
各ロールをサブロールのカテゴリに分け、それぞれの感度の分布を示したグラフ(縦軸は人数)
DPIの使用率を示したグラフ
Role | Mean eDPI | Mean @ 800 DPI | Median eDPI | Median at 800 DPI | Mode eDPI | Mode @ 800 DPI | Standard Deviation in eDPI | StDev at 800 DPI |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Main Tank | 6812 | 8.51 | 5584 | 6.98 | 4800 | 6 | 4006 | 5.0 |
Off Tank | 5369 | 6.71 | 4800 | 6 | 4800 | 6 | 2762 | 3.5 |
Hitscan and Projectile | 3948 | 4.85 | 3848 | 4.94 | 4000 | 5 | 2884 | 1.2 |
Specialist DPS (flex) | 5825 | 7.28 | 5200 | 6.5 | 4800 | 6 | 975 | 1.2 |
Flex Support | 3435 | 4.29 | 3200 | 4 | 3200 | 4 | 1250 | 1.6 |
Main Support (mostly lucio) | 5817 | 7.27 | 5289 | 6.61 | 6400 | 8 | 2422 | 3.0 |
サブロールごとに、左から「平均eDPI」、「平均ゲーム内センシ@DPI 800」、「eDPIの中央値」、「ゲーム内センシの中央値(@DPI 800)、「eDPIの最頻値」、「ゲーム内センシ@DPI 800の最頻値」、「eDPIの標準偏差」、「ゲーム内センシ@DPI 800の標準偏差」をまとめた表
※最頻値(Mode)は最もよく使用されているeDPIとゲーム内センシを示している
結果
交戦距離が短い、もしくは運動量の多いヒーローは高い感度で使用される傾向があり、メインタンク、ゲンジやルシオが高い感度で使用されるのもこれが理由。ボールのロール、ウィンストンのレイジ、ルシオのウォールライドも感度が高いとスムーズに行える
ブリギッテやマーシーも高い感度の恩恵を受けやすい。ブリギッテは実はフィジカルの要求値も高く常に周囲に気を配る必要がある(プロの多くのフレックスDPSがブリギッテを上手く扱え理由のひとつ)
フレックスサポートはプロの中で最も低い感度を使用している。通常は視線を前方に捉えるポジションを取ることが多いため、これは理にかなっている。ヒットスキャンとファラなどのプロジェクタイルDPSも同様の傾向があり、これらのヒーローもフレックスサポートと似たような距離感で戦う傾向にある
オフタンクの感度は全体の中間に位置する。一般的にメインタンクよりもエイムが要求される一方メインタンクほどの運動量はなく、DPSやサポートに比べて交戦距離は短い。ただし、DVaだけは少し異質でeDPI 7000以上のプロもいる
メインタンクは感度の幅が最も広いが、これはデータがOW1プロに偏っており、OW1のオリーサがメインタンクにも関わらずエイムを必要としていたことに起因すると思われる。プロによってはラインハルトやウィンストンではなくオリーサの感度を公開していた可能性もある
ヒットスキャン/プロジェクタイルは感度の範囲が最も狭く、プロの50%がeDPI 800分の範囲に収まっている。同カテゴリ全体のeDPIの範囲は3200~4088(DPI 800ならゲーム内センシは4~約5)
データの中に見られたいくつかの外れ値については、史上最高のゲンジの一人とされるHaksalのeDPI 20000という極端すぎる例もあるが、上記のグラフでは見やすくするために対象から外している。Haksalの振り向き距離(cm/360°)があまりにも短いためにエイムボットのように見えるが、これは特殊な例であり、他のプロゲンジは概ねeDPI 6000付近にある
eDPI 2000以下の低感度のプロとしては、OWLのフレックスサポートとして活躍したAimgodや史上最高のオフタンクのひとりHanbinがいる。Hanbinについては頻繁にページの感度設定が更新された履歴が残っている
考察
Role | Range of eDPI |
---|---|
MT | 4000-9600 |
OT | 3200-8000 |
HS/Proj | 2800-5000 |
FDPS | 4000-7600 |
FS | 2400-4800 |
MS | 4000-6900 |
この表は各ロールの中間75%(上限下限15%排除)のおおよその感度の範囲。もし自分の感度がこの範囲から外れている場合はかなりの外れ値になるので、エイムに問題がある場合は他の感度を試してみることを勧めるが、このデータも完璧ではないので、エイム向上を保証するものではない
感度の見つけ方としてはStruth Gamingの動画が役に立つかもしれない。マッスルメモリーをリセットしてより自然に感じる新しい感度に調整するためのステップが紹介されている
このほかにもヒーローごとに異なる感度を設定することも役に立つ。プロのデータを見ても多くのプロが同じロールでもヒーローごとに異なる感度を使用しているが、実際に公開されているデータにはそれらが全て反映されているわけではない
ADS/スコープや変形するヒーローについては、相対感度の設定も無視できない。自分はレッキングボールをよくプレーするが、ボール形態では感度は5600~6400、四脚では4000でプレーしている
最後に
時間の経過とともに感度を変えることを恐れないでほしい。新しいマウスや新しい椅子を買っただけでもその変数は変化する。成長期なら腕が1インチ伸びているかもしれない。これらに合わせて感度を変えることはなんの問題もなく頻繁に変えるプロやストリーマーも多くいる。自分を感度に合わせるのではなく感度を自分に合わせるべき