8月9日に開幕した『Overwatch Champions Series Stage 2 Korea』出場全8チームのチームガイドを作成しました。
各チームごとに所属選手の紹介や戦力なども評価しているので、ぜひ観戦のお供に役立ててください。
『OWCS KOREA ステージ2』観戦ガイド
ステージ2の開催期間も1ヶ月以上の長丁場となりますが、グループステージは8/9~9/1、プレーオフは9/7~8、グランドファイナル決勝は9/15に行われます。
また、ステージ1に続き今大会でも蒼汁、おやつ、Gappo、Hoshimi氏ら、お馴染み実況解説陣による日本語ライブ配信が行われます。
CRAZY RACCOON
ステージ1:1位
前身:WAC(We Are CrazyRaccoon)
本拠:日本
- Junbin(韓国)
- Max(韓国)
- Lip(韓国)
- Heesang(韓国)
- Shu(韓国)
- Ch0r0ng(韓国)
OWCS Asia、OWCS Dallas Major、そしてEsports World Cupに続く大会4連覇どころか、11月のOWCS Stockholm Finalsに向けてOWCSメジャー連覇も現実味を帯びてきました。今大会初戦のPOKER FACE戦序盤では「もしや?」と思わせる場面もありましたが、その後はCRの強さばかりが目立っていたように思います。今大会ではCRが勝つか負けるかよりも、マップを落とすのか落とさないのかに注目が集まりそうな気がします。
世界最強ヒットスキャンとしての名を欲しいままにしているLipですが、今大会では単なるヒットスキャンの枠を越えたハイパーフレックスとしてもその真価を発揮しつつあります。初戦ではメイでトップクラスのパフォーマンスも見せています。小細工なしのトレーサーは数多いる名トレーサーの中でも異彩を放ち、キャスディメタが終わりつつある現環境でもLipにはアッシュというそれ以上のメインがいます。デビュー後しばらくはほとんど無名だった同選手も、今では間違いなく世界最高のOWプレイヤーであり、OWにバロンドールがあるとすれば、受賞するのは間違いなくこの男でしょう。
「Heesangがうまくやれば勝てる」というShuの言葉どおり、Lip以上にチームのパフォーマンスの鍵を握るのがHeesangです。Properという大きすぎる存在があったとはいえ、不遇を囲ったサンフランシスコ・ショック時代が嘘のように、エコー、トレーサー、ゲンジで最も価値を発揮できるプレイヤーへと成長しました。年齢的にも今大会でさらなる成長が期待できます。
Heesangと同じくショックではポテンシャルを持て余していたJunbinとMaxの急成長もCR躍進の原動力となっています。持ち前のフィジカルの高さに加えて、エリアを存分に使いこなす最高のDPSデュオと、Shuという完璧な捌き役を得たことで、CR加入以降、まさに水を得た魚のごとき活躍を見せています。Junbinのボール/ウィンストン、シグマのMaxといずれも既に最高峰のタンクプレイヤーではありますが、年齢的にはあと数年は成長の余地があると考えると、末恐ろしいタンクコンビになりそうです。
CR結成発表時、当ブログではShuを最も完成されたフレックスサポートと紹介しましたが、これを史上最高のフレックスサポートに訂正させて頂きます。これまで攻撃面や守備面のどちらかが注目されて最高級の賛辞を得てきたフレックスサポートはいましたが、攻守両面においてShu以上の存在はいなかったように思います。OWLではタイトルに手が届かなかったものの、CRというこれ以上ないチームで8年間に及ぶキャリア最高の瞬間を迎えています。
Moonコーチ曰く、CR結成時最後のラストピースがCh0r0ngであり、チーム構成に最もフィットするメインサポートが同選手だったそうです。昨季のOWL優勝でも証明したように、メインサポートとしてはどのヒーローでもトップクラスに使いこなし、得意のゼニヤッタではShu以上のパフォーマンスを発揮します。OWLデビューしたトロント・デファイアントでは、その才能を買われ当時としては異例の長期契約を提示されたこともあります。
チームの快進撃で忘れてならないのがMoonコーチの存在です。2020年にはLip擁する上海ドラゴンズでOWL優勝を果たしたものの、その後は財政難から思うような成績は残せませんでした。本人曰く戦術面はアシスタントのKongコーチ担当で、自分は応援担当ということですが、上海もCRも成績に関わらずチームの雰囲気が非常によかったのは偶然ではないはずです。
グループステージ~シード決定戦を7戦全勝で終えましたが、最終戦のZETA戦でマップ連勝記録は28で途絶えました。
2マップを失ったとはいえ、絶対王者CRの優位が揺るぎないことに変わりありません。ジュノ構成の練度ではZETAが上回ったものの、実質消化試合ということで、手の内をまだ完全に見せていない可能性もあります。
先日のホットフィックスでウィンストンがナーフされた一方で、DVAは据え置きのままでした。ジュノは実質バフと言ってよい微調整も入っており、あえて言うならこの辺の不確定要素が不安材料といえるかもしれません。ZETA戦で落とした2マップはいずれもジュノミラー中心の戦いでした。
アッシュのナーフも気になるところですが、これまでの戦いぶりを見る限り、Lipのフレックスでもとくに不安はなく、トレーサーが出せる環境である限りチームとしては大きな問題はないと思います。グループステージを通してHeesangの貢献度は極めて高く、実質的なエースと言っても過言ではないでしょう。
TEAM FALCONS
ステージ1:2位
前身:HAMSTER
拠点:サウジアラビア
- Smurf(韓国)
- Hanbin(韓国)
- Proper(韓国)
- Stalk3r(韓国)
- Happy(韓国)
- Fielder(韓国)
- Chiyo(韓国)
- SirMajed(サウジアラビア)
サウジアラビア資本により実現したスーパースター軍団ですが、現王者CRAZY RACCOONとの差は大会のたびに開きつつあります。ステージ2開幕直前にはベテラン大物ヒットスキャンのHappyを補強しています。
直近3大会連続で最大のライバルCRの後塵を拝することになりましたが、やや衰えの見られたかつての最強ウィンストンSmurfがEsports World Cupで復調したのは明るい材料です。オフタンクゴッドのHnabinはDVA、ザリア、シグマ、ジャンカークインすべての化身とも言える存在です。総合力で言えば現在も世界最強のオフタンクと言って差し支えないでしょう。
待望のヒットスキャン加入により、Properトレーサー+ヒットスキャンという構成が可能になりました。バーンアウトも懸念されたProperですが、念願のビッグタイトル獲得に向けて来年以降も戦う姿勢を明らかにしています。EWCではファンの熱量に決意を新たにしたものの、大会中は風邪により発熱・頭痛・喉の痛みに悩まされていたそうです。選手個人として世界の頂点を極めた男が、無冠のままキャリアを終えるわけにはいきません。
新加入のHappyはOW史上有数のスナイパー/ヒットスキャンではあるものの、25歳というヒットスキャンとしてはピークを過ぎている年齡は気懸かりです。ヒットスキャン以外のフランカー/フレックス要員となればStalk3rの出番です。最近では得意のトレーサーやゲンジ以外にもベンチャーでよい仕事をしており、抜群の生存能力と数的不利で存在感を発揮する選手です。
ダラス・フューエル時代から3年近くコンビを組むFielderとChiyoのサポートラインはチームに落ち着きをもたらします。守備的なフレックスサポートと評価されるFielderですが、阻害とダーツは現在のFalconsでも貴重な攻撃の起点として機能しています。ルシオでは攻撃面での貢献度も高いChiyoとFielderのアナ/ブリギッテ構成は、KRでも右に出る存在はいないほどの練度を誇ります。
サウジの英雄SirMajedもスター軍団で埋もれることなく存在感を示しています。最強イラリーのひとりにも挙げられる同選手ですが、元々はJjonak 2.0として恐れられたゼニヤッタの名手です5。
スター軍団の指揮をとるのは、サンフランシスコ・ショックでのOWL連覇も過去の栄光になりつつある名将Crustyコーチです。Heesang、Junbin、Maxといったかつて自身の下で不遇を囲った選手たちがCRで活躍する現状を見て苦い思いをしているに違いありません。王座奪還への想いは選手以上に強いはずです。
Happy加入で一定の成果は得られたものの、序盤はやや煮えきらない戦いも少なくありませんでした。Smurfの復調もありウィンストン運用が増えましたが、そのウィンストンがナーフされたこともあり、プレーオフではオフタンクゴッドHanbinのDVA起用が増えるかもしれません。
中盤戦以降、先発にStalk3rを起用しはじめてからは、チーム状態も上向いており、ヒットスキャンマップではProperをベンチに下げるなど、思い切った起用が功を奏しています。シーズン12パッチ以前はまったく出番のなかったStalk3rに救われた場面は少なくありません。
攻撃面での貢献度が高い一方、やや先落ちの目立ったChiyoルシオや、ライバルに比べるとルシキリ構成で一枚落ちるという課題も見られました。アナブリ構成については流石の一言ですが、ウィンストン弱体化で、今後DVA/ジュノ構成が主流になった場合は3人のサポート陣で誰がジュノを担当するのかも悩みどころです。
ZETA DIVISION
- Bernar(韓国)
- Heesung(韓国)
- Flora(韓国)
- Alphayi(韓国)
- Viol2t(韓国)
- Finn(韓国)
先月のEsports World Cupでは3-4位という成績で大会を終えましたが、フルセットの熱戦とはいえ、準決勝敗退は彼らからすれば決して満足のいく結果ではありません。
EWC終了後には兵役を控えるFearlessが退団し、代わりにトップ500上位の常連Heesungが加入しました。偉大な前任者を越えられるかはともかく、初戦では水準以上のプレーを見せており、懸案のウィンストン問題には一定の目処が立ちました。まだ18歳と若いことから大会中の急成長も期待できます。同じロールには前ステージで大会随一のタンクと評価されたBernarもおり、それぞれマップに合わせた起用になるかと思います。
ProperさえいなければOWL新人王も狙えたフレックスDPSのAlphayiと、未完の大器と言われ続けたヒットスキャンFloraのDPSコンビは非常に強力で、ライバルのトップ2に迫るポテンシャルを秘めています。一方でFloraがトレーサーに入ったときはやや脅威が薄れるなど、構成や展開に左右されやすく、格上相手や大舞台での試合ではやや物足りなさを感じるのも事実です。
攻守ともに貢献度の高いFinnと生ける伝説Viol2tのサポートラインは文字通りこのチームの生命線です。特筆すべきはViol2tルシオのULTチャージ率で、通常の1.5倍の速さでビートを回していきます。サンフランシスコ・ショック時代にはゼニヤッタで一時代を築いたこともある一方、アナはあまり得意ではありません。EWCではイラリーという新境地も開拓しています。
ショックの大先輩Viol2tの相棒を務める南知多の英雄ことFinnアナの阻害とダーツは、ZETAの攻めの起点となる大きな武器のひとつです。毎シーズンのようにトップ500のランク1位を踏んでおり、そのフィジカルの高さは日本のファンにはもはや説明不要でしょう。
選手やコーチとして計3度のOWL優勝経験を誇るレジェンドRascalコーチは、加入間もないとはいえ非常に頼もしい存在です。彼の頭脳がZETAの戦略面で大きな助けになることは間違いないでしょう。
シード決定戦ではCR相手にフルセットまで追いつめたことで、打倒CRの筆頭候補となりました。とくにウィンストン担当のHeesungが期待以上の活躍を見せています。
そのウィンストンが先日のホットフィックスでナーフされた影響は気になるところですが、BernarもDVAとオリーサで大会トップクラスの実力を誇るので構成面での不安はありません。
ショック時代の思い切りの良さを取り戻したレジェンドViol2tも振れ幅こそ大きいものの、チームに欠かせないクラッチメイカーであることを証明。抜群の安定感を誇るFinnはもはやチームの大黒柱といってよい頼れる存在になりました。
攻撃面ではアッシュに弱体化が入ったことで、Floraのピックとパフォーマンス、とくに貢献度の高いヒットスキャンが出せない時のプレーが鍵を握ることになると思います。
シード決定戦での3連敗は上位対決に向けて不安を残しますが、ジュノ構成の試運転期間と考えれば、CR戦の戦いぶりを見てもさほど心配はいらないと思います。
ZETAの試合は大勝こそ少ないものの、「受け」の名手として、相手の出方に合わせた柔軟なプレーがこのチームの持ち味であり、とくにメタヒーローに調整に入った直後では、柔軟性というZETAの強みが活かせるのではないかと思います。
FNATIC
- D0nghak(韓国)
- Checkmate(韓国)
- Knife(韓国)
- Izayaki(韓国)
- LeeJaeGon(韓国)
先月のEsports World Cupでは不本意な成績に終わりましたが、今大会直前になって当時のメンバーからViperとAttack、そしてコーチのFateが退団しています。前身のYETIからViperとBlissが去り、フィジカルでねじ伏せるタイプの選手がD0nghakだけになったことから、フィジカルを全面に押し出したスタイルから連携重視のチームへと変貌しつつあります。
チームでは既にEWC直前に加入したフレックスDPSのCheckmateが抜群の存在感を放っています。昨年のOWLを制したフロリダ・メイヘム時代にSomeoneとのホットラインが脅威を発揮したように、FNATICではD0nghakとのコンビ確立がチーム浮沈の鍵を握ります。今年から本格的にヒットスキャンを始めたというKnifeは爆発力こそあるものの、ソジョーン弱体化後の今では、トップ勢に比べると一貫性という意味で見劣りするのも確かです。
チーム唯一のタンクD0nghakはメンタルや調子にムラがあるとはいえ、昨年OWL新人王のポテンシャルを遺憾なく発揮しています。Fearlessが事実上引退した今、上記問題さえ克服できればKRウィンストンの玉座を狙える位置にいます。ドゥームフィストに関しては既にトップと言っても過言ではないでしょう。とはいえマウガという「最終兵器」こそあるものの、ハイレベルでのピックプールには不安が残ります。
サポートラインは元上海ドラゴンズのOWL優勝コンビが務めます。前任のBlissとIrony(控え)と比較しても実力面では遜色なく、実績では申し分ありません。Izayakiは年齢面での衰えは気になるところですが、ベテランとしてチームに安定感をもたらしています。すっかり落ち着いたイキりルシオのLJGも、全てのメインサポートをトップレベルで扱える数少ないプレイヤーのひとりです。別名LeeJaeGonタワーとも呼ばれるレイコータワー(Lijian Tower)は同選手の庭として知られています。
コーチ陣は元上海ドラゴンズのレジェンドコンビの片割れFateがチームを去ることになりましたが、Fletaコーチは続投が決まりました。かつて”Fleta is meta”と呼ばれたレジェンドはベンチからコーチとしてチームを支えています。
グループステージは3勝4敗の5位でしたが、LCQでは海賊団に敗れたことで、実質プレーオフは最低シードでの出場となりました。
大会前はフィジカル重視から連携を重視したチームスタイルへと変わるかと思われましたが、よくない意味でフィジカル押しに磨きがかかっています。試合内容の割にスコアに差がつくのもこのチームの特徴で、フィジカルで押しきれない互角かそれ以上の相手には、接戦を演じながら勝ちきれない勝負弱さが目立ちます。
LCQの海賊団戦ではD0nghakが対面での勝負で上回りながら、チームを勝たせることはできませんでした。ウィンストン弱体化も不安材料のひとつですが、ドゥームやボールという大きな武器があるとはいえ、DVAを出さざるを得なくなると苦しいかもしれません。
攻撃面ではCheckmeateが新エースに相応しいパフォーマンスを見せている一方で、チームが勝つためには連携面の改善と、Knifeの爆発も不可欠です。Knifeがグループステージの海賊団戦で見せたようなパフォーマンスを再現できれば勝機はあります。
POKER FACE
ステージ1:5-6位
前身:INCENDIA EVOLUTION
拠点:韓国
- Jasm1ne(韓国)
- Belosrea(韓国)
- ChoiSehwan(韓国)
- Probe(韓国)
- JaeWoo(韓国)
- Simple(韓国)
- Fixa(韓国)
- Caru(韓国)
前ステージではロスター登録上限となる8名の大所帯で臨んだPOKER FACEでしたが、ステージ2でも2-3-3というあらゆる構成に対応できる布陣で悲願のベスト4進出を目指します。前ステージからは、Simple、Proud、Jasm1ne以外の5名は全て入れ替わっています。
攻撃の中心は元リーガーのChoisehwanが担います。以前はゲンジメインの印象が強かったものの、OWLではトレーサー、ファラ、エコーなどのレパートリーを増やし、一流のフレックスDPSへと成長しました。Proudは17歳という年齡故に実績こそまだ少ないものの、将来のKRシーンを担うヒットスキャンのひとりです。強気さも魅力のひとつで、例えLip相手でもメンタルでは決して引けを取りません。前ステージのRunawayでは出番のなかったJaeWooは、Xero時代と同じく主にトレーサーで起用されると思います。
タンクはZETA DVISION(旧FTG)からボールメインのBelosreaが復帰しています。コントロールやウィンストンマップでは同選手が、シグマやオフタンクが必要なマップでは前ステージに続きJasm1neが起用されることになります。大崩れしないJasm1neと2年間のリーグ経験もあるBelosreaですが、トップチームと最も大きな差が出るとしたらこのロールでしょうか。
チーム最古参のSimpleはランクマ番長として知られるだけあり、フィジカルではトップクラスのフレックスサポートと比べても遜色ありません。昨年階段で転倒した際の小指の負傷からひさしぶりの復帰となるFixaは、昨季OWLのロールスターズ・サポート部門6にも選出されており、その実力は折り紙付きです。
POKER FACEには前ステージでINSOMNIAの韓国行きに大きく貢献したCaruが復帰しています。チームではOWCS Japanでも大活躍したキリコのほか、得意のアナで起用されるケースもあるかと思います。大会前インタビューでは韓国と日本の違いについて、「全体的にKRはテンポが少し速く、フィジカル的にも差がある」と話していました。
グループステージは4勝3敗の4位ながら、シード決定戦で格上のZETAとFALCONSを破りセカンドシードを獲得しています。見方によっては、打倒CRの挑戦者として最も相応しいチームがPOKER FACEと言えます。
好調の主な要因はBelosreaとProudの2人です。前者はFTG(現ZETA)時代に無謀なプレーも目立ちましたが、相手の出方を待つZETAとはプレースタイルが合わなかったのかもしれません。POKER FACEでは得意のボールやウィンストン以外の地べたタンクでもアグレッシブなプレーで文字通りチームを牽引しています。
Proudの活躍も目覚ましく、シード決定戦のZETA戦では凄まじいパフォーマンスを発揮。まだ17歳ですが、今後のKRシーンを担うヒットスキャンの一人です。ハードヒットスキャンながら要所ではプロジェクタイルもこなす器用な一面もあります。彼の出番がないようなマップでもJaeWooがトレーサーで予想以上によい仕事ぶりを見せいています。
シード決定戦ではジュノ構成は見せていませんでしたが、DVAメタになった場合は、これまでの戦いぶりを見る限りやや不安が残ります。その場合はBelosreaよりもJasm1neがファーストチョイスになるかもしれません。
HAEJOEKDAN(海賊団)
ステージ1:未出場
前身:METAMONG
拠点:韓国
- Mag(韓国)
- Zest(韓国)
- Prophet(韓国)
- Vidaim(韓国)
- LeeSooMin(韓国)
前ステージではRunawayの中軸を担ったMag、Zest、Prophetを中心に結成された新チームで、偶然ながらソウル・ダイナスティとソウル・インファーナルの元メンバーで構成されています。登録時はMETAMONGという名称で、チームロゴもポケモンのメタモン画像をそのまま使用していたことから、著作権上の問題もあり、本戦前に海賊団(HAEJOEKDAN)へとリブランドしています。大会前インタビューでは「スクリムではCR以外は全て撃破した」というMagの爆弾発言もあり、今大会ではダークホースと目されています。
「勝ったらチームのスポンサーをいただく」と豪語する海賊団の船長Magは、OWLチームを渡り歩いた今大会屈指のウィンストン使いでプライマルレイジの名手です。積極的にバックラインを狩るアグレッシブさが持ち味の反面、ときにはそれが裏目に出ることもあります。オフタンク含めてトップレベルでのピックプールや構成の幅という意味でも、Magひとりでは不安が残ります。
インファーナル時代の盟友Magと共にチームの鍵を握る男がZestです。Proper黄金世代の1人でトレーサー、エコー、ゲンジは世代屈指の実力の持ち主です。生粋のヒットスキャンProphetは、前ステージでエコーを出すこともありましたが、今大会では名前も似ている同門のProbeやProudとKR最強スナイパーの座をかけて熾烈な戦いを繰り広げることになるでしょう。真のフレックスDPSのSeounjunは短命に終わったダイナスティ時代同様にProphetのピックプールを補完する役目を担うことになります。
メインサポートのVindaimは、サンフランシスコ・ショックではチーム不振の元凶にされるなどの不運に見舞われましたが、O2 Blast時代にChiyoとレギュラーを争った実力もあり、ブリギッテでは彼以上の評価を得ていました。そのVindaimと入れ替わる形で昨季途中にダイナスティを退団したLeeSoonMinとのコンビも上々で、初戦を見る限りMag/Zestコンビを軸としたダイブ構成は、このサポートラインにとても合っている印象を受けました。
尚、前ステージではMag、Zest、Prophetらを擁してFNATIC(旧YETI)を3-0で破ったこともある名門Runawayですが、ステージ2ではロスター登録をしておらず、とくにチームから発表もないことから、少なくとも来年のOWCSまでは再び活動休止、もしくは解散ということになるかもしれません。
大会直前の下馬評は高かったものの、グループステージでは2勝5敗と大きく負け越しています。LCQではFNATIC相手にストレート勝ちしたものの、試合内容にそこまでの差はありませんでした。
予想されていたようにMagがウィンストンを出せないと苦しい展開になることが頻繁に見られました。グループステージのCR戦ではルナサピでマップ奪取まであと一歩に迫ったように、ウィンストン構成ではトップチームに迫る実力はあるものの、そのウィンストンの弱体化により、今は海賊船の船底に穴が空いたような状況と言えるかもしれません。
LCQのFNATIC戦で見せたように非凡な才能を持つProphetですが、ヒットスキャン特有の一貫性に欠ける面も否めません。Zestもエースとしての役割は果たしたとはいえ、OWL時代の活躍ぶりを考えれば、特に格上相手に物足りなく映ったのも事実です。
得意のウィンストン/アナ/ブリギッテ構成では手堅いプレーを見せていましたが、サポートが試合を動かす場面はそう多くありませんでした。サポート陣だけの責任ではないものの、勝ち試合を除くと平均的なプレーに終始していたように思います。
VEC DAEJEON
ステージ1:9位
前身:VESTA ESPORTS CREW
拠点:韓国(テジョン)
- Gur3um(韓国)
- Farmer(韓国)
- D4rt(韓国)
- M1nut2(韓国)
- Jinsung(韓国)
- LeGo(韓国)
OWCSが始動する前は日本のINVINCIBLE(INSOMNIAの前身)のロスターが所属していましたが、現在は拠点を韓国に戻して活動しています。チーム名のDAEJEONはテジョン広域市を意味します。
ステージ1では1マップも取れずに全敗でグループステージを終えましたが、チームリーダーのGur3umらフロントラインはそのままに、サポートラインを入れ替えて臨んだステージ2では再び予選突破から本戦出場を決めています。
ナメクジブラザーズも参加した先月の中国のオンライン大会では、Jinmu、Ameng、Jimmy、Yveltal、Kyoといった元リーガーで固めたOLDEST PROを破っており、今大会にも出場しているPOKER FACEからは1マップをもぎ取っています。
さらに今大会初戦では大会唯一のOWL経験者ゼロチームながら、元リーガーが集結した大ベテランのRyujehong率いるOLD OCEANをフルセットの末破り、見事OWCS大会初勝利をあげています。
初戦ではM1nut2ウィドウ、D4rtベンチャー、LeGoルシオは可能性を感じさせるパフォーマンスを見せており、今後の試合では上位チーム相手にマップを奪えるだけのポテンシャルは十分あるのではないかと思います。
プレーオフ進出はなりませんでしたが、グループステージ初戦では元リーガーを多数擁するOLD OCEAN相手にOWCS初勝利をあげています。
グループステージでは、ステージ1で手も足も出なかったFNATIC(当時YETI)相手にポイントを奪っており、ポイントすらあげられなかった前大会に比べると確実にチームはステップアップしています。
D4rt、Minut2、Legoといった選手も印象に残るプレーをいくつも披露していましたが、とくにLegoのルシオは大会ベストルシオのひとりに挙げてもおかしくないパフォーマンスでした。
OLD OCEAN
- Kalios(韓国)
- Ruler(韓国)
- Becky(韓国)
- Proud(韓国)
- Taejong
- Ryujehong(韓国)
- Faith(韓国)
伝説的なアナとして多くのプレイヤーから慕われた大ベテランのレジェンドRyujehongを中心に結成された即席チームですが、見事予選突破を果たしステージ2本戦出場を決めています。名目上はKaliosがステージ1で結成したGenesisが前身となりますが、メンバーは全て入れ替わっています。
タンクはJehongと同じく数少ない「APEX戦士」7の生き残りベテランKaliosが務めます。元はザリアメインのオフタンクで、OW1最初期には中国サーバーでSR5000カンストという逸話を残しています8。8年に及ぶプロキャリアの中で、OWLの晩年にはウィンストンやオリーサといったメインタンクもハイレベルでこなしています。そのほかタンクにはもう一人、先日まで日本国内でプレーしていたRulerが大会直前に控えとして加入しています。
DPSには、前ステージでエコー使いとして無類の強さを発揮したフレックスDPSのBecky、そしてフィジカルではKRトップクラスのProbeという実力者を揃えています。後者はサンフランシスコ・ショックでは真価を発揮できなかったものの、コンテンダーズKR最強を誇った名門O2 Blastの黄金期を支えたヒットスキャンの名手です。Becky以外でトレーサーが必要な場合には、前ステージまでNAでプレーしていたTaejongが起用されると思います。
32歳の大ベテランRyujehongが実に1580日にぶりにメジャー大会復帰を果たしました。初日の試合では敵チームから狙われかなり苦しい場面もありましたが、長期のブランクを感じさせない健在ぶりを示しています。OWL時代からブリギッテ/ルシオには定評のあるFaithが大先輩のSP役としてよい仕事をしたこともありますが、契約トラブルで行き場を失ったFaithに救いの手を差し伸べたのがJehongでした。今後はより激しさを増す戦いにJehongがどこまでついて行けるのかも、このチームの見どころのひとつではないかと思います。
尚、現在チームは大会移動費や滞在費をサポートしてくれるスポンサーを募集中とのことです。さらに、なんとあのPelicanが今大会では選手としてではなく、臨時コーチとしてチームに参加しているそうです。
残念ながらグループステージ/LCQともに全敗で大会を終えていますが、大会前に危惧されたほど悪い戦いぶりではなかったように思います。
ほぼアナOTPとしてプレーしたレジェンドRyujehongも、32歳とは思えないパフォーマンスで阻害瓶ではいくつかの見せ場も作っています。ProbeやBeckyもウィドウやエコーといった得意のヒーローではトップ選手に引けを取らないパフォーマンスを見せていました。
JehongとTaejong以外は昨年までOWLでプレーしていた選手ということもあり、ベテラン若手を織り交ぜた即席チームながら、格上チームとそれなりに戦えたのはある意味当然といえます。
チームとしては大会を終えましたが、Jehongに次ぐベテランKaliosもLFTを出すなど現役続行の意思を示しており、トレーサーで意外な活躍ぶりを見せたTaejongのような来季注目の若手も誕生しています。
———
TIER LIST
Dallas MajorとEsports World Cupに続いて懲りずに出場8チームのパワーランキングを作成しました。
前評判と各チームの初戦を見た後での評価となりますが、再来週の8月21日に予定されているシーズン12パッチでは、メタや評価が大きく変わる可能性もあります。その場合は最初のリストも残しつつ新たなパワーランキングを作成するかもしれません。
各チーム初戦を見た限りでは、ウィンストン主体のダイブ構成が多かったように見えましたが、想像以上にバラエティに富んだ構成が見られ、完全なミラーマッチは少なかったように思います。
今後メタが最適化されてミラーマッチが増えるのか、5v5特有のカウンタースワップ主体のメタゲームが展開されるのかはわかりませんが、いずれにしても絶対王者CRAZY RACCOONの王座は揺るぎないよう思います。
尚、試合で採用されるパッチについては、とくに変更がなければ前ステージと同じくライブパッチが採用されるものと思われます。また、Blizzard主催のOWCS大会では、ヒーローBANシステムは採用されていません。
脚注:
- Jjonakは初期OWLでゼニヤッタに革命を起こした怪物レジェンド。あまりの強さゆえにゼニヤッタがナーフされるという逸話を残している。
- 毎シーズン、各ロールごとに優秀選手4名が選出されています。
- OWL以前のOW最大の大会「Overwatch APEX Season」に出場していた選手。今大会ではJehong、Kalios、Shuの3人だけ。
- 過去SR5000に到達したプレイヤーは2名おり、当時中国チームに所属していたKaliosは中国サーバーでSR5000を記録。もう1人はロードホッグ専として活躍したEvermoreです。SR仕様変更後はSR5000に到達したプレイヤーは現れていません。
- Jjonakは初期OWLでゼニヤッタに革命を起こした怪物レジェンド。あまりの強さゆえにゼニヤッタがナーフされるという逸話を残している。
- 毎シーズン、各ロールごとに優秀選手4名が選出されています。
- OWL以前のOW最大の大会「Overwatch APEX Season」に出場していた選手。今大会ではJehong、Kalios、Shuの3人だけ。
- 過去SR5000に到達したプレイヤーは2名おり、当時中国チームに所属していたKaliosは中国サーバーでSR5000を記録。もう1人はロードホッグ専として活躍したEvermoreです。SR仕様変更後はSR5000に到達したプレイヤーは現れていません。