先日のEsports World Cup優勝後にTeam FalconsのChiyoが、試合の模様を振り返るVOD配信を行っていたのでそのコメントまとめになります。
コメント内容はかなり長いですが、試合の状況や大会メタに細かく切り込んだ分析など、読み応えのある内容になっています。
Falconsのスキンはまだ買ってない。無料でもらえるんじゃないかと期待してるから。
このメタはメインサポートにとってはちょっと辛いものだった。難しいとかそういう意味ではないけど。
自分の意見では、オーバーウォッチは本来は5人それぞれが対面とジャンケンをして、勝ち越した側が試合に勝つっていうゲームだと思う。
でも今のメタでは、各チームが代表を一人だけ出してジャンケンして、負けたチームはルシオかソジョーンを失う、みたいな感じだった。
その代表はたいていタンクかフレックスDPSで、勝ったチームのメインDPSが後片付けするって感じ。
準々決勝ではうちがジャンケンに勝ったにもかかわらず自分がやらかしちゃって、セミファイナルではT1が最初のジャンケンに負けたあとでも自分にすべてぶつけてきた感じだった。
「お前ら何してんの、俺倒してもどうせ負けるだろ」って思ってた。
Donghakはそこまででもなかったけど、Zestは特に狙ってきた。正直ちょっと個人的に狙われてる感じがあった。
でもそれがT1とRushコーチのスタイルなんだよね。向こうは負けたらさらに強気に攻めてくるし、プレッシャーかけられる相手がルシオしかいないから。
ソジョーンがダブルジャンプ覚えたら、もう捕まらないから。
コントロールは完全にフィジカル重視だけど、プッシュとフラッシュポイントは戦略重視。特にシンメ構成だとね。
クールダウン管理やポジショニングでエリアの開け閉めをする感じで、まるでチェスをしているような気分になる。
キルとかデスっていうのは、その意思決定の結果にすぎない。
ジャンカークイーンのBANは、タンクを守るためのプロテクトBANだった。相手が何を出してくるのかを見たかった。BANはだいたいそんな感じ使われる
試合中は少なくともMeritよりは自分の意見を出してると思う。
うちのチームは、運転手タイプが多くて、乗客タイプが少ない。
みんな実績もあるし、優勝した経験もあるから、それぞれに自分のやりたいプレイがある。
自分もやりたいことはあるけど、あれこれ言うと話がややこしくなるから、なるべく黙ってる。
Atlanta Reign(とDallasもある程度)は、自分のやりたい方向にチームが動いてくれて、それはすごくよかったけど、今のチームではあまり口を出さないようにしている。
(Q. メインサポートだから無視されるの?)そう、それもあるけど、そもそも自分はあまり論理的なタイプに見えないらしくて、みんな「こいつアホなこと言ってるな」って思ってる。
このメタでは少しだけ多めに発言するようにした。主にバックラインのことを。フロントラインはProperとSomeoneがコールしてた。
Meritもショットコールできるし、5人全員できるけど、5人がそれぞれ言い出すとごちゃごちゃになるから、Meritは黙ってる。
他のメンバーもVODレビューはすると思うけど、多分短いか、自己PRみたいな内容になるんじゃないかな。
自分がその分までカバーして、ちゃんと分析していくよ。
Anamo(現Team Visionコーチ)がグランドファイナルのVODレビューしてたって?自分の視点をたくさん見てくれてるといいな。
メインサポートがVODレビューすると、大抵「メインサポが死んだのは他の要因だ」って言うけど、フレックスサポートやフレックスDPSがレビューすると、たいていメインサポのせいにされるんだよね。だって彼らの生存って、基本的にメインサポに依存してるから。
タンクは周りのせいにしがちで、メインDPSはただ自分のエイムがすごかったって話しかしない。
レイコータワー:
(第1ラウンド)Meritがファラを倒した後、AQには2つの選択肢があった:ビートを使ってそのままダイブしてくるか、ビートダイブするふりをして時間稼ぎしながらファラの復帰を待つか。
自分たちはAQに前者を選ばせたかったから、オーバークロックで圧をかけて、もし相手がビートを使ってきたら後ろに回ろうという作戦だった。
でも相手にシンメがいたら、ここで選べる選択肢がめちゃくちゃ増えるんだよね。
テレポートで裏に回ってくる、テレポートフェイクで釣る、TPダイブしてから戻るとか、シンメがいると本当に選択肢が多い。
今大会のメタ?には2つの主流があった。EMEA式のシンメ構成とダイブ構成。振り返ってみれば、シンメ構成が1〜3位を独占したけど、3-2みたいな接戦もたくさんあった。
当日のノリとか調子にかなり左右されてたと思う。ほんとに紙一重の戦いばっかりだった。
しかもこのメタってミスの代償がめちゃくちゃ大きくて、運の要素もかなり大きかったと思う。
Falconsの次に強かったのは誰かって?もうみんな知ってると思うけど、EMEAのチームはスクリムでめっちゃ強かった。
EMEA同士のファイナルになるかもって、冗談半分で言ってたくらい。
最初の頃はAQのほうがちょっと良かったけど、途中からは構成の好みの差って感じだった。
TMもめっちゃ良かった。(CRが負けると思ってた?)いや、そこまでは思ってなかったけど、可能性はあるって分かってた。うちらも負ける可能性あったし、自分が準々決勝でめっちゃやらかしたんで。
D.Vaのボムの件、ルシオにブープされたわけじゃなくて、ただテレポートしただけ。Fielderのことは知らないけど、アシストはたぶんスピブだと思う。
ルシオのコツ?このメタでは、とりあえずタンクにダメージ入れて、必要に応じてスペースを制圧して、味方にちょっとダメージ受けさせて、ビートを早く貯めること。
(ラマットラ/トレーサー/ソジョーンと、D.Va/シンメトラ/ソジョーンの違いは?)
D.Va/シンメ構成は、バックラインかラマットラのどちらかを狙ってダイブできる。で、もしラマットラ/トレーサー側がその狙いを正確に読めれば、D.Va/シンメ構成を完全に潰せる。でも読み間違えたら、バックラインかラマットラが落とされる。
(このメタは楽しかった?)
スクリムではまあまあ楽しかった。自分たちが強かったから。でも大会本番では最悪だった。良いプレイをしても目立ちにくくて、ミスだけが目立つメタだったから。
このメタではルシオは口でしかキャリーできないね。
(ヒールとスピードの比率は?)
ほとんどヒールに寄せてた。6:4か7:3くらいだと思う。
エスペランサ:
AQってシンメ構成のチームだったでしょ?だから、シンプルなマップならフィジカルで押し切れるんだけど、練習してないマップとか、TPの選択肢が多すぎるマップだと、倒すのが本当に難しい。
テレポートできる場所を全部把握しておかないといけない。
サーキット・ロイヤルとか、コントロールやペイロード系のマップはまだ楽なほう。でもフラッシュポイントやプッシュは選択肢が多すぎて、かなり難しかった。
グランドファイナルの前にCheckmateとちょっと話したんだけどね。彼が「ちょっと疲れてるから、4-0で終わらせようぜ」って言ってきたから、自分は「じゃあ、うちらが4のほうだよな?」って返した。
まさか本当にそうなるとは思ってなかったけど。
ファイナルまでの道のりでは3-2の試合が多かったから、マップ6か7までもつれると思ってた。
最初のファイトは単純に相手のTPが上手くて負けた。
その後、こちらが着いたときにはもうロボットがチェックポイントに近づいてて、どうにもできなかった。
相手は橋の上の高台を取ってたから、こっちがそこにTPしたらブープで落とされるし、ラマットラにTPしてダイブしても、高台から撃たれるだけ。
それでもラマットラにダイブしてみたけど失敗気味で、自分がビートを使わなきゃいけなくなった。でもビート使ったところで、どうせTPでラマットラを逃がされて無駄になるって分かってたんだよね。
結局シンメが死にそうだったからビート使ったけど、SomeoneがZiyadをボディブロックしてTPで逃げさせなかった。それで勝てた。
その後は橋の場面。相手には考える時間がたっぷりあって、シンメのパークで一番厄介なのは、TPの距離が伸びることで新しい選択肢が生まれる点。
本来なら橋までしかTPできないはずが、今は橋を越えて裏に回ってくることもできる。
結局読み違えて負けた。TPの距離はそのうちナーフされると思う。そうじゃなきゃTPの耐久値がナーフされるだろうね。
(WeiboとGeekay、どっちが難しかった?)
個人的にはGeekay相手のときの自分の出来が悪かったけど、チームとしてはWeiboのほうが難敵だった。
(Geekay戦でAajaxしなかったら3-0で勝てた?)
いや3-1だと思う。サーキット・ロイヤルはどうせ勝てなかったし(笑)
(ライフウィーバーは読んでなかったの?)
予想はしてた。ただ、こっちが用意したカウンター構成が機能しなかった。
(Cuffaのパフォーマンスについてどう思った?)
Cuffaとは仲良いし、かわいかったね。試合後にホテルで会ったとき、自分はあれだけやらかしたせいであまり気分よくなかったけど、Cuffaはめっちゃ楽しそうで。「あっち行けよ」って言ってしまった(笑)
(ラストのオーバータイムがスタート)ここから4次元チェスの始まり。相手がほとんどのULTを持ってるのは分かってた。橋の下にTPするか、橋の上にTPするか、選べる状況。
相手はさらにこのファイトをあえて落として、こっちのULTを消費させるって選択肢もある。
自分が橋の上にいたから、ダイブされるかなと思ってたけど、実際は彼らはロボットにULTを全部使ってきた
こっちはラマットラとヴェンチャーのULTで耐えて、AQ側はULT終了を待つか、裏にTPするか選ばなきゃいけなくなった。
Properが「なんか裏TPしてきそう」って直感で言ってて、それがズバリ当たって、試合の流れが完全にこっちに傾いた。
次のファイトでは、AQには2つの選択肢があった:こっちのオーバークロックからTPで逃げてシンメトラのULTを待つか、裏に回って人数交換を狙って次のファイトを取りに来るか。
自分たちは逃げてほしくなかったから、相手がTPで高台に上がるのを見た瞬間にオーバークロックで仕掛けた。
このときのAQの対応も速くて、前線が崩れた瞬間に後ろを振り返って人数交換に切り替えてきた。
でもこっちはポイント維持できるヒーローが多かった。自分はDPSをタクシーして、SomeoneとFielderがキツネでポイントを維持。シンメのULTが来る前にファイトを終わらせたかったから、リスクをとってレールガンを釣ったりタレットを壊したりした。
最終的にはMeritがマップを決めるキルを取ってくれた。
ニュー・ジャンク・シティ:
最初のポイントは、メリーゴーランドで負けたから落とした。特に言うことはないかな。TPの曲芸で負けたってだけ。
このメタは、フラッシュポイントでは本当に逆転負けが多かった。
このメタではファイトが長引きやすいから、ポイントを取るのに必要なのは1回の勝利だけ。
TPを一回でもミスったら全部失うから、使い方には本当に気をつけないといけない。
この時のVC、どんな感じだったか分かる?Someoneが「お母さーーーん!!ママー!!!」ってずっと叫んでた。
後で「お前なに叫んでんの?」って聞いたら、Fielderに回復してって呼んでたらしい。
うちの家族構成は、父親がHanbinで、DPS2人が息子。自分?自分は召使い。全部言われた通りにやってる。
(Kellexはビート温存する傾向があるように見えるけど)
このメタでは、温存してるというより、状況的に使えないって感じだと思う。
TPでダイブしてくる可能性もあれば、TPで逃げられる可能性もあるし、ビートダイブ仕掛けた瞬間に敵ラマットラがULT持ってたら、それこそ最悪。
条件がめちゃくちゃ多くて、敵がTPを持ってない、ラマのULTがない、カウンターULTがない、移動CDがない、全部揃ってないと厳しい。
相手はラマットラのULTとソジョーンのULTを使ってきたけど、こっちは自分たちのULTを使わずに耐えた。
Someoneが本当にうまくて、CD管理が上手いのか、Fielderのヒールがすごいのか分かんないけど、相手のULT2つに対して、こっちは1個でポジション維持できた。
サーキット・ロイヤル:
セミファイナルではHanbinとMeritウィドウ、ファイナルではSomeoneを出したのは、相手やBANに合わせて事前に用意した戦略。
いろんな戦術を用意していて、基本的には良いんだけど、幅を広げすぎて逆に負けることもある。
これは仕方ないことだと思うけど、そのせいでコーチ陣が批判されてるのを見るのは辛い。
正直、準備はコーチが手伝ってくれるけど、最終的な判断はプレイヤーが下してる。
「もっといい戦術がある」と思うなら、まずはチャンピオンリングを取ってきてください。あるいはチートなしでチャンピオン2まで行ってから言ってください。
Properはシンメ、メイ、ベンチャーの間で迷ってたけど、このマップではベンチャーはちょっと微妙だったから、最終的にメイを選んだ。
EMEAチームがやってるのを見て、高台の前線で抑える動きを試してみたけど、こっちが初めてだったこともあって、あまりうまくいかなかった。
まあ、少なくともULTゲージは溜まったけど。
正直このマップについてはあまり語ることがないし、ファイナルの裏話もあんまりないかな。
覚えてるのは、マップ2の後に誰かが悪態ついた(swearing)のと、Someoneが「ママーー!!」って叫んでたことぐらい。
いや、マップ2でもう1個思い出した。AQがビート使って高台にTPしてきて、そこにProperが突っ込んでいって、「Proper死ぬかも」と思ってビート使って助けた。
で、そのマップ終わってから「さっきのビートで助けたからな」ってProperに言ったら、「すごいビートだったわ」って返ってきて、リプレイ見たらProper体力満タンだった(笑)あのビート、実は全然いらなかったっていうね。
まあ忙しくて自分のHP見てなかったのかもね。
ファイナルもセミファイナルも本当にスムーズで、勝ってただけじゃなく、簡単すぎてテンション上がっちゃって、何度もFielderに無意識で拳を突き出してしまった。
(※ちなみにChiyoは、自分のフィストバンプが悪いジンクスだと思っています)
Fielderは自分がフィストバンプをしないことを知ってるんだよ。Dallas時代かReign時代か忘れたけど、その頃からそうしてて。だからもうFielderは自分にフィストバンプしようとしないんだけど、それでもファイナル中は何回かやってきたね。
ハイタッチならOK。
エスペランサ取った時点で勝ったなとは思ったけど、スコアは4-2になると思ってた。
でもNJCのセカンドポイントで、ULT10個ぶつけ合ったファイトに勝ったとき、「これは終わったな」と思ったし、サーキットで相手がフレイヤをBANしたときに、「これで決まるだろう」と確信した。
お互いずっとBANを温存してたけど、マップ4の時点でAQはまだ温存してた。だから自分たちはクリティカルBANを使って、そこで決めにいった。
今シーズンのうちのベストプレイヤー?それはもちろんProper。でもチームの連携やショットコールまで含めて評価するなら、Someone。
Meritの強みは、とにかく落ち着いてること。だからファイナルやセミでもすごく冷静だった。
ちょっと自己PRさせてもらうと、スクリムでは自分すごく良かったよ。ただ準々決勝ではめちゃくちゃ悪かった。
知っての通り、Fielderと一緒だったチーム、特にDallasはラッシュ構成が得意だった。
たぶん自分たちに決断力あって、自分がULTチェックも得意で、何より「相手が自滅した試合に勝つ」のが上手いから(笑)
チーム連携も得意だし。伝統的にEMEAはラッシュ、KRはダイブだけど、うちらはミュータント(異端?)。Someoneもラッシュのほうが上手い。
(味方がいっぱいダメージ出してるのに、なんでULT溜まるの早いの?)
ルシオの場合は、生き残って、たくさんダメージ出して、意図的にダメージを受ける必要がある。
正直ちょっと悲しいんけど、うちのDPSがダメージ出しすぎて、自分のULTが相手より遅れることが多い。
「キル取れる時以外はダメージ出さないで」って言いたくなるけど、それは愚かな発言だから、自分がダメージわざと受けてウルト稼いでる。
(勝った後、一番喜んでたのは?)
Someone。ステージ上で叫んでた(笑)
知ってると思うけど、ステージ1では彼、かなり辛い時期を過ごしてた。彼のせいじゃなくて、単にチームとして噛み合ってなかっただけ。本人の調子が良くても機能してなかった。
今はSomeoneがラマットラで全員ボコってるの見てわかる通り、ついにチームの連携が噛み合ったから。
ホームバフは本物。観客の声援って、本当に力になる。
(コーチ泣いてた?)わかんないけど、ちょっと目が赤くなってたかも。
(Meritがファイナルであんなに強かったのはなぜ?)彼はいつも上手いけど、大舞台で緊張しない。それが勝者のメンタリティってやつかと。
チーム写真にはコーチ1人が入ることになってたんだけど、本当はSparkleが入るはずだったのに、寝坊したのかシャワー浴びてたのか忘れたけど、間に合わなくて。結局NineKが代わりに入ることになった。
(ステージ上で一番緊張してたのは?)自分です。