ブリザード・エンターテイメント社はドイツのチートツールメーカーであるBossland社を相手取り850万㌦の損害賠償請求を求めてカルフォルニア州連邦地裁に提訴しました。
BosslandはWatchover Tyrant, Honorbuddy, Demonbuddyなどのチートツールを製作販売しており、昨年5月から同社を相手取った裁判が続いていましたが、今年2月にブリザード側の勝訴となる判決が下されたものの、その後もBosslandはチートツールの製作販売を続けていたために、ブリザードは損害を被ったハッキングチート行為一件について200㌦(米国だけで少なくとも42,818ツールを販売)という試算で損害賠償を請求しています。
欠席裁判を続けているBossland側の敗訴は今回もほぼ確実と見られているものの、ドイツに居を構える同社が米国の法令に応じる可能性は極めて低く、850万㌦という請求額はブリザードが本来求めていた額からすると少ないようにも思われますが、ブリザードの狙いは裁判を有利に進めるとともに、損害賠償そのものよりも、ゲームを健全に保つためにチート行為だけでなく、チートツールの作製配布をも許さないという強いメッセージを示すという点にあったように思います。
Watchover Tyrantを使用したチートのデモ動画です。このツール自体は既にストアから消えていますが、HonorbuddyやDemonbuddyだけでなくFF14やポケモンGO向けのハックツールが現在も販売されています。
チート販売会社を相手取った裁判は訴訟費用や裁判手続きの煩雑さの割に実行力に乏しいことから、ほとんどのメーカーがツール業者に対して実質黙認という姿勢を貫いてきましたが、そういった意味でもこの一連の裁判でブリザードが見せたチートハッキングに対する強い姿勢は意義あるものだったと言えます。
[追記]
今月上旬にはRiot GamesがLeague of Legendsのチートツール”LeagueSharp”を提供している運営会社を相手取った1000万ドルの損害賠償請求が米連邦地裁により認められています。
北米を拠点とするDenial Esportsは元NFLプレイヤーで現在はリアリティ番組などで活躍中のHank Baskett氏と投資会社Stephen A. Crystalによる買収を明らかにしました。
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— Stephen A. Crystal (@StephenACrystal) 2017年3月15日
Denial Esportsにはオーバーウォッチの他に、CS:GO、Guild Wars 2、スマブラ、SFV、H1Z1、ロケットリーグなどのロスターが所属しており、2015年にはCall of Duty World Championshipのタイトルも手にしています。
米国ではRick Fox, Shaquille O’Neal, Gordon Hayward, Jeremy Lin, Jonas Jerebkoなど現役/元プロスポーツ選手によるEsports参入が相次いでいます。