韓国におけるブーストビジネスの実態について

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先日OWLフィラデルフィアが過去にブースト行為を生業としていた韓国人プレイヤーのSadoを獲得したことで、韓国内のOWシーンでは大きな論争を呼び、それは現在も続いているそうですが、一方でredditの反応はというと、「スキルの高いプレイヤーがポケットマネーを稼ぐのは、ブースト行為がゲームで禁止されてるとはいえ、そこまで深刻な問題ではないように思える」といった比較的クールな反応も少なくなかったようです。

この点についてTISrobin氏が何故韓国でそこまでブースト行為が忌み嫌われ、大きな問題となるのかについてポストしていたのでそのまとめになります。

Deadlock
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韓国でのブースティングは個人の小遣い稼ぎの範囲を超えて既にビジネスとして成り立っている。2000年代後半になりLoLがesportsシーンに登場して以降、業者の数は増え続け、今ではgoogleで롤 대리 (LOL Boosting)と検索すると無数の業者のサイトがヒットする。

こういったブースト業者のサイトにはカスタマーセンターの電話番号が記載されており、電話対応に出たマネージャーと簡単な相談をした後にクライアントに最適なスタッフが紹介される。

これはオーバーウォッチでも同様で’Overwatch Boosting’を意味する오버워치 대리を検索にかければこれもまた無数のブースト業者が検索結果に表示され、記載された電話番号にダイヤルすると同じようにマネージャーが対応に出る。

それぞれの業者は平均10~12名の「ブースター」と数名のマネージャーで構成されている。業者の正確な数は不明だが、LoL、OW、PUBG、Starcraftなどを全て含めると数百社規模になる。

ブーストサービスの価格は検索結果上位のサイトでは以下のような価格帯になっている。

SR

0001~2500 : 4000 Won ($3.7)

2500~3000: 5000 Won ($4.5)

3000~3250: 5500 Won ($5)

3250~3500 : 7000 Won ($6.4)

3500~3750 : 13000 Won ($12)

3750~4000 : 17000 Won ($16)

4000~Top 500 : Custom Counseling

トップ500以上になると希望する順位やその難易度によって価格は応相談となっているが、これらの価格は凡そどこの業者も同じ。

LoLやOWで将来のプロゲーマーを目指す若者にとって自身のランクなりSRを上げることがプロへの第一歩となるが、こういったブースト行為によって彼らの道が閉ざされることにもなりかねず、韓国のesportsシーンが不健全なものになると危惧されており、KeSPA(韓国esport協会)ではブースト行為が長い間の懸案事項であった。

こういったことから2012年6月に議員らがブーストビジネスを違法とし、esports振興法にもそれを明記するとの法案を提出した。現在、国会でもこの法案について審議されており、多少の時間はかかっているものの、施行されるのは時間の問題となっている1。政府はブースト行為を「SAT(大学進学適正試験)で替玉受験するのと同等の行為」と位置づけており、法案が通過すれば、ブースト行為によって、最大2年の懲役か1万8000ドルの罰金刑に処されることになる。

現在韓国サーバーのトップ500のうち約1/4の150アカウントほどがブースト行為によるものと言われている。さらにブースター(ブーストキャリーする側)の中にはAPEXやChallengerシリーズに出場していたプロ選手も多く含まれていると見られており、そのほとんどが発覚せずに現在もブースト行為を行っているという。

数週間前の出来事だがあるブースト業者が大胆にも以下のような広告を展開していた(広告は既に削除)。

そこには、この業者の雇われチーム”Team Tracer”ではFlash Lux、Kongdoo、Luxury Watch、Conboxから来たプレイヤーが親切丁寧に貴方をガイドするなどと書かれていた(ただし、単なる虚偽広告の可能性もありプロ選手が関わった証拠はないそうです)2。韓国のコミュニティはこの広告に書かれたブースターが一体誰なのか犯人探しに躍起になったが現時点でAPEXを主催するOGNは誰一人としてその存在を確認できずにいる。これまで発覚した唯一のプロがフィラデルフィアのSadoだが、彼以外にも、OWLに所属するプレイヤーの中にさえいる可能性もある。

先日にはRunawayの選手とブースト業者との間でちょっとした諍いがあった。業者のチーム”Team Pharah”がランクマッチでX6 Gaming所属選手数名がいるチーム相手に勝利する動画をFacebook上にあげて業者プレイヤーの能力の高さを宣伝していたが、これを見たHaksalは「6スタック(うち2人が客)でプロのいる野良チームに勝ったところでそれは能力が高いからではないよ、間抜け」と怒りを露わにしていた3。Kaiserも「Facebookのページが削除されるまで僕は何回このろくでなしどもをリポートしたことか」とコメントしている4

Sadoのケースに関して言えば、彼は過去に業者チームの”team 뜨용”でメインブースターとして活動しており、更にはこの業者のサイトも運営していた(現在は残っていないが広告のイメージは残されている)OGNと韓国のesportsルールではブースターのトーナメント参加を禁止しており、違反が発覚した뜨용はシーンから追放されている(彼らが無名なアマチュアチームであっために、この出来事が大きく報じられることも正式に発表されることもなかった)。Sadoはその後すぐに韓国のesportsシーンから姿をくらまし、フィラデルフィア入りのニュースが報じられるまで表舞台に彼の名前が出てくることはなかった。この突然のニュースに韓国シーンでは選手、コーチ、キャスター、ファン全員が愕然とし、Fissureをはじめ、その多くはフィリーがSadoを獲得したことに対して配信やツィッター上で抗議している5

前述の法案通過後、ブーストビジネスはブラックマーケットとなり、仮にSadoの「海外逃亡」と過去の発覚がもう少し遅ければ彼は刑事処分を受けていた可能性もある。ブリザードが彼のOWL入りを認めることはブースターがプロになるために海外へ逃れるという選択肢を与えてしまうことになる。

脚注:

  1. New South Korean bill could send boosters to jail
  2. チュートリアルプログラムというサービス名で宣伝しているものの、実態はブーストサービスであるとのこと。ただし、繰り返すと彼らプロ選手がブースト行為をしていたという明確な証拠は見つかっていないそうです。
  3. http://www.inven.co.kr/board/overwatch/4538/3540386?p=4&my=chu
  4. http://www.inven.co.kr/board/overwatch/4538/3540510?p=4&my=chu
  5. C9Kongdoo Fissure Mentions ‘Sado’ of Philly: “Why is such a Notorious Booster on an OWL team? I expect the Org to Explain the Mistake.”
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