[Overwatch] 最新メタリポート(10/12)アジア vs 欧米

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今回の最新メタリポートはAPAC Premier、OGN APEXが行われたウィーク(10/5~)のマッチを対象に集計されています。

Overwatch Hero Tier List and Meta Report: East vs. West Edition

これまでメタリポートの対象は欧米チームに偏っており、アジアのチームは限られたケースのみ対象としていたが、今回のリポートではアジアのメタにも目を向けてみたい。

とりわけAPAC PremierやOGN APEXといった欧米とアジアのトップチームが相まみえているビッグトーナメントでは韓国チームがRogueやReunitedといった強豪を相手に勝利しており、アジアのプレイヤーベースは無視できない存在となっている。

今回のリポートではSティアーのヒーローは存在していない。アジアのチームは欧米のチームほどにはルシオを必須とは思っていないようだ。実際にディフェンスではゼニヤッタとアナのサポートコンポジションを運用する傾向もあり、アジアのチームは戦術面で一歩先を行っているようにも見える。

Aティアーのルシオとザリアは洋の東西を問わず支持されている。この二人が統計的にB以下になることは稀であり、ゲームで最も信頼できるコンビと言える。これから紹介する動画で韓国チームが見せた不屈とも言える強靭なチームプレーは、多くのプロ選手やベテランが称賛していたが、これもザリア、ルシオ、アナが揃った時になし得るものだろう。

リスポーンと同時にナノブーストとスピードブーストにより強化された超高速ザリアのサージが間一髪で相手の動きを封じ、スピードブーストに乗った残りのメンバーもすぐに駆けつけている。

配信されたばかりのハロウィンパッチでアナが調整された。その影響がはっきりと出るにはまだ少し時間がかかると思うが、アジアにおいてもアナを中心にメタが回っていることに変わりはない。しかし、アジアでは3×3メタやベイブレードメタにとらわれることなくアナを広く活用している。アジアシーンでは非常にレベルの高いゲンジプレイヤーが多く、このゲンジはアナのナノブーストを得たときにモンスターと化す。これは欧米に多いリーパーのUltを活かすベイブレード戦術とよく似た点でもある。ラインハルトはKotHでの使用率はザリアに比べ劣るものの、アナメタにおいては依然としてナノブーストの有効な選択肢のひとつである。

アジアのチームはラインナップのバリエーションが多く、その結果としてCティアーのヒーローが増えている。これまでこれらのヒーローは特定のプレイヤーを活かす戦術や、攻撃が機能しないときのスワップヒーローとして選択されることが多かったが、アジアのチームではコンポジションに変更の余地がある時や戦術プランが複数ある時は、これらのヒーローを柔軟に採用している。

Cティアーのヒーローに目を通してみると、リーパーは使用率がやや落ちているが、これはナノブーストのナーフによる影響が出ているのかもしれない(ブロッサム+ナノがここ最近のトレンド)。ウィンストンはKotHでの使用率が高いことに加え、3タンクメタではオプションのひとつになっている。メイは最終ポイントの防御だけでなく、攻守両面でメインとして使われるか、少なくともヒーロープール(補欠ヒーロー)のトップに位置している。マクリーとゼニヤッタ(のディスコードオーブ)はダメージソースとしてペアで選ばれることが多い。トレーサーはKotHで75%という圧倒的なピック率を誇るがペイロードにおいても無視できない存在となっている。前述したとおり、ナノブーストと龍神剣でモンスターと化したゲンジは今大会でも脅威となっている。プロトーナメントにおいてロードホッグのフックをコンスタントにヒットさせるには高い技術がいるが、彼のUltはナノブースト化したヒーローを追い払うことで、その数少ないカウンターとして機能している。

Dティアーではファラとマーシーのコンビがランクをあげている。実際はDティアーのピック率5%に僅かに届いていないものの、他のDヒーローとほとんど差がないためにDティアーとして扱っている。アジアのチームはファラ&マーシーコンボを積極的に採用しているが、一方で相手チームにマクリーの存在を確認すると躊躇うことなく別のヒーローにスワップしている。彼らが頑なにファラを推してくる理由は不明だが、敢えてメタに逆らうプレースタイルを固持しているのかもしれない。同じくティアーをあげたD.Vaは最終ポイントで、ハンゾーはいくつかのマップでオフェンスヒーローとして使用されている。

Fティアーのヒーローは欧州だけでなくアジアにおいてもハイレベルなシーンでは使い道がないようだ。興味深いデータとして、アジアのチームは最終ポイントでの守備において、トレーサーやD.Vaをバスティオンにスワップするケースが時折見られたが、大抵はよい結果に繋げることができなかった。

APAC PremierとOGN APEXがはじまった時、我々欧米のコミュニティはアジアには豊富なeSportsの歴史があるものの、ことFPSに関しては優秀なプロ選手を輩出してきた欧米が有利であると考えていた。そして、オーバーウォッチのメタにおいても進んでいると考えており、アジアのチームがゲンジやファラマーシーを選ぶのを見て笑うことすらあった。しかしそれが間違いであったことは、NRG対Vici Gaming(中国)、NRG対Snake(中国)、Rogue対Lunatic Hai(韓国)、Reunited対Runaway(韓国)の試合を見れば分る。

欧米とアジア、特に韓国と比較するとチームのサポート体制に大きな違いがある。欧米のチームでは一般的に一人か二人のマネージャーが在籍しており、コーチ/分析といった役割もこなしているが、マネージャーとしての仕事が多くを占めている。一方でアジアでは選手とマネージャー以外にも、世話役、アナリスト、コーチが別々に存在しており、こういったグループを2チーム擁しているチームもあり、お互いがよいスクリム(練習試合)相手にもなっている。噂レベルではあるが、中韓のチームはスタッフ・メンバー全員が1日16時間を練習、分析、戦術プランに費やしているという話もある。さらに、韓国チームのコーチは複数ページに渡る欧米チームの詳細なリポートをマップごとに用意しているとも聞いている。

選手スタッフがよりチームにコミットするためには、それに伴う相応の対価が必要となるが、欧米のオーバーウォッチシーンにおいて、アジア並のサポート体制を敷くことができるチームはまだ存在しない。ここ最近欧米では大型資本のeSports参入が続いてはいるものの、今すぐにサポート体制を充実させるのは、ビジネス的によほどのことがない限り難しいと思われる。アジアがオーバーウォッチを制する日は近い。

※このリポートでの「アジア」は主に中韓におけるeSportsシーンを指しているものと思われます。

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アジアのチームは欧米に比べファラ、マーシー、バスティオンといったFティアーのヒーローを使う傾向があるが、その詳しいデータは以下のとおり。マップによっては、開幕でトールビヨンを選ぶ選手もいることが分る。

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