今回の最新メタリポートは2月4-5日の週末に海外で行われたトーナメントとAPEX Season 2でのマッチを対象に集計されています。
プロフェッショナルシーンでのヒーローの多様性を目にしたいのであれば先週末はベストな週末だった。あらゆるヒーローがプレイされただけでなく、そのヒーローがプレイされた明確な理由が存在していた。そうジャンクラッドでさえも。しかし、これで本当にメタに多様性が生まれたのか、それともバランスパッチ後特有のメタが固まるまで変遷期なのかそれはまだ分からない。後で両方の面からそれを検証しているが、ひとまずは今週のヒーローの全体的な使用率を確認してみたい。
TIERS
S Tier (>=95% Usage Rate): No one!
A Tier (>80% Usage Rate): Lucio (91%)
B Tier (>50% Usage Rate): Reinhardt (71%), Ana (70%), Soldier 76 (58%), Zarya (57%)
C Tier (>20% Usage Rate): Genji (42%), Tracer (41%), Roadhog (38%), Winston (37%), Zenyatta (25%)
D Tier (>5% Usage Rate): D.Va (16%), McCree (15%), Pharah (14%), Mercy (6%), Reaper (5%)
F Niche Tier (<5% Usage Rate): Torbjorn (4%), Symmetra (3%), Mei (3%), Hanzo (3%), Widowmaker (3%), Sombra (2%), Bastion (1%), Junkrat (1%!!!!)
前回は先月24日のパッチ後におけるヒーローの使用率の変化を分かりやすくチャートで説明したが、サンプルサイズが小さかったので、今回は前回分も合わせて2週間分のデータで使用率の変化を比較している。
DVAのナーフは直接的にも間接的にも大きなインパクトを与えている。彼女の使用率は実に60%近くも下がり、それは全てのゲームモードに及んでいる。その影響で他のタンクとDPSの使用率が上昇しているが、使用率を大きく上げたヒーロー6人のうち4人がDPSで一人がタンク、もう一人がヒーラーだった(ゲンジ、ウィンストン、ソルジャー、トレーサー、ゼニヤッタ、マクリー)。興味深いことにゼニヤッタはオフェンスとKotHマップのみ使用率が上昇しているが、これはダイブコンプにおいてアナの代わりに選ばれたことが影響している。一方でアナはディフェンス面で引き続きコアヒーラーとして君臨していた。ゲンジ、トレーサー、ウィンストンは全ての面で上昇している。他のマップに比べてKotHマップでの使用率が多かったが、KotHでは、機動力が低く体力の高いタンクラインナップから機動力が高くキルポテンシャルの高いダイブコンプへと構成が移っていることが関係している。ラインハルトはもはやロードホッグを盾で保護する必要はなく、より機動力の高いウィンストンの台頭により、ラインハルトの使用率は特にKotHで著しく低下している。
DVAが以前のような性能に戻ったことで、ソルジャーの使用率も全てのモードで上昇している。マクリーも数字を上げているが、ソルジャー、トレーサー、ゲンジほどではなかった。これにはいくつか理由があると思うが、弾をハズしてしまった時の出力が一気に低下するマクリーに比べ、より安定してダメージを与えることができるソルジャーが好まれ、更にナノブーストとタクティカルバイザーのコンボはよりイージーに成功させることができる。ゲンジはナノブーストやグラビトンサージなど他のUltとの相性が良く、トレーサーのパルスボムもサージとの相性が良い。そしてUltのチャージ効率も高い。これらの理由と機動力が高いことから、この3人のDPSがマクリーよりも多く選ばれているように思われる。しかし、Winter PremierでGrimreality選手が見せたように、コンスタントにヘッドショットを決めていけば、新たなメタにもマクリーの席は用意されているだろう。
今回のバランス調整でブリザードはついに正しい調整方法を手にし、我々がメタに期待していた本来の姿を作りあげたのか、それともEnVyUsやLunatic-Haiのようなチームがまだ確固としたメタコンポジションを見つけ出してないだけなのか、2つの見方が存在しているように思う。私は時間をかけてパッチ後に最もバランスの取れたメタが存在するか解明しようと試みたが無理だった。現時点では多くの要素が絡んでくるため、2つの側面からこれを検証してみたい。
先週は欧州、米国、アジアでいくつかの大会が開催されたが、目立ったことのひとつは多くの異なるヒーローがプレーされていたことだ。チームは結果を恐れることなく、あらゆるヒーローを試し、全てのヒーローにピックされる理由があった。Hollywoodのファーストポイントではジャンクラットとシンメトラのスパムベースのディフェンスが機能してさえいた。韓国チームはファラがいない構成でマーシーを出してもいたし、ウィドウメーカーの姿も何度か見られた。欧州の大会ではGamersOriginがソンブラ主体のラインナップをKotHで成功させてもいた。とある2チームはペイロードにバスティオンを載せたカートオフェンスをも展開していたが、これは何かを啓示する兆候だったのかもしれない。
ブリザードはアナのグレネードとDVAのサバイバビリティを同時にナーフしたことである種の金脈を掘り当てたに違いない。DVAのデュエルがDPSヒーローへ脅威を与えることはなくなり、彼女がいたスポットはDPSヒーローが占めている。アナのグレネード弱体化はオフェンスやKotHのように機動力を必要とする場面でタンク偏重からダイブコンポジションへの扉を押し開くことになった。アナはダイブコンプでの存在感が薄れつつあるものの、それ以外の構成、特に機動力をさほど必要としないディフェンスでは最も使われているサポートヒーローである。パッチ前のアナとDVAはメタの多様性を抑制する存在だったが、これらの変化はその重圧が取り除かれたことを意味している。
今週(正確には先週)末のトーナメントで目立ったことがもう一つある。それは韓国以外のトップチームがプレーしていなかったことだ。韓国のチームは欧米のチームのメタに従ったりはせずに、ゲンジを軸としたダイブコンプを運用することで知られている。オーバーウォッチでは、トリプルタンクを先取りしていたNinjas in Pyjamasのような風変わりなチームを除くと、トップチームが採用したコンポジションを他のチームがなぞっていく傾向にある。我々はまだ、EnVyUs, Misfits, Cloud9といったチームが韓国で密かに練っている戦術を目にしてはいない。今週のデータは久しぶりに欧州で開催されたトーナメント(Strivewire Monthly)に出場したチーム、北米のHaste Cupに出場した馴染みのないチーム、そしてマーシーでゲンジをブーストするような運用方法を考えていた韓国チームが含まれたデータである。どのバランスパッチでも配信後の1~2週間は、トップチームのラインナップが固まり、他のチームがそれをこぞってコピーし出すまでは、メタに囚われない、なんでもありの状況が起こり得る。これまではスーパーダイブコンプからベイブレードへ、そしてタンクメタの隆盛が続いた。次のメタはダイブ主体のコンプか?それともロードホッグ、ザリア、ラインハルトのトリプルタンク派生か?ファラとウィドウメーカーを同時に出す余地は残っているのか?まだ答えを出すには早すぎるので、今はこのカオスな状況をできるかぎり楽しみたいと思う。
以下のデータはどのヒーローがどういったマップで使われ、その勝率はどの程度であったのかを示すデータである。
このデータでは今週のWatchpoint: Gibraltarは攻守ともにウィンストンの勝率が100%であることが分かる。このマップでウィンストンを使用したのは6選手でトータル8ゲーム。そのうち、ディフェンスが4回、オフェンスが4回、数人の選手は攻守両方でウィンストンを選択している。ハイグラウンドの多いWatchpoint: Gibraltarではウィンストンは常に強力なピックではあったが、選ばれた全てのピックが勝利をあげていたことは非常に興味深いと言えるデータだ。
トールビヨンはNumbaniのディフェンスで5回プレーされているが、そのうち勝利したのは僅かに1ゲーム(それと幸運にも引き分けに終わった1ゲーム)のみだった。Numbaniのディフェンスはこれまでトールビヨンが選ばれることがある数少ないマップであったが、この古びた戦術をテストしたチームは勝利に繋げることはできなかったようだ。
DVAはNumbaniのディフェンスで5回、オフェンスで6回使われていたが、この11回のうちに勝利に繋げることができたのはたったの3回だけだった。これらの出撃回数のうちの多くで、DVAが生き延びることができた時間は2分以下だったが、彼女がゲームに与えていたインパクトについては議論の余地があるように思う。ディフェンスマトリックスに若干の変更が予定されているため、今後の彼女の使用率については注目していく必要があるだろう。彼女のディフェンスマトリックスは今以上にザリアのサージやロードホッグのフックコンボ(プルされた後のダメージ)を防ぐ有効な手立てになるかもしれない。
Overwatch Hero Tier List and Meta Report: The Meta that was Promised
https://www.overbuff.com/blog/2017-02-08-overwatch-hero-tier-list-and-meta-report-the-meta-that-was-promised