強敵Lunatic-Hai、そして金曜日のLW Blueと2試合続けてアップセットを演じAPEX Seson 2決勝進出を決めたRunaway。
メインスポンサーを持たないアマチュアチームである彼らが今シーズンのベストバウトとも言える名勝負を演じファイナルに進出できた理由はシーズン途中で練習に対する意識が変わったことにあるそうです。
チームのリーダーでチームメイトも絶大な信頼を寄せるRunner選手と、この試合でKaiser選手と共に勝利の立役者となったStitcth選手のインタビューを紹介します(Inven /Akshon Esportsより)。
‐まずは、LW Blueとの激戦を制してファイナル進出を決めた今の感想を聞かせて。
Stitch:正直ここまで来れるとは思っていませんでした。とてもハッピーだし誇りに思っています。チームメイトにも感謝しているし、本当に幸せな気分です。今までの人生の中で最も幸せな瞬間だったと思います。
Runner:僕達はKongDoo Uncia戦から本当に成長したと思う。以前は一生懸命に頑張ると意気込むだけだった。練習はハードにこなしていたつもりでも、実際には十分ではなかった。KongDoo UnciaとLunatic-Hai戦を控えた一週間前でさえ、僕は1日10時間の睡眠を取っていた。チームに合宿所はないんだ。そしてアナリストもいないから僕は夜中に起きてチームの分析を行うことにした。その甲斐もあって強敵相手に勝つことができた。僕も含めてチーム全員が、本当に懸命に努力すれば報われるということを学んだと思う。
今日の試合を前に、Stitchは腕を痛めていたし、BUMPERはトーナメント前にメンバーとバスケットボールをプレーして靭帯を痛めていた。さらに、僕には娘がいるんだけど、彼女がここ4日間高熱を患っていて、何度も緊急治療を受けていた。僕は父親として家族が必要とする時に側にいることができなかった。何度か練習を抜けることはあったけど、サポートしてくれた家族には申し訳ないと思うと同時にとても感謝している。他のチームと比べると決して良いとは言えないコンディションの中にいてもチームメイトは僕を全面的に信頼くれた。彼らにも本当に感謝している。そういった経緯もあって、決勝進出を決めた瞬間、感極まって泣いてしまったんだ。
‐今日の勝利を予想していた?
Stitch:必要以上にストレスを感じずに落ち着いてプレーすれば勝てると思っていました。このゲームではストレスを感じる展開になりやすいですけど、Runnerさんが気を配って上手くコントロールしてくれていました。
Runner:試合前に勝敗予想を見たよ。7対3でLW Blue有利の予想だった。Lunatic-Hai戦の時はそれよりもっと低かったけど、それでも勝てると考えていた。Fl0w3r(Nanohana)はAPEX Season 1の予選の頃から僕やHaksalがいたチームに勝てなかったし、LW BlueがRunawayを破った試合もあったけど、その時はLW BlueにFl0w3rはいなかった。今日の試合で彼は腕を怪我していたから、本来の力が発揮できなかったと思う。試合に勝てたのもそれが少なからず影響していたんじゃないかな。彼の怪我が早く治るように願っているよ。
‐LW Blueはコントロールで一度も負けてなかったけど、君たちは今日その記録を止めた。
Runner:LWがどんなコンポジションで来るか予想していたし、両チームともウィンストン、DVA、トレーサーとゲンジもしくはファラの構成になるだろうと考えていたけどその通りになった。多くの人がダイブコンプはLW BlueとLunatic-Haiがベストだと言うけど、僕らもダイブコンプには自信があったから敢えて同じ戦術をとることにした。僕はチームメイトを信頼しているし、僕らにとってゲンジといえばHaksalで、トレーサーといえばStitch、DVAといえばBUMPERだ。Kaiserの場合はウィンストンではなくラインハルトだけどね。実際は思っていたよりも楽にバトルに勝つことができて驚いているくらいさ。
‐Stitch選手のトレーサーはとても印象に残った。フランキングからアナをパルスボムで葬ったシーンは特にドラマチックだった。試合前に何か特別なプランはあったの?
Stitch:とにかく相手のアナを封じることが必要だと確信していました。だから常にアナにフォーカスしていたし、アナさえ仕留めればチームが勝つことができると考えていたので、不利な状況でもアナを狙い続けることに集中しました。普段はHaksalくんのゲンジが主にアナを狙っていますが、今日は僕のコンディションがとても良かったのでRunnerさんに今日は調子がよいと伝えたら、お前がアナを狙いに行けと言われました。
‐Runawayにはチームハウスがないからブートキャンプができずに練習も別々だ。これは他のチームに比べると不利になると思うけど、どうやってその不利を克服したの?
Runner:多くの練習をこなすことは確かに重要だけど、それと同時にどのような練習をするのか、メソッドも重要な要素だ。ブートキャンプ用の合宿所やコーチもいるチームが勝てない現実を見てきたけど、それはチームの練習内容がベストではなかったのかもしれない。友人でもあるコーチのNomiはチーム全員が6時間一緒に練習したとしても、練習から得られる経験や学べる量はメンバーそれぞれ異なると考えている。できるだけ一緒に練習する時間は取るようにしているけど、たとえ他のチームのようなブートキャンプができなくても練習次第でそれを補うことは可能だと思う。
チームは実際に準決勝前にホテルでブートキャンプを行った。ただ、韓国でもOverwatchはesportsとしてまだ完全に市民権を得たわけではないから、学校に通わなくてはいけないメンバーもいた。チームがOverwatchで成功できると確信したら、将来的にもっとブートキャンプの回数を増やすことになると思う。メンバーそれぞれ置かれた状況や境遇も異なるから、環境を無理に変えてつきを逃したくなかったんだ。
‐Runner選手はRunAwayを結成した当時ストリーマーだったけど、多くの人々がその実力に疑問を持っていた。当時はどう思っていた?
Runner:僕は4年間LoLの配信をしていたとはいえ、本当に好きだったゲームはFPSなんだ。プレーしていたSudden Attackではプロになれそうもなかったからセミプロレベルで止めてしまったけどね。Overwatchはクローズドベータの頃からプレーしていたし、面白すぎてLoLを止めてしまったくらいさ。LoLをプレーしないRunnerはRunnerじゃないなんて批判にも晒されたけどね。最初は自分でトーナメントを開こうかと考えていたけど、それを考えた次の日にOGNからOverwatchのメジャートーナメントを開催するという発表があった。
配信者のトーナメントで既に優勝していたこともあって、チームにHaksalを誘った後でAPEXに参加することになった。スタートは好調でトップになるために頑張ったけどその後は困難な状況が続いた。今シーズンはチームの立て直しが功を奏したとはいえ、実は今シーズン僕はプレーするつもりはなくて、チームの外からメンバーをサポートしようと考えていた。今思うと少し馬鹿げた考えであったかもしれないね。
僕が今のチームメイトとプレーし始めた頃はチームの収入が20%近くも落ち込んだ。ファンは僕がプレーすることに納得していなかったから、僕はAPEX Season 2ではもうプレーしないって宣言したんだよ。その後もチームとは一緒に練習を続けていたし、控えのCoMaのほうが僕より優れた選手ではあるけど、チームは僕がいるとエネルギッシュに戦えるということで、メンバーの勧めもあって、じっくりと考えた後再びメンバーの一員として戦うことに決めたんだ。
Season2の初戦は勝ったものの、次のKongdoo Panthera戦で大敗してしまったから僕はまた批判に晒された。精神的にも堪えたよ。だから、KongDoo Uncia戦ではプレーしないことに決めたけど、その時もチームメイトから一緒に戦うように頼まれたんだ。コーチのNomiもそうすべきだと言ってくれた。Panthera戦のような負けは二度と繰り返さないように僕らは本当にハードに練習した。チームの調子が良くなったのはその時からだね。
‐最後の2マップではRoute 66のタイブレイクでLWに2点目を許し、Eichenwaldeは最終ポイント寸前まで迫られた。そのことについてはどう考えてる?
Stictch:最初のスタートはよくなくてチームの士気も落ちていました。だけどそれに気づいたRunnerさんの声出しのおかげでチームは萎えずに士気を保てたように思います。
Runner:実際にはチームの不安を取り除くようなことをただ言うだけでは何の効果もないんだ。敗れたKongDoo Panthera戦では声は出してもチームメイトの士気にそれほど気を配っていたわけではなかった。それをきっかけにして、声を出すだけじゃなくて、前列にいるチームメイトの背中を見ながら励まし続けるようにしたり、チームメイトに過去のよいプレーを思い出させるよう心がけるようになった。最後のEichenwaldeもLunatic-Haiに勝ったマップだったからメンバーには最後まで諦めないようにあの時を思い出すように言い続けた。
決勝はKorea Universityで開催されるけど、僕らのメンバーは高校のGPA(学力評価)がKorea Universityに合格するほど高くないから、少なくともOverwatchだけでもKorea Universityに行くんだって励まし続けたよ(笑)。
EichenwaldeでSaebyeolbeのトレーサーにヤラれて最初のポイントを取られた時に、メンバーの間でちょっとした言い争いがあったけど、済んだことは忘れて、最終ポイントさえ防げばチームは勝てると皆に言い聞かせた。それでチームは最後まで試合に集中して戦うことができたと思う。
僕はメインのショットコーラーを担当しているけど、最終ポイントでの攻防も不安定だったね。BUMPERのザリアがロードホッグのフックでヤラれて5対6という状況ではあったとはいえ、6対5になると相手は気を緩めるだろうからまだ勝てると考えていた。こういう時はだいたい「相手は一人死んだからUltを温存しろって」と言うものなんだ。だからチームには引かずに前に出ろって言ったよ。Kaiserのアースシャッターが溜まっていたし、僕のスピードブーストもあるからね。ただ、この時、相手のMeiの存在が気になった。MeiにUltを使われたらポイントに到達するのはかなり厳しいだろうと考えた。だからまずチームには先にMeiを倒すように指示した。結果的に彼女を先に倒す必要はなかったけど彼女のUltゲージが増えたらやっかいだからね。Kaiserのアースシャッターで道が開けたのもチームが前に進もうとしていた時だった。
あの時のチームの士気は本当に素晴らしかったと思う。汚い言葉も飛び交っていたけどね。6対6の状況だったらどうなっていたか分からない。あの場面では僕らがアースシャッターを喰らっていたかもしれない。Lunatic-Hai戦でアースシャッターとブリザードを使われWhoRuに一掃されたシーンも思い出したよ。
‐ファイナルに向けて何かプランはある?最後にメッセージもあればお願い。
Sticth:個人的にはファイナルはMeta Athenaと戦いたいです。スキルがとても高いプレイヤーが揃っているし、前から彼らと戦ってみたいと思っていました。Lunatic-Haiには一度勝っていますしね。一生懸命練習してトーナメントの最後を優勝で飾りたいと思います。
Runner:僕も決勝はMeta Athenaと対戦したいね。Lunatci-Haiには一度勝ってはいるけど、本当に強いチームだよ。Miroのウィンストンとはもう二度とやりたくないな。ルシオだと生き残るだけでも大変なんだよ。個人的には僕らの方がMeta Athenaよりも上にいるんじゃないかと考えている。そう考える理由を話すと彼らがそれを分析して対策を練ってくるだろうから秘密にしておくけどね。彼らとは一度スクリムしたことがあって、「決勝で当たるかもしれないからスクリムは止めよう」って言われたよ(笑)。
Luntatic-Haiとまた当たることになったら本当に恐ろしいね。彼らは本当によいチームだよ。僕は彼らに一度勝っただけでもう満足しているし、金輪際対戦したくない(笑)。Meta Athenaと戦いたいと思っているのは、彼らとトーナメントで一度も対戦したことがないからでもある。ファイナルに進出できただけでも満足しているから、例えファイナルで負けたとしてもそれほどガッカリはしないと思うな。とはいえ、アマチュアチームでもトーナメントで優勝できることを示したいね。ベストを尽くすよ。
最後の最後で試合を決めたKaiser選手のアースシャッター。試合終了直後、Kaiser選手が一人佇んていた理由はRoute 66での自分のプレーに納得がいかなかったことが原因だそうです。