過去のBlizzard採用担当の不適切な言動が問題に

セクハラ問題に揺れるBlizzard Entertainmentにとってまたしても好ましくない事実がWaypoint(Viceのゲーム部門)のリポートにより明らかになりました。以下、このリポートのまとめ的なものになります。

2015年8月、ラスベガスで開催されたサイバーセキュリティ会議「Black Hat」にBlizzard社は同イベントのスポンサーとしてリクルート用のブースを用意していた。当時仕事を探していたセキュリティ調査員のEmily Mitchellさんは同社のブースに赴く。

彼女はブースでペネトレーションテスト(システムの脆弱性テスト)のポジションについて質問。この時、Blizzardの従業員のひとりが迷子になったのかと尋ね、別の一人は彼氏と一緒に来ているのかと尋ねた。さらに別の従業員はペンテスト(上記テストの略)が何なのか理解しているのかと聞いてきた。

Mitchellさんによるとその時の会話は非常に侮辱的なものであったという。彼らの一人が、最後に挿入(penetrate1)されたのはいつか、挿入されるのは好きか、挿入される頻度はどれくらいかと尋ねてきたことに彼女は激怒しその場を立ち去ったという。この時Mitchellさんは「Penetration Expert」とプリントされたTシャツを着ていたが、ペネトレーションにかけた下ネタとはいえ、就職説明会という場を考えればセクハラと批難されても言い訳できないだろう。

Mitchellさんは当時シングルマザーであり、仕事に就くチャンスを失いたくなかったことから、Black Hatの主催者にこの事実を報告しなかったと話している。当時はサイバーセキュリティ業界も男性優位の社会であり、女性は見下され、嫌がらせやちょっかいを受ける文化が根付いていたという。

この話には後日譚があり、さらにストーリーは続く。「Black Hat事件」から2年後の2017年にBlizzardはSagitta HPC社(現Terahash)とセキュリティに関する業務提携を検討していた。当時MitchellさんはそのSagitta HPC社のCOOに就任していたが、Blizzardから業務に関する問い合わせがあった際に、Sagitta HPCのCEOであるGosney氏に過去の出来事を話し、提携については「Fuck no」と伝えたという。話しを聞いたGosney氏はBlizzardからの見積もり問い合わせに対して、例の事件のあらましを記した辛辣な内容のメールを送り返している。

さらにこのメールでは、件の会議でBlizzard従業員から同様の扱いを受けていた女性が他にも大勢いたことが明らかにされている。Gosney氏はこの時のメールの内容をBlizzardの名前を伏せて2017年にTiwtter上で公開しているが、Gosney氏はBlizzardとの契約を断る前に彼らに名誉挽回のチャンスを与えるため、その条件として①Blizzardとの取引には50%の「女性差別税」を課して収益は女性支援団体に寄付する、②「Grace Hopper Celebration of Women in Computing 2017(世界最大のコンピューター関連の女性会議)」のスポンサーとなる、③重役クラスから当社のCOO(Mitchellさん)宛に正式な謝罪文を書き、2017年早期にBlizzardの全社員が機会均等とセクハラについて研修を受けたことを確認すること―これら3つの条件をBlizzardに提示。尚、この返信メールは3月8日の国際女性デーに送付されている。

Blizzardがこの条件に応じる気がないことは明らかだったが、報告を真摯に受け止め、社内調査やセクハラ研修実施などの空約束をしてきたという。

Blizzardはこの件に関するWaypointの取材についてコメントを差し控えている。

Mitchellさんは2017年になって2015年のBlack Hatでの事件を同イベントの主催者に報告。2015年のBlack Hatでは既に参加者に差別的かつハラスメント行為を控えるよう公式の行動規範が存在していた。Blizzardはスポンサーながらこの規範を破っていたことになる。

Mitchellさんの報告を受けた主催者はBlizzardを二度とBlack Hatのスポンサーに起用しないことを約束。Mitchellさんの事件が起きた2015年を最後に、BlizzardはBlack Hatのスポンサーからは降りている。

脚注:

  1. 貫くの意味だが、ペニスを挿入するという隠喩もある。
タイトルとURLをコピーしました