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オーバーウォッチリーグ:当初の参入費用は200万ドルだった?OWL参入に興味を示さなかったイーロン・マスク―OWLの将来を不安視するブルームバーグの記事まとめ

Overwatch League
2018-07-27 / Photo: Robert Paul for Blizzard Entertainment

金融メディアのブルームバーグから「揺らぐOWLの未来」と題された記事が公開されたので、いくつか目についたトピックだけまとめています。

OWL初年度に試合が開催されていたBlizzardアリーナでの観客水増しなど、これまで知ることのなかった興味深い内容も、関係者らの証言により明らかにされています。

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– Activision Blizzard(ABK)は初期12チームのリーグ参入費用として2,000万ドルを設定したが、これに最初に同意したのがボストンのKraftオーナーで次いでグラディエーターズのKronke、そしてNYXLのWilpon一族だった4。彼らはコティックCEOの友人であり、同CEOはOWLを売り込むためにプライベートなミーティングを開催したが、当時話し合いに参加した熱心なOWファンとしても知られるイーロン・マスクは食指を動かさなかったという。

– ABKを長年率いてきたコティックにとって、esportsは同社にとっても大きな計画の柱となっていた。フランチャイズフィーは総額2億4,000万ドルにも及び、T-Mobileなどの大手スポンサーの他、Twitchとは9,000万ドルの独占放映権を結んだ。

– OWLが始動してからすぐにその広大なビジョンに綻びが見えはじめたが、ビジネスモデルに問題を抱えたままコティックはリーグの長期的な展望を売り込み続けたと複数のリーグ関係者が匿名で証言している。

– ABKの不祥事発覚以降多くのスポンサーが撤退し、新シーズンのメインスポンサーはいまだに決まっていない5。リーグ発足以降既に5人のトップが退社するか現場を去り、現在は番組イベント製作を外部に委託している。

– 一部の内部関係者は、OWLが長期的に続くことを期待しておらず、マイクロソフトによる買収でその不透明さが増している。買収完了後にコティックが去れば、同CEOの肝いりだったOWLの運命を別の人間に委ねることになるだろう。あるオーナーはOWL参入はコティックに対する賭けだったと話している。

– 当初Blizzard社員が提案したOWL参入費用は200万ドル程度だったが、LoLのNA LCS参入費用が1,300万ドルにまで膨れ上がったことを受け、コティックが「0」を一つ追加した。元幹部のように「人々が遊びたいゲームと観たいと思うゲームを開発するのでは明確な違いがある」と、後付けでのesports化を疑問視する声もあった。

– ABKは2018年のリーグ収益を2,200万ドル、2019年は5,000万ドル、2020年に1億2,500万ドルと予測していたが、1年目こそ予想を上回り参入費用を3,500万ドルに吊り上げたが、それ以降の成長は期待を下回っている。

– ABKは当初、各チームがホーム&アウェイで戦うことを計画していたが、リーグ幹部やチームオーナー、特にesports業界での経験を持つ人間にとっては、初年度の段階でコティックが描いた構想が実現困難であることは明らかであった。ある元チームオーナーは「チームが期待していた、ライブイベントを持続運営するだけの収益をあげることは不可能だった」と語っている。

– ABKはチームに賞金とリーグ収益の50%を支払うことを約束していたが、チーム幹部らはリーグ側と競合するスポンサーと契約できないなど、収益をあげる手段が限られていたことに不満をもっていた。

– 従来のプロスポーツでは、自治体から税制面での優遇措置やスタジアム建設費の補助金などで初期投資費用を軽減できたが、epsortsではこういった取引をすることに無理があった。また、一般的にesportsの視聴者であるゲーマーは家で配信を観ることで満足しており、チケット、チームグッズ、売店などの売上では大きな収入源とはならなかった。

– 当時のesports幹部は、リーグ初年度が終わる頃にはBlizzardアリーナで観客が100人しかいないこともザラだったと話している。コティックや他のVIPが観戦するときは、社員をバスで送り、学生に無料チケットを配って観客を水増ししていた。招待した未来のチームオーナーにありもしない期待を売り込んでいたことについて、この幹部は後ろめたさを感じたと話している。

– チームのほとんどが満足なホームアリーナを持たず、リーグが描いたビジネスモデルは実現不可能な状況だったが、不幸中の幸いか、新型コロナウィルスが感染拡大したことで、ホームスタンドはほぼ全面的に中止となり、ライブイベント開催にかかる資金コストの流出を喰い止めることで恩恵を受けるチームもあった。

– 2020年にはフランチャイズ費用を支払わないことを検討するチームもあったという。ABKは残金の支払いを猶予し、さらに同社を訴えないという約束で、人件費として200万ドルを各チームの口座に振込んだと複数の関係者が証言している6

– OWLに対するコティックの熱意は時が経つごとに薄れていき、熱心だったチームオーナーとのミーティングに参加する機会も減っていったが、MS買収が発表された後にまた関心を持ちはじめているという。

– ABKのOWLへの取り組みを縮小する兆候はすでに顕れており、昨年にはesports部門の従業員50名を解雇している。一方でNYXLを所有するWilpon氏のように「どんなスタートアップ企業の投資にもこういったことはつきものである」として楽観的なオーナーも存在する。

参照

脚注:

  1. いずれも人気プロスポーツチームの富豪オーナーで、2017年のBlizzconではコティックCEOと同席してOWWCを観戦している。
  2. 現在はTeamspeakやUpper Deckなどがスポンサーに名を連ねているが、これまでのような大手は手を引いたまま。
  3. 元記事の内容が不明瞭だが、責任追及を躱すために人件費手当として補填したのかもしれない。
  4. いずれも人気プロスポーツチームの富豪オーナーで、2017年のBlizzconではコティックCEOと同席してOWWCを観戦している。
  5. 現在はTeamspeakやUpper Deckなどがスポンサーに名を連ねているが、これまでのような大手は手を引いたまま。
  6. 元記事の内容が不明瞭だが、責任追及を躱すために人件費手当として補填したのかもしれない。
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