シーズン中断期間に行われたと思われるオーバーウォッチのアシスタント・ディレクターであるAaron Keller氏のインタビューです。いくつかは他の開発陣のコメントと被る内容あり。
-ヒーロー重複を禁止したクイックプレイ導入ついて。
それを希望する声は届いているし、今はシーズン中断期間でランクマッチのようにヒーロー重複禁止ルールでプレイする手段がないからそういった声も大きくなっている。 理想的にはランクマッチ以外で、ヒーロー重複禁止も含めた同様のルールで遊べる手段を用意したい。もちろん重複制限なしのルールを楽しんでいるプレイヤーも大勢いるからそういった人たちへのオプションも必要だ。我々としてはこういったユーザーが望んでいるプレースタイルが少なくとも3つあるということを念頭に置いて積極的に話し合っている。
-ハイブリッド、エスコート、コントロール、アッサルト以外のオブジェクトを採用した新モードについて。
新モードについても積極的に話し合っている。ただし、新たなモードがリリースされるのかされないのかは約束できない。新モード実装にあたっては、チームが一つになって達成するようなオブジェクトが必要だと思っている。オーバーウォッチの基本はヒーローズベース、チームベースのシューターであり、チームの連携を必要とする戦術的な要素もある。
-他のゲームで見られるトラディショナルなゲームモードの導入は?
開発段階においては様々なタイプのモードを試してきた。オブジェクトが同時に複数存在するようなモードも試してきたが、このルールではチームの連携を取るのが本当に難しい。特にオーバーウォッチのチームサイズは小さいので、少ないメンバー間で複数あるオブジェクトをどう攻めるのか、もしくは守るのかという判断がとても難しい。 ハイレベルなプレイヤーの集まったチームであれば可能かもしれないが、野良のようにピックアップでこういったメンバーを集めるのは敷居が高い。それを踏まえた上で新たなゲームモードをリリースしたいと考えているが、将来的に新モードがリリースされるとしたら、シングルオブジェクトを巡って戦うモードになると思う。
-仮にシングルオブジェクトだとして、ハイブリッド、エスコート、コントロール、アッサルトは基本的に敵を殲滅してポイントを確保するというルールだが、それ以外のルール、例えばオブジェクトを破壊するといったルールの可能性は?
現時点でそういったルールのモードは存在しないが、内部では話し合ってはいる。ただ、こういったルールの導入には難しい面もある。多くの人からオブジェクト破壊の導入を薦められるが、こういった現状とは異なる仕組みのルールには問題があると見ている。 例えば、もし貴方がチームにエリアのコントロールではなくオブジェクトを破壊して欲しいと思った場合、守備側のチームをワイプするのか、それとも単にオブジェクトを撃つのかといった考えを巡らせることになるが、これはとても奇妙なことに思える。何故なら、皮肉なことに、ほとんどのケースにおいて、オブジェクトを破壊するために撃ち続けるにはエリアをコントロールしなければならないので、結局は今あるルールと大差ないということになってしまう。 それ以外にも問題がある。新たなゲームモードを実装するにあたっては(ルシオボールといった特殊なモードを除き)、全てのヒーローを使えるキャラクターにする必要がある。特定のヒーローがOPだからピック必須になったり、逆に使えないためにピックが許されないといった状況を生み出すことは望んでいない。例えば、キャプチャー・ザ・フラッグのようなモードではフラッグを自陣に持ち帰るために、トレーサーやゲンジといった機動力に優れたヒーローのピックが必須となるが、これは我々のデザインとは相容れないモードといえる。
-次の新ヒーローを含めて23人というキャラクター数はシューターであれば非常に多いが、MOBA的なDNAを有するゲームとしてはまだ多いとは言えない。
アナはハイスキルなサポートヒーローが足りなかったので、そのギャップを埋めるヒーローとしてデザインされた。私としてはラインハルトと似たようなプロフィールを持った、彼とは違うアプローチでチームの矢面に立つようなタンクヒーローが少なくともあと一人は必要だと思っている。他にも今のヒーローのラインナップに足りないものが少しあるように思うが、サプライズが台無しになってしまうからあまり突っ込んだ話はしたくない。いずれにしても、「ヒーローのロスターに足りないものを埋める」というのが我々のモットーといえる。
-ギャップといえば近接ヒーローがラインハルトほぼ一択だが?
ラインハルトを正しい位置に持ってくることはとても困難な作業だった。FPS視点のゲーム、特にオーバーウォッチのようにペースが速く、機敏に動くヒーローが多くいる中で、メレーヒーローを作るのはとてもチャレンジングだった。これらのヒーロー相手にメレーで対抗するのは時としてカオスとも言えるしラインハルトをプレーしたことがあれば誰でも感じることだと思う。ハンマーを振り始めたら最後、自分が死ぬか、目の前にいる敵全員が死ぬまで振り続けるなんてことがあったと思う。 FPSやオーバーウォッチのようにペースが速いゲームでは、少なくとも相手とある一定の距離を保つことが鍵となってくるが、メレーではこういったことが難しくなる。そして、それは何も近接攻撃を使う本人だけの問題ではなく、メレーヒーローを相手にする側にとっても困難な状況が生まれる。ある時まで(リリース前)、ゲンジは近接キャラクターとして存在していて、剣をふりかざしながら走り回るキャラクターだった。今のUltほどのダメージではなかったにせよ、相手にするととてもフラストレーションのたまるキャラクターで、彼が近づいてきたら彼の動きを捕捉するのはとても困難だった。ゲンジからすれば近接攻撃を当てるのは容易く、相手にとっては彼の背後をとるのは難しいので、近寄られたらダメージを喰らい続けることになる。
-新たなコンテンツとは別にキャラクターのバランス調整について。
プレイヤーがハイレベルなプレーやコンペティティブなプレーを身に着けていくと、バランス調整はいくつかのヒーローの命運を左右することになった。マクリーの調整は強化と弱体を繰り返すなどしたが、我々が行った調整はほんのわずかのさじ加減でヒーローがオーバーパワードにもなるし、アンダーパワードにもなり得るものだった。それと同時に、ヒーローが楽しく、そしてユニークであることが我々が重視していたことでもある。
-Play of the Gameに多様性がなくありきたりでつまらないという意見について。
PotGを満足なものにするためのバランス調整は難しいことだった。我々はこういった表には出ない種類の変更を施しているが、PotGはマッチごとの出来事に大きく依存するので、PotGのようなプロシージャルなシステムでは、どのようなプレーがPotGに選ばれるのかを予測するのは難しい。PotGがありふれた光景に見えることもしばしばだが、これについては積極的に改善に取り組んでいる。そう遠くない間に、この問題を解決するだけでなく、Play of the Gameをよりクールなものにするプランを二三用意している。