本日、ゲームディレクターのアーロン・ケラー氏から6v6論争に対する開発チームの見解と、数シーズン後のテスト実施が明らかにされましたが、この件については、マッチングシステムを担当する開発エンジニアのモーガン・マドレン氏から、補足と氏個人のプレイヤーとしての感想が明らかにされています。
同エンジニアのツィートは、質疑応答も含めると内容は公式ブログに負けないくらいの長さなので、時間があるときにでもゆっくり読んでください。
長いので、とりあえず先にマドレン氏のコメントを端的にまとめると、だいたい以下の点に集約されると思います。
- タンクを魅力的にしても改善できる待ち時間は僅かにすぎない
- タンクという存在自体が不人気であり、タンク人口を増やすためにできることはほとんど無い
- 5v5移行で減少した待ち時間と健全なマッチに必要なタンクの数が減った量は同じ-60%(タンク枠が減ったことが待ち時間減少の最大にしてほぼ唯一の理由)
- 1-2-2というロール比率とプレイヤー全体がプレーしたいと思うロールの比率は非常に近い
- 待ち時間を理由にプレーしたいロールを諦める必要がない5v5こそ正義
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I had a couple more thoughts on this that I’d like to add. First off, I’ve seen some takes like “what if we just made 6v6 tanks a bit more compelling wouldn’t that solve queue times?”
— Morgan Maddren (@SrslyPaladin) July 25, 2024
本日公開された「6v6」ブログについて、さらにいくつか私なりの考えがあるので、補足したいと思います。まず最初に、「6v6のタンクをもう少し魅力のあるものにしたら、待ち時間は解決するのではないか?」という意見をいくつか見たことがあります。
これに答えるためには、「ロールキューの待ち時間はどこに起因するのか?」という質問に対して、より詳細な答えを説明する必要があります。
経済学者の皆さんは、ロールキュー全体を、ロールが商品であり、待ち時間が価格になる市場と考えることができると思います。そして、待ち時間は人々が望むロールをプレーするために喜んで支払う市場価格であり相場なのです。
この意味において、ロールキューは現実の経済と同様に需要と供給によって支配されます。もちろん、ロールの供給が(1試合あたり2-4-4という)化学反応とプレイヤー間のロールへの興味の不均衡から生じるという違いはありますが。
プレイヤーは待ち時間に基づいて行動を調節しているため、心の中ではDPSをプレイしたいと考えている人の数を実際に測定することはできません。単に待ち時間を測定することしかできませんが、待ち時間から多くのことがわかります。
(おっとランチの時間だ)
OW2で6v6から5v5に移行したとき、DPSの待ち時間は7.6分から2.9分に短縮されました。これは60%もの割引です。これはすごいことですよ!7万ドルの車を3万ドルで買えると想像してみてください。
OW2がリリースされ、待ち時間がこれほど短くなったとき私は歓喜しました。60%オフですよ!
2-2-2から1-2-2に移行すると、ホメオスタシスの均衡(マッチが成立するために必要なバランス)がとれた状態で試合を行うためには、必要なタンクが33%から20%になることがわかります。つまり必要なタンクの数も60%削減されることになります。これは偶然でしょうか?
実際のところは、6v6から5v5への切り替わりには、人々の行動を変える要因が他にもたくさんあるため、はっきりとしたことはわかりませんが(これについては後で説明します)、必要なタンクを60%減らすことで、タンク不足を減らすことができたのは確かなようです。
5v5が実装される前に、私は待ち時間への影響を予測する検証をいくつか行っています。そして、その時点で得られた結果は非常に控えめなものでした。それは、タンク不足が解消されても、今度はサポートが不足するだけのように思えたからです。
6v6のサポートの待ち時間はタンクよりもわずかに長く、需要は同程度だと思っていました。しかし5v5に移行したときは、6v6に比べてサポートをプレーする人が大幅に増えました!一方でサポートの待ち時間は短くなり、必要とされるサポートの割合は33%から40%に増えました。
これはつまり、1-2-2はプレイヤー全体がプレーしたいと思うロールの比率に非常に近くなり、5v5によって待ち時間が永続的に短縮されるようになったことを意味します。
そんな訳で、6v6議論において、6v6のロールキューでは待ち時間が長くなることを考慮する必要があります。タンクをプレイしたい人は他のロールに比べて少ないのです。現時点では、それを変えるために我々ができることは何もないと確信しています。
そういったことを踏まえて、これらについて、私の個人的な感想をシェアしたいと思います。したがって、以下の発言は開発者としてではなく、ゴールドレベルのタンクメイン(定期的に全ロールプレー)としての発言になります。
タンクをプレイする人が少ないのはある意味当然だと思います。ほとんどのMOBAでは5人のチームごとに1人のタンクがいて、一般的にタンクが待ち時間の制約になっています。タンクは楽しいとはいえ、ほとんどの人にとってやりたいとは思えないのです。そのような設計やアーキタイプにはなっていなのです。
2-2-2は四角い穴に丸い杭を打つようなものだと思います。私は6v6よりも5v5のほうが好きですが、それはよりコンペティティブであり、ゲームプレイはよりタイトに感じられ、ソロプレイヤーとしては、ビッグプレイをする可能性が高くなるように思います。それは私にとってより楽しいと感じられるものです。
以前は待ち時間が長すぎるのでDPSをプレーすることはありませんでした。今は3つのロールすべてをプレーしていますが、間違いなく、このゲームはフレックスプレイヤーとして楽しむことが一番だと思います。もし1つのロールしかプレーしないのであればとても損をしていると思います。
5v5にも問題はあります。6v6にも問題があります。ゲームデザインにおいて、完璧なものなど存在しません。しかし、少なくとも5v5では、長い待ち時間と自分がプレーしたいと思うロールをトレードオフする必要はありません。
7分の待ち時間はひどいものでした。プレー時間の半分近くを座って待って過ごすべきではありません。
以上、今のところの私のとりあずの印象はこんな感じです。
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Q:タンクリワーク、CC削減、ダブルシールド削除などの改善とプレイヤー人口が増えたことで6v6が機能すると信じている。
A:これらの要素は需要(つまり待ち時間)に変化をもたらしはしますが、それは僅かにすぎません。例えば、2.11パッチのタンク全体強化で待ち時間は数パーセント改善されましたが、5v5移行により得られた60%の待ち時間減少に比べたら相対的にはバケツの中の一滴にすぎません。
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Q:アサルトマップがダブルシールドなどのネガティブな側面にどの程度の影響があったのだろうか?
A:確かなことはわかりませんが、私の記憶では、ダブルシールドはあらゆるマップタイプで支配的だったと思います。
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Q:OW2で6v6になったとして、タンクシナジーはOW1よりも魅力的になるのだろうか?タンクが楽しくなったとして待ち時間の悪化が避けられるのだろうか?
A:私はそうなるとは思いません(しかし、既に述べたように、絶対そうであると断言する方法はありません)。上でも話しましたが、必要とされるタンクの数が60%減少したときに待ち時間も60%減少したという事実は、それが主にタンクの要求数の減少によるものであり、それ以外の要素はほとんどなかったことを示唆しています。
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Q:それぞれのロールの待ち時間が同じだった時代やパッチはありましたか?
A:6v6では一度もありませんでした。ロールキューがリリースされてから、DPSの待ち時間が7分以下だったことは一度もなかったと思います。
5v5では、2.11パッチ(今季のミッドシーズンパッチ)のリリース日がおそらくOW2史上待ち時間が最短の一日でした。
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Q:以前あなたは「6v6のDPSの待ち時間は平均6分であり、6v6から5v5への移行は待ち時間短縮が主な目的ではなく副次的な効果にすぎない」と話していたが、とくに後半のくだりは今回の一連のツィートと矛盾するのではないか?
A:たしかに。ただこの件については、いくつか指摘しておきたいのですが、この以前のツィートは30秒程度の考えで書いたようなもので、後でこの点を指摘されるとは思っていませんでした。もしそうならもっと慎重に言葉を選んでいたと思います。
上でも述べたように5v5移行で予測できた仮定の待ち時間から得られるメリットは控えめなものでした。今は待ち時間に関して5v5から大きなメリットが得られることがわかり、状況はまったく異なります。
2019年に私たちがある理由で決断を下したからといって、その理由が今でも大きく結びついているとは限りません。そして私たちは今、当時は知らなかったことを知っています。個人的に2021年の5v5への移行には慎重でしたが、今では5v5には大賛成の立場です。
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Q:待ち時間に関しては平均だけ示しても不十分だと思う。上位層や下位層についても明らかにすべきだと思う。プラチナとマスター両方とマッチするダイヤ帯は本当にひどい惨状だった。
A:MMRが非常に高い場合、待ち時間は本当に長くなります。高ランク帯ではロール人口の分布も通常とは少し異なります。現在のところMMRトップ帯ではサポートが最も必要とされるロールです。