今回の最新メタリポートはAPAC Premier、OGN APEXが行われたウィーク(10/12~)のマッチを対象に集計されています。
※最新メタリポートの内容は所々独断で大幅に端折ってまとめてあります。
Overwatch Hero Tier List and Meta Report: It’s the West’s World After All
前回のリポートではアジア勢の脅威について語り、欧米の将来について暗い未来を投げかけていた。しかし、韓国のブギーマンはもう押入れの中から去っていったようだ。終末論はなかったことにして欲しい。欧米は復活した。先日のようなリポートを出すのは少なくともまだ早すぎたようだ。
今回のリポートでもSティアーのヒーローは存在しない。ルシオの使用率が93%と高いが、中国のごく一部のチームはゼニヤッタ&アナという構成を好んでいた。アジア勢も欧米勢もアナの強さに懸念を抱いていたが、ルシオの存在を気にかけないのは、長期に渡りチャートを支配していたのと、おそらくはオーバーウォッチというゲーム自体がルシオの存在を前提としているところにある。スピードブーストなしの移動は遅すぎ、レート2500以下ではルシオの存在は大前提である。プロシーンにおいてはルシオの回復オーラを前提としたDPSが攻撃ヒーローに求められ、ロングレンジで安定したダメージを継続的に出せるにも関わらずソルジャーが選ばれないのは、ルシオの回復がこれを簡単に帳消しにしてしまうからだろう。ルシオの存在が攻撃のオプションをある程度狭めているとも言える。
Aティアーではアナについて言及しておく。他のヒーローに比べて明らかにUltのチャージレートが高すぎたアナは「ベイブレード戦術」が溢れる温床となりナーフされたが、同時にグレネードが強化もされていた。プロシーンはこの変更の評価を測りかねていたが、中にはアナの使用率はもっと増えるだろうと予想する者もいた。そして、その予想は的中した。アナのピックレートは前回の78%から90%へと大きく上昇している。
問題は開発がアナのUltチャージコストを上げるだけでその解決を試みたことにある。ナノブーストはデスブロッサムや龍神の剣とのコンボで絶大な威力を発揮し、同様にナノブースト化したタンクヒーローもアンバランスと言えるほどの脅威になる。アナのナーフはトーナメントにさしたる影響は与えていない。例外と言えば開幕序盤でのラインハルトへのナノブーストがなくなったことぐらいだろう。チャージコストの高いデスブロッサムや龍神の剣への影響は少ない。
ザリアはローンチ以前からラインナップの中核として選ばれていたので(少なくともプロシーンでは)、現在の繁栄は驚くことではない。ナノブースト化したヒーローにはスタンというカウンタープレイもあるが、ザリアのバリアはさらにそのカウンターにもなる。ナノブースト化したザリアはバリアを纏っていない限り、Qを押しながら颯爽と登場するナノリーパーに比べたら恐れる存在ではない。
ナノブーストは誰かにかけないと意味がないが、早い話、そのターゲットがBティアーのヒーローということになる。ラインハルトに関しては今まで存在感が皆無だったKotHマップでのピックレートが着実に上昇している。これもアナ効果と言えるだろう。
CティアーはリーパーがBに上がった以外は顔ぶれに変化はない。ウィンストンはKotHマップにおける高い使用率を反映してこのグループのトップにいる。マクリーは最もバランスの取れたDPSでナノブーストに頼る必要もない。マクリーへのナノブーストが無駄かどうかは答えに窮するが、少なくともデッドアイがロックするまでの時間は2倍短縮できる。メイのフリーズはスタンの次にナノブースト化したヒーローへのカウンターとなる。トレーサーはKotHマップでの使用率が73%と高いが、マップタイプによっては13%と低い。ロードホッグは前回比で7%上昇しているが、これはKongDooPantheraのEvermore選手の使用頻度が高かったことが影響しているのかもしれない。ゲンジは韓国勢に好まれていると思われたが、多くのチームで満遍なく使われていた。
前回、Dティアーはほぼ横並びの状態で、ファラとマーシーも僅かに満たないながらも同列に扱っていたが、今回は全員がDから姿を消している。ゼニヤッタは前回のリポートでDからC上げたが今回はその使用率がほぼ半減している。ペイロード戦におけるゼニヤッタの使用率はほとんどが、Littlecat選手(NGA/中国)と11520選手(All Strike/中国)によるものだったが、残念ながらどちらも良い結果に繋げることはできなかった。
ファラとマーシーは前回のリポートでFティアーを脱しかけていたが、どちらもピックレートは4%以下に後退している。ただし、ファラはTivQ選手やTalespin選手がKing’s Rowの攻守において素晴らしいパフォーマンスを見せていたのは興味深い。ハンゾーもファラ同様に数少ない成功例をHollywoodの攻撃側において示しており、Seagull選手やTivQ選手が好んで使用していた。後者はAPAC Premier決勝においてRogueの優勝を決定づけるドラゴンストライクを放っている。ジャンクラットはTivQ選手がTemple of Anubisで良い結果に繋げていたが、残念ながらその他のヒーローについてはこれまで同様にトーナメントでの存在感は皆無に等しい。
前回のリポートではグループステージにおいて、欧米勢が韓国勢に立て続けに敗れたことで悲観的になり過剰に反応してしまったが、今回のリポートではそれが間違いであったことが証明された。韓国勢の著しい成長は侮れないものの、欧米勢はRogueがAPAC Premierで優勝するという最高の形で立ち直りを見せている。
アジアのオーバーウォッチコミュニティはとても素晴らしかったと改めて感謝の念を表明したい。APACとAPEXのプロダクションはともに非常にレベルが高く観るものを楽しませたくれたし、ファンの欧米の選手への対応も素晴らしかった。そして、APEXの実況を担当したMontecristoとDoa、APACでのJason KaplanとMitch “Ubershouts” Leslieも最高の仕事をしてくれた。