今回の最新メタリポートはOverwatch World Cup本大会のマッチを対象に集計されています。
Overwatch Hero Tier List and Meta Report: Overwatch World Cup Edition
今回のリポートはワールドカップという特殊な事情により過去のデータとは若干趣向が異なると言える。以前のデータはプロ選手のデータのみを集計していたが、今大会では必ずしもすべてのチームがプロ選手のみで構成されていたわけではない。人気ストリーマー、ユーチューバーといったプロ以外のプレイヤーもデータに含まれているため、これまでのデータよりもトップラダーでの現状に近いライナップを反映しているかもしれない。
S, A TIERS
ワールドカップでルシオ、ザリア、ラインハルトが中心であったことはこれまでの実績を考えれば驚くことではない。ルシオはプロシーンではイニシアチブを取るためのスピードブースター、ラダープレイヤーにはソロヒーラーとしてどのレベルにおいても必要とされている。ザリアはチームメイトを守ると同時に自身の出力をも上げて行くが、トップレベルのプレイヤーは当然のように高い火力を維持している。Ultはオーバーウォッチで最も強力なオフェンシブUltと言えるが、韓国のZunba選手がUSA戦のEichenwaldeで見せたパルクールからのグラヴィトンサージはこの大会において最も印象的なサージだった。
驚くべきことにアナは全てのラインナップ(オフェンス、ディフェンス、コントロール)で存在感を示し、ワールドカップでの使用率は98%にも昇っている。ゼニヤッタのディスコードオーブがナーフされて以降、プロがナノブーストの最適な戦略を見つけたことでアナの使用率は急増している。
ナノブーストメタが固定されたランナップからチームの趣向や状況に合わせたランナップへと移行する中で、この戦略は世界中で分析され普及した。ワールドカップではそれぞれのチームが独自のコンセプトを準備して戦いに臨んでいたが、この時点でアナメタは完全に浸透したと言える。
ワールドカップでの使用率が50-80%の範囲に収まっていたのはラインハルトのみで、その使用率は78%だった。他の3人に比べて低いのはオフェンスでピックを避けるチームがあったためで、オフェンスでの使用率は65%と、ディフェンスの88%、コントロールの84%に比べると大幅に落ちている。アナの台頭によるナノブーストとの相乗効果でコントロールでの使用率も大幅に上がったラインハルトだが、ワールドカップでのコントロール使用率は今までにない高さを誇っている。オフェンスにおける使用率の低さはそのままウィンストンとロードホッグのピックに繋がっており、オフェンスでの使用率は前者が20%、後者が7%ディフェンス時よりも上回っている。
C, D TIERS
リーパー、マクリー、メイ、ウィンストンはどのチームにおいても同じような頻度で選ばれている。DPSが必要なシナリオではマクリーが長距離を担当し、短距離をリーパーが担う。相手チームのナノブーストに対処するためのオプションであるメイは、スロウ、ウォールといったナノブースターに対抗できる数少ないノーマルスキルを有している。ウィンストンは攻撃側が序盤のイニシアチブを握るために好まれ、ザリアのバブルを纏ったウィンストンが頻繁に跳び回ることでザリアのチャージを促していた。この強力なオプションを最も有効に使っていたのが韓国チームのMrio選手とZunba選手のコンビで、今大会のMVPでもあるMiro選手はウィンストンによるプレーをネクストレベルに引き上げたと賞賛されている。
ゲンジ、ロードホッグ、トレーサーの使用率は特定の選手の使用率の高さに依るところが大きい。一見無敵とも思われたロシアのShadowburn選手が操るゲンジは今大会で最も愛されたキャラクターの一人で、同国の決勝進出の原動力となっていた。フィンランドのロードホッグ使いであるHymzi選手はこのヒーローのワールドカップ全体の使用率のほぼ半分を占めていた。Talespin選手も同様にトレーサーの21%を占めていたが、コントロールでは多くのチームが彼女を選択していた。
5%未満のヒーロー
残されたヒーローはすべて使用率5%未満ではあったが、ワールドカップでこれらのヒーローも素晴らしい瞬間を創り出していた。韓国チームが見せたナノシンメトラを忘れることができるだろうか?これらのヒーローは頻繁に使用されてはいないものの、数少ない使用率でとても印象的なビッグプレーを演出していた。
スウェーデンがネパールで見せたバスティオンも忘れがたい。
タイチームはNZNR選手のファラでエピックな勝利を手にしている。
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国別のヒーローピック率。リンク先のデータではマウスオーバーさせることで、更に詳細なデータをハイライトさせることできます。
ヒーローの選択プールが多い選手が確認できます。このデータからもTivQ選手の際立ったユーティリティ性能が伺えます。
- 原文のリポートは毎回とても情報量が多いので原則的にティアーリストに的を絞りつつ、所々独断で大幅に端折ってはいますが、大まかなメタの流れを把握できる程度にはまとめてあります。
- このリポートではあくまでもプロシーンにおけるメジャートーナメントを対象としてデータを集計しているので、このリポートがそのままランクマッチやゲーム内でのメタを反映しているわけではありません。
- リポートは作者であるCaptainPlanet氏の個人的な見解が色濃く出ていることもよくあり、また、同氏の見解や意図をこのブログの記事で正確に伝えられていない場合も多々あると思うのでその点については留意してもらえるとありがたいです。
- グラフやリポート中に出てくる”King of the Hill” (KotH) はコントロールマップのことを指しています。