米国の世界的な金融投資機関であるモルガン・スタンレーによると、Overwatch Leagueが年間に得る収益は1億ドルを超える可能性もあるというショッキングなリポートがありました(もちろんよい意味で)。
※revenue=収益であってprofit=利益ではないので注意。
1億ドルでも十分な額であるように思いますが、この額も最大試算ではなく、モルガン・スタンレーのより強気な見方では、年間7億2000万ドルの収益を得る可能性もあるとのこと。これはWWEとほぼ同レベル、メジャーリーグ・サッカー(MLS)よりも20%も高い数字だそうです(前者は昨年Q4で1億9500万ドル、後者は2015年に5億8200万ドルの収益)。
しかしながら、これらの試算を達成するために今後OWLが急激に変化する必要性があることも指摘しています。例えば、OWLのチーム数が16チームになるのか32チームになるのかで視聴者がリーグにもたらす収入も大きく違ってきます(Blizzardから16チームになるという公式発表があったわけではありません)。また、モルガン・スタンレーのアナリストはBlizzardが昨年買収したMajor League Gamingのネットワークをesports版のESPNとして活用できるかどうかにかかっているとも指摘しており、こういったことが実現できなかった場合、年間収益は最低ベアで2000万ドル程度になるだろうと見積もっています(ベアで2000万ドルなら悪くない数字だと思います)。
モルガン・スタンレーはOWLの年間収益1億ドルのうち、3200万ドルがコンテンツライセンスと広告収入としており、3000万ドルがスポンサー収入、残りの13パーセントがチケット販売、27パーセントがグッズなどのマーチャンダイズと試算しています。
モルガン・スタンレーはOWLの今後のシナリオとして、ニッチ市場、メインストリーム、一時的な流行、収益性なし、など4つのケースを想定しており、BlizzardはOWL成功のために、オーディエンスと事業収益を最優先に考えなくてはならないとしています。
モルガン・スタンレーはOverwatchのユーザー人口2500万という数値をもとに、月のアクティブユーザーは1700万人と推定しており、年間収益1億ドルをあげるためには、OWLのレギュラーシーズンで平均7.2万人、プレイオフで平均770万人の視聴者が必要であるとしています。
さらに最も強気なシナリオである年間7億2000万ドルの収益をあげるためには、レギュラーシーズンで平均7.5万人、プレイオフでは平均1200万人の視聴者が必要としており、十分なオーディエンスを獲得できれば達成することも可能だろうとリポートは述べています。
ちなみに、昨年にLeague of Legendが記録したLoL Worlds決勝の最大同時視聴者数は1470万人だったそうです。
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投資アナリストの予想ほど当てにならないものもないですが、1億ドルという試算でもかなり強気な印象を受けますね。
月間アクティブユーザーの推定はそれほど間違ってはいないだろうし、これから増える可能性もあるとはいえ、プレイオフの視聴者平均770万人、つまりアクティブプレイヤーのうち2~3人に1人がプレイオフを見るのかというと、MLGやケーブルTVのインフラ整備も含めて、現状では不可能ではないにしてもかなり難しいかなと。
とはいえ、仮に年間1億ドル以上の収益をあげたとしてもその後が続かなくては意味がないし、個人的には一時的な流行で終わるくらいなら目先の利益にとらわれず長期的なスパンでOWL人気を醸成していってほしいなと思います。