DoomfistのPTRリリースで盛り上がっている最中ですが、昨日Lunatic-HaiコーチのAsk Me Anythingが自身の配信チャンネル上で行われたようなのでそのまとめです。
今回も/u/TISrobin311氏のポストのまとめですが、いつものリポートにも増して分量が多いので本題と関係なさそうな部分は割愛しています。
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- Contenders Season 0で優勝したImmortalsの実力はRogueやEnVyUsといったトップティアーのチームと対戦したことがないのでまだ分からない。Season 1のパフォーマンスを見て判断する。
- コーチをする前はレストランのマネージャーを務めていた。ブリザードのゲームが好きで特にHotSを熱心にプレーしていたが、ベータの頃にRyujehongとLeetajunにコーチに誘われた。以前はStarcraftで短期間プロをしていたこともある。
- 試合中のブースでは試合により様々だが、どんな状況でも、例えチームが勝っている状況でもメンバーには落ち着くように言い聞かせている。特にMiroは試合中エネルギッシュになりやすいので誰かが落ち着かせる必要がある。
- ブリザードはStarcraft全盛時、中国含むアジアにおいて、esportsシーンは実質韓国市場に限りられていたため、韓国ユーザーの不満には常に耳を傾けていた。彼らがアジアのesportsシーンで成功するために頼りにしていた唯一の国が韓国だった。しかし、オーバーウォッチでは、ブリザードにとって韓国はもはやそういった存在ではなくなったように思える。
- 今ではesportsは世界各地に拡大し、現在韓国ユーザーが占める割合は全体の10%程度。また、ブリザードのマーケティングの中心が韓国から収益の1/3を占める中国市場にシフトしており、ブリザードのプライオリティは韓国ではなく中国になっている。これは企業にとっては当然の事といえるが、Starcraftの衰退以降、韓国ユーザーの意見は意図的ではないにしてもブリザードから無視され、韓国市場はもはや彼らにとって第一の市場ではなくなっている。
- ブリザードがOverwatch Leagueを国際トーナメントではなく地域ごとのトーナメントにした理由は、ブリザードにはオーバーウォッチを利用し自国市場における収益を上げる狙いがあり、仮にEUやKRのチームがトーナメントを席巻してしまうと米国内におけるマーケティングの観点から、それは好ましくないと言える。自国の市場で収益を上げNAのファンや視聴者の注目を集め彼らのサポートを得るためには、NAのチームが活躍できるNA Overwatch Leagueが必要だとブリザードは考えている。
- ブリザードからは韓国シーンを世界から隔離しようという雰囲気が伝わってくる(おそらく彼らがesportsシーンで強すぎるため)。そして、彼らにその点を尋ねるたびに「ここには世界最高のチームが揃ってる、そしてOGNがいるでしょ?何が問題なのか?」といった答えが返ってくる。ブリザードの視線は常に主催者であるOGN(韓国のケーブルテレビ局)に向けられており、リーグ本体のAPEXがこれまでシーンに貢献してきたことを軽視する態度には失望を感じる。ブリザードの韓国シーンに対する評価はOGNという存在ばかりが強調されているように思う。OGNがesportsに情熱を傾けていることは間違いないが、OGNはゲーム会社ではないし、ユーザーやファンの不満を聞きゲームを変える権限もない。それができるのはブリザードだけであり、彼らはそれを忘れているように見える。
- オーバーウォッチの人気については、Heroes of the Stormのベータ初期と似たような道を辿っている。ベータ当初、非常に期待度が高かったが、MOBAであるにも関わらず新ヒーローのリリースペースが2~3ヶ月に1体と非常に遅く多くのユーザーが失望した。現在では月1体ペースでリリースされ状況は好転しているとのことだが、HotSも当初はパッチのペースが遅く、アルファからクローズドベータにかけてプレイヤー数が増えるどころか激減し、高ランクでは常に同じプレイヤーとばかり対戦するため、お互いの氏名や住所を教えあうほどだった。現在のオーバーウォッチもこのパターンを踏襲する兆候が見られるのではないかと危惧している。オーバーウォッチのベータ以降リリースされたヒーローは1年間で3体と少なく、それがユーザーの最大の不満でもある。ブリザードが積極的にユーザーの不満に耳を傾けて迅速に対応すれば、LoL並の人気を得る可能性を秘めているが、現在はそのような状況にない。
- ここ最近のKRサーバーではカスタムゲームでプレーするプレイヤーがランクマッチでプレーするユーザーよりも多い。コーチ独自の調査の後ででプレイヤーは何ヶ月も同じヒーローや同じメタで繰り返しプレーすること、そして気まぐれなマッチメイキングやトロールにウンザリしていることに気がついた。カスタムゲームでは設定次第でヒーローの多様性を無限に増やすことができ、彼らはそれをとても楽しんでいる。この点に関して(彼らが飽々している現状について)、ミクロレベルでは、ブリザードがよい仕事をしているとはとても言えない。
- これまででベストのメタはAPEX Season 2の開幕時。3タンク、2/2/2と様々な戦術が存在していた。重要なのは多様性があったことで、バランス的にはこの頃が最も理想形に近い。Meta AthenaやEnVyUsなどは3タンクをユニークな方法で運用していたし、LHやRunawayは2/2/2を好んでいてチームの特色もはっきりとしてた。S2のチームが印象に残っているのもそれが理由。今はダイブ以外の戦術ではよい結果を残すことができないから嫌でもダイブをするしかない。そして、この影響をもろに受けたのがMeta Athena、NiP(現Rest in Pyjamas)、Rinos Gaming(解散)だった。彼らは3タンクを最も上手く運用していたチームだった。
- LHがRogue戦でザリアやウィドウを一度だけ出したことから「多様性」があったとする意見もあるが、それらは多様性とは異なる。多様性とは一定期間の運用に耐えうるコンプが複数存在することを意味する。Season 3で勝つために使えるコンプは実質ダイブのみで、ダイブを上手くプレーしたチームもしくはDPSの調子が良かったチームが勝利する。KDP vs EnVy戦では勝敗に関わる戦術的要素はなにもなかった。EFFECTのプレーは良かったがそれ以上にBirdringのプレーがよかったというだけの話。Taimouも悪くはなかったが、それ以上にRascalが良かった。ダイブに対抗するための戦術を考案するのはとても困難で、視聴者の興味を削ぐ結果に繋がっている。APEX S3当初、3タンクがダイブのカウンターになる可能性もあったが、ロードホッグのナーフでこれは不可能になった。
- 以前はラインハルト中心に戦術が組まれていたが、今、ラインハルトを出せばDafran strat(スロー)と見なされる。もしブリザードがシーズンにつき1人のペースで新ヒーローをリリースしていれば今頃は5人の新ヒーローが存在していたことになる。
- 更に問題なのはブリザードが新ヒーローをリリースするまでにあまりにも「ニュース」だの「ヒント」だのを引っ張りすぎることにある。昨日Doomfistのティーザーが発表された時、Invenでは “fuck you Jeff, just give us the hero already”といったコメントで溢れていた1。プレイヤーはいい加減この手のティーザーにウンザリしている。ブリザードがこういった悪癖を改めない限りRiotのような成功は望めないだろうと誰もが考えている。彼らは「ストーリーライン」や「ミステリー」にフォーカスしすぎている。それが全て悪いわけではないが、ユーザーが望んでいるのはより多くのヒーローをプレーすることだ。20年間ブリザードのゲームをプレーしてきたが、SC、Diablo、WoW、HoSの全てが同じサイクルに嵌っているように見える。
- Diablo3では当初ヒーローのバフではなくナーフにばかりフォーカスしていた。誰もがDHばかりプレーしていたせいで、ブリザードはDHをナーフで産廃にした。その後でウィズがマストピックになり次にウィズを産廃にした。同じことが馬場にも起こり以降同じことを繰り返した。1年後ブリザードはナーフによって何も解決されていないことに気づく。そこで彼らはやっと性能の劣るヒーロー全体をバフすべきだと判断する2。それと同じことがオーバーウォッチでも起こっているが、開発はOPヒーローのナーフとUPヒーローのバフは同時に成立しうるということに気づいていないようだ。
- Overwatch Leagueが失敗した場合、韓国ではブリザードへの信頼が揺らぐことになるだろう。彼らがRiotのようにesportsシーンで成功するためにはこれがラストチャンスになる。ブリザードがWoW、D3、SC2と同じようなアプローチでOWLに臨めば成功は難しい。HotSの失敗よりも悲惨なことになる。しかし、ブリザードが考えを改めればLoLに匹敵する存在になるだろう。ブリザードは新ヒーローのリリースペースを1人につき3~4ヶ月と考えているようだが、それではあまりにも遅すぎる。シーズンごとに1人にすべき。ユーザーは誰も新ヒーローの謎解きなど望んでいない。それはリリースした後からついてくるものだ3。
- 新ヒーローがリリースされてもそのヒーローが潜在的なメタとしてフィットするかを見極めるには少なくとも1ヶ月はかかる。アナもプロシーンで定着するまで1~2ヶ月かかった。ソンブラは昨年11月にリリースされてプロシーンに定着するまで7ヶ月かかっている。だからDoomfistがリリースされても今後しばらくダイブメタは続くように思う。Yongbongtangの「ヒーローを早めにリリースしてPTRやランクマッチでの使用禁止を含めて長い時間をかけてテストすべき」という主張もこの点にある。ブリザードはコンペティティブなプレーで新ヒーローが使えるようになるまで長い時間がかかるというこを理解していない。
- ブリザードと韓国のOWシーンにおける関係は傍から見ているほど協力的な関係が築けているわけではない。RiotはLCKが発足する前に国内の大小様々なトーナメントをサポートし、そのポリシーは制約が少なかったおかげでLoLは瞬く間に韓国で拡大した。Riotの社員は大会の規模に関わらず観戦に訪れシーンの動向を注視しフィードバックをその場で得ていた。オーバーウォッチでは常にブリザードの許可が必要であり、ブリザードはBJ League、Runner/Bokyeom主催トーナメント、APEX以外のトーナメント開催申請をことごとく却下してきた。スモールトーナメントが許される場合でもブリザードが指定した細かいルールに従うことが求められる。その内容もプロセスが複雑なために多くの運営主が開催を諦めている。同じことがEU/NAでより深刻な形となって現れている。Contenders前の数ヶ月存在していたトーナメントは実質OMMだけであり、しかもそれはLANトーナメントですらない。ブリザードはesports的な観点からすると、とても頑固でそれはこれまでのブリザードのゲームに対する姿勢にもあらわれている。
- SKT、SK、Samusungといった韓国のビッグorgがオーバーウォッチに投資しないのは、ブリザードが過去にesportsシーンにおいてStarcraftシリーズで犯した失策を目の当たりにしているから。そして同じ理由でKESPA4もブリザードのことをまったく信用していない。ブリザードが過去の過ちを繰り返さないと100%確信しない限り彼らがオーバーウォッチに投資することはない。
- KESPAは過去の経緯からブリザードに対して非常にネガティブなイメージを抱いているが、ブリザード次第でオーバーウォッチはLoLに匹敵する存在になるポテンシャルを秘めている。そして、その僅かな兆候をEU/NA Contendersで見ることもできたので、そうなる可能性はまだあると希望は持っている。ブリザードはもっとLANトーナメントの開催に積極的になるべきだ。中国ではオーバーウォッチチームを作りたいとうorgが無数に存在するがプレイヤーが露出することのできるLANトーナメントがあまりにも少ない。ブリザードはもっとLANトーナメントをホストすべきだ。
- APEX Season 2中に企画されていたオフラインイベントやファンサービス、ミニトーナメントがブリザードとOGN側の意向に沿わずにキャンセルになった。それが実現していればS2はその百倍も成功を収めていたはずだ。ブリザードの振る舞いはRiotとは対照的でそれがシーンを停滞させている。そのゲームがesportsシーンで成功するためにはゲームメーカー、大会主催者、プロチームの三者が一丸となって取り組む必要がある。
- 最近のTaimouのコメントはとてもよく理解できる。LHのメンバーもこのゲームへの興味を失いはじめている。彼らがこれまでずっとオーバーウォッチをプレーしていたことを考えると、とてもショックを受けている。彼らは(ランクマッチの)S3やS4にハッカーが猛威を奮っていた時でさえこのゲームを熱心にプレーしていた。彼らは今のパッチ環境にウンザリしており変化を求めている。すぐにでもこの状況を変えるべきだが、最新のパッチ(1.12)後もダイブメタが変わる気配はない。
- APEXの今シーズンは最新のパッチ環境でプレーされていないからダイブメタに変化がないと思っているファンもいるようだが、仮に最新パッチが適用されていたとしてもこの状況は変わらないと考えている。ダイブメタを終わらせる可能性があるとすれば、新ヒーローとなるDoomfistのリリースだけだろう。
- APEXに出場して仮に決勝まで出場してもプレーできるのは全て合わせて3ヶ月でわずか7試合。もしグループステージで敗退すれば3試合しかない。プロチームにはスポンサーや視聴者にアピールするために相応のLANトーナメントの試合数が必要だが、これでは数が少なすぎる。
- プロ選手には自身を知ってもらうためにアピールする場がもっと必要。APEX開催中に他のトーナメントが開催されないのはOGNに問題があるとは考えていない。ブリザードがそれを許可しないことに問題がある。韓国ではAPEX以外にトーナメントが存在しないかのように見え、ファンはAPEXがいつまで続くのかと不満を漏らしている。その間にもファンがダレることがないようミニトーナメントやイベントなどの開催を望んでいる小規模な運営主は数多くいる。コーチはこれまで韓国、中国、台湾、NA、EUで開催された全試合のビデオをチェックしている。それはつまり、それだけトーナメントの開催数が少ないことを意味している。OGNにはLCKのようなリーグを開催してほしいが、それはOWL自体が成功しなければ財政的には難しいだろう。
- 既に述べた通りDoomfistがメタを変えるためには1ヶ月以上かかる。DoomfistがOPでもない限りはリリースされてすぐにダイブが消えることはない。彼がスーパーOPであればプロシーンでもすぐに使われるだろうがそうなることはまずないと考える。
- 観戦モードに関しては開発が改善を約束してからもう大分長いこと月日が経つ。その内容を聞いたときはとても興奮したが、その兆しすら見えていないのでもう期待していない。待ち合わせ場所に友人が現れず、電話したら靴を履いたばかりのくせに、もうすぐ着くよと言われたような気分だ。昨日のDoomfistのティーザーを見た時、これは彼らがDoomfistoの開発に取り掛かったサインだと感じたくらいだ。例え今月中にDoomfistがリリースされなくても意外ではない。これまで彼らがリリースしてきたゲームと何も変わらない。ブリザードは素晴らしいゲームを作ることに関しては世界でもベストのメーカーだが、リリース後のマネージメントとなると言うまでもない5。
- 韓国では多くのチームが問題を抱えているがLHにも内部や外部に問題があるか?という質問について。今ここで話せることはない。もうすぐチームから何かしらの発表があると思うが、WhoRUとは関係ない他のことに関する発表だからファンは心配しないで欲しい6。
- APEX Season 5は年内中には開催されないだろう。S4が8~10月にかけて開催され、その後はワールドカップ、そして今年のAPACには韓国から3~4チームが招待される。
- 韓国代表が警戒するべきチームはスウェーデン代表とRogueのフランス代表。ただし、韓国代表は他のどのチームをも上回る能力を有している。
- 台湾代表はFlash Wolvesを送り込んでくるそうだが、皆がエースとみなしているZondaよりもBaconjackのほうが最近はよいプレーをしている。ただし、チームとしてはそれほど脅威だとは考えていない。
- 7/15~16まではLHのメンバーそれぞれストリームを行うが、それ以降はファイナルのために集中するので休止することになる。
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最近のオーバーウォッチが過去の鰤ゲーの悪いところをトレースしているように見えるのは鰤信者/元信者なら誰しも感じていたことですからね。コーチのAMAというかいつの間にか鰤への公開質問状のような内容になっていましたが、今回のコーチの意見には納得させられる点が多々ありました。
Doomfistが周囲の予想よりも早めにリリースされたのも、エモートやスキンが一切用意されていないところを見ると(バグも既に複数発見されている模様)、コミュニティの微妙な雰囲気を感じ取り急遽リリースに踏み切ったのかもしれませんね。これを期にブリザードが方針を改めて今後のヒーローもリリーススケジュールを早めてくれるなら言うことなしですが。
Blocked
脚注:
- http://www.inven.co.kr/webzine/news/?news=181087&site=overwatch
- 実際のところそれ以降もピンポイントナーフは続いていたし問題が解決されることもなかったけど、それ以前に比べればマシだったのかもしれない
- Jeffは新ヒーローのリリースペースに関しては年に3~4体。そしてそのペースは徐々に落としていくだろうとGamespotのインタビューで話していましたが、今日リリースされたDoomfist以降ヒーローのリリースペースに変化は訪れるでしょうか。
- 韓国esports協会。SCのプロリーグも主催していたが、過去にSCの放映権や知的財産をめぐりブリザードと対立している。
- ブリザードの場合、Diablo3、OverwatchのようなB2P形式のタイトルでも発売後にP2PやF2P並のアップデート/サポートを期待されるのでちょっと気の毒な面はありますね。UBIのように売り逃げするのが当たり前の世界ですから。
公式フォーラムでは開発のアップデートサイクルが遅いことについて問題を提起するスレッドの「いいね」が600を超えています(これは異例中の異例ですね。開発マンセースレですら100を超えることは滅多にない)。果たしてブルコメはつくんでしょうか? - InvenではLHのチームマネージャーのDiscordチャットで他のorgの関係者が目撃されたと話題になっているそうで、この人物はLCKに所属するLoLチームをスポンサードしているorgの関係者とのこと。もしかしたらそれに関連した発表かもしれないとTISrobin311氏はコメントしていました。