スナイパーの存在がプレイヤーベースの成長を阻害しているというredditの投稿が一部で注目を集めているので紹介します。
HotTake: Snipers are strangling Playerbase Growth
by u/GreyFalcon-OW in Competitiveoverwatch
スナイパーがプレイヤー人口減少につながっているという客観的なデータが示されているわけではなく、幾分バイアスのかかったポストのUV率も70%台と必ずしも賛同者が多いわけではないものの、ワンショットやスナイパー問題が話題となる昨今のOW2ユーザーにとってはなかなか興味深い内容となっています。
かなりの長文なので、以下、問題提起だけに的を絞ったまとめとなります(それでも長いですが)。
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- スナイパーは多くのFPSで物議を醸し、そのデザインには苦労しているが、2009年当時、Team Fortress 2開発者は、スナイパーに対するカウンタープレイの設計が不十分だと、新規プレイヤーがプレイを完全にやめてしまうことがわったと説明している。
デスがポジティブな経験となるためには、何か他の選択をしていれば死なずにすんだかもしれないと、プレイヤーが感じれる必要がある。
そのためには、何が自分を殺したのかを理解でき、自分を殺した相手と戦う(engage)ことができたと感じれることが重要。
自分が戦いたいと思っても、戦うことすらできない相手に殺されるのはプレイヤーにとって非常に不快なものであり、こういったことが何度も重なると新規プレイヤーは完全にプレイをやめてしまうことがわかった。
- スナイパーに対するカウンタープレイという点では、オーバーウォッチのそれは非常にフラストレーションの溜まるもので、かつその頻度も高く、他のタクティカルシューターやFPSよりも明らかに設計が悪いといえる(後述)。
- ここで問題にしているのは「バランス」の問題でも「大会レベルでの使用率」の問題もなく、「プレイヤーベースの維持と成長」の問題。ビデオゲームはプレイヤーにとって楽しい体験であるべきで、開発者にとってもそれが有益となるはず。バランス調整はそのための手段でありゴールではない。
以下、他のFPSにおけるスナイパーカウンタープレイの例と、それがフラストレーションを感じさせたり、頻繁に発生しないようにするための例:
Counter-Strike:
- ほとんど全ての銃でAWPやScout使い(スナイパー)を0.5秒以下で処理できる。AWPは高価だから頻繁に使うことは稀。みんながAWPを持つ頃にはスモークで対処すればいい。
Valorant:
- このゲームは基本的にスモークやフラッシュバン的なアビリティが過剰に備わっている。そして、他の銃をキルスピードで上回るスナイパーライフル(オペレーター)は通常はゲーム後半に買う高価な銃。
Team Fortress 2:
- スナイパーは近距離でラッシュされるとほぼ100%確実に死ぬ。さらにスパイにはバックスタブの一撃死があり、グラップルで逃げるようなことはできない。スパイがEnforcer Revolver, Spycicle, Dead Ringerを装備していればスナイパーがやれることはほとんどない。最悪の場合はオートバランスという手もある。
Apex Legends:
- クレーバーライフルでは、ほとんどワンショットキルはできない(10ヶ月前の時点)。そしてゲーム終盤のケアパッケージで運良く落ちないと拾えない。さらに偏差やエイムパンチ(被弾時の揺れ)もあり、様々なキャラクターがスモークや巨大なシールドを展開できる。
Halo Infinite:
- スコープの反射光が目立つのでわかりやすい。あらゆるダメージを受けるとスコープが解除される。弾薬は8発しかなく、スナイパーライフルを拾える場所は危険な位置に固定湧き。さらに中距離マップが多く、特定のマップを回避する機能もある。
これらのゲームと比較すると…
Overwath 2:
- スナイパーのカウンタープレイはゲームの90%をバリアや壁の後ろに隠れることであり楽しくない。戦闘を回避してスナイパーのモグラ叩きを誰かが止めてくれるよう祈るだけ。楽しんでるのは、無抵抗の敵をスナイプするか、そのスナイパーをスナイプするスナイパーだけ。
- スナイパーは高ランクとランク全体でも使用率トップ5のヒーロー(おそらくウィドウとハンゾーのoverbuff使用率)。狙撃武器の出現や使用を制限している他のゲームと異なり、無制限の弾薬でゲームの最初から最後までインスタキルを狙うことができる。
その他の問題点(一部のみ記載):
- 対スナイパー用の構成を選ぶか、同格以上のスナイパーを出せないかぎりその時点で負けが決まり、さらにこの手のマッチは大抵暴言などで荒れる。
- スナイパーマッチではランクに関係なく、Sniper Diffによって決まる。ロールデルタ(ロールごとの実力差、詳しくは公式ブログ)の抑制がどれだけ上手く機能していても関係ない。
- チーターやコンバーターがもたらす害悪は言うまでもない。
- マーシーのブーストでスコープチャージは実質30%速くなっている。苦労してスナイパーを倒してもすぐにポケットから蘇生が入る。
- 負のサイクル:
スナイパーは問題だが、開発はナーフするつもりはない
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そこで開発はダイブタンクをバフしてスナイパー問題に対処
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ダイブタンクの餌食になったサポート勢がこれに激怒
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開発はサポートのピール(剥がし)能力や生存能力を強化
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これによりサポートは味方スナイパーから敵を剥がす能力が向上(スナイパー問題再浮上)
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そここで開発はダイブタンクをバフしてスナイパー問題に対処
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以下ループ
尚、ライフウィーバーのライフグリップはシールドを貫通するのでダイブされたスナイパーを救い出すことにも使える
- マップにスナイパーのアングルを制限するに十分なカバーを設置するとなると開発コストやリソースがかかりすぎ、さらにペタル・プラットフォームのようにそれらの制限を回避できるアビリティもある。
- Seagullは、ラインハルト、ウィンストンといったヒーローのメタを多くのプレイヤーが楽しんでいる一方で、ロードホッグやドゥームフィストがメタとして敬遠される理由に開発は気付くべきであるとしており、目的はバランスを取ることではなく、ゲームが楽しくなるようにすべきと話している。
- 対スナイパーとのマッチでは、上で述べたように壁やシールドに隠れる時間が長くなり、戦闘におけるダウンタイムが多くなる。これにより、オーバーウォッチが他のゲームに比べて持っている魅力のひとつである「ダウンタイムの短さ」という長所が失われる。
- プッシュが不評で2CPが廃止された理由のひとつは、スナイパーから隠れるカバーの不足。ハバナ、サーキット、ジャンカー、NQS、コロッセオ以外にもスナイパー向きの「悪いマップデザイン」が多い。
- ワンショットコンボ、多すぎるバリア、スタンやCCなどゲームのフラストレーションに係わる部分は削除したにも関わらず何故かスナイパー問題については放置されている。
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スナイパー問題として以上のような点が挙げられており、投稿主の視点からその解決方法なども書かれていましたが、そちらに関しては長くなるのでこの記事では割愛しています。
先日の開発者Q&Aにもあったように、開発としては現時点でウィドウメイカーに変更の予定はなく、スナイパー問題に対しては、カバーやルート設置など様々な角度から対応したいと述べるにとどまっています。