[OWWC] 「過去最高の大会」となったOWワールドカップ・グランドファイナル決勝/3位決定戦のリポートと雑感

Overwatch 2

本日行われたオーバーウォッチ・ワールドカップ・グランドファイナル決勝と3位決定戦の模様をお伝えするリポートになります。

グランドファイナル決勝に駒を進めたのは、準決勝の韓国戦でGuxue対Fearessのウィンストン頂上決戦を制し、2018年大会決勝のリベンジを果たした中国。

そして準決勝のフィンランド戦では盛大なC9で会場を沸かせたサウジアラビアの対決となりました。

戦前の予想ではデスク陣4人全員が前回大会準優勝中国の勝利を予想するという、圧倒的中国有利な状況下での試合開始となりました。

開幕サモアは中国がドゥームフィスト構成を採用した一方で、それを読んでかサウジは初手クイーンを選択。日本戦でも散々苦しめられたQuartzはキャスディで出撃しますが、MmonkアナとGuxueドゥームのラインが刺さりまくった中国がまずは先制。

中国の開幕勝利に会場の中国サポーターからは凄まじいShyコール

第2ラウンドでトップメタのシグマ構成に戻したサウジは、今大会でEUのトップヒットスキャンへと登りつめたQuartzと、アジアを代表するヒットスキャンのShyが激しい撃ち合いの末に第一マップのサモアは中国が勝利。

BlizzConだけにマストピックとなったハイブリッドのブリザードワールドでは、開幕から中国はShyハンゾーがヘッドショットを連発、さらにLeaveゲンジの猛攻という島田メタで中国が最終ポイントを奪取します。

後攻のサウジはチーム唯一の現役リーガー、SirMjedのイラリーを軸に反撃を試みますが、世界三本の指に入るであろうGuxueウィンストンの前に為す術なし。中国がマップを連取します。

第3マップのスラヴァーサを落とすと後が無いサウジでしたが、序盤は勢いの止まらない中国がポイントを先制するも、ややアグレッシブすぎた中国相手にULT運用で上回ったサウジがポイントを取り返します。ここからじわじわと流れを手繰り寄せたサウジがポイントを連取して、この試合初のマップ勝利を手にします。中国はShyがソジョーンからソルジャーにスイッチしたことで、それまで見せていた「圧」が明らかに減少していました。

流れが変わったエスペランサでは、中国がソジョーン、ゲンジ、ドゥーム、アナ、ブリギッテ。サウジがシンメ、バスティオン、シグマ、ルシオ、バティというこの試合のデフォルト構成で両チームが出撃。中国はShyソジョーンとGuxueウィンストン、サウジはQuartzバスティオンとKSAAシグマを中心に激しい攻防を展開。序盤はサウジ、後半は中国優勢でロボットは進みますが、最後はサウジが踏みとどまり、スコアを2-2のタイに戻します。

文字通り最終決戦の地となったのはルート66。先攻サウジは再び姿を現したShyハンゾーに手こずりますが、ここでもULTを効率的に使い第1を突破。第2以降はほぼ両者が互角の戦いを演じますが、今大会を通じて試合巧者ぶりを発揮したサウジがオーバータイムで辛くもカートの納車に成功。

最終ゴールが絶対条件となる後攻中国は、開幕からウィンストンダイブの果敢な攻めで第1を攻略。第2もLeaveゲンジが相手バックラインを切り裂きカートを進めます。しかし、ここからルート66の鬼門ともいえる最終エリアが中国チームの行く手を阻みます。4分以上の余裕を残しながらも「受け」に転じると無類の強さを発揮するシグマ/バスティオンとイラリー神SirMjedの固い守りに苦しみ、最後はShyの貴重なワンピックからオーバータイムでポイントをもぎ取ります。

ワールドカップ史上最も熱い戦いとなったグランドファイナルは延長戦に持つれこむと、両チームのソジョーンがここでも激しい撃ち合いを演じサウジが第1通過を果たすものの、Guxueドゥームの拳でわからせた中国が先攻サウジの進軍を阻止。

どちらに勝利の女神が微笑むのかまったく予想のつかない最終中国の攻めは、再びGuxueがドゥームからウィンストンにスイッチ。双方絶対にファーストキルを許したくない手に汗握る攻防に決着を付けたのは元リーガーのKSAAシグマでした。Leaveゲンジが先落ちすると、立て続けにGuxue、Shyを落とされた中国は万事休す。サウジアラビアが本大会初出場ながら0-2からのリバーススイープで初優勝という離れ業で快挙を達成しています。

本大会前はダークホース評価どまりのサウジアラビアでしたが、グループステージで前回優勝の米国を2-0で下すなど、大会が進むにつれてその真価を発揮。昨季オーバーウォッチリーグ3位の実績を誇る杭州スパークの面々で揃えた中国相手にまったく引けを取らない個人技とチーム力の高さは、現役リーガーを多数招いた自国リーグでの研鑽の賜物でしょうか。

一方、熱狂的なサポーターの声援を背に、惜しくも敗れた中国は、これで3大会連続の準優勝となりますが、決勝進出の立役者の一人でもあるGuxueは、自身3個目の銀メダルということになります。

昨日の雑記でもお伝えしたように、来季からはサウジ資本のESL FACEITがOWプロシーンの運営権を獲得することが濃厚と見られています。来季以降、自国のワールドカップ制覇でさらなる盛り上がりが予想されるサウジが、今後のOWプロシーンの新たな震源地となっていくのかもしれません。

グランドファイナル決勝の前には3位決定戦でグループステージの再戦となるフィンランド対韓国戦も行われています。

準決勝で中国とフルセットの熱戦を演じた韓国は2大会連続での「屈辱」ともいえる3位決定戦となりますが、同じくサウジアラビア相手にフルセットまで戦ったフィンランドにとっては、予想外の躍進といってよいかもしれません。

試合は開幕のサモアで両者ほぼ互角の展開ながら、フィンランドがラマットラを出撃させるという奇策が功を奏して2-0で先取。グループステージでのリベンジに向けて弾みをつけます。

続くブリザードワールドは韓国が頼みの大黒柱Lipソジョーンのハードキャリーで貫禄を見せつけます。寡黙ながら常に頼りになるのがこの男。

折返しとなるフラッシュのスラバーサはシグラッシュ1のミラー対決で韓国がフィンランドをねじ伏せますが、ラウンドスコアは3-2という接戦。

次のプッシュで試合を決めたかった韓国ですが、一進一退の攻防が続くと、今大会絶好調のVestolaが元リーガーの意地を見せてフィンランドが最終マップへと望みを繋ぎます。

最終マップのサーキットでは、やや集中力を欠いた王者韓国相手にフィンランドが2分残しでチェッカー。攻守が入れ替わるとJOATS派生にシフトした韓国がゴールに突進。やはり韓国強しかと思わせた延長戦ですが、バスティオンで息を吹き替えしたフィンランドがオーバータイムのままゴール寸前までカートを進め、防衛でも踏みとどまったフィンランドが王者を圧倒、5大会連続出場を果たした同国初となるメダルを手にしています。

敗れた韓国は前回大会の3位を下回るまさかの4位。オーバーウォッチ2になってから初めてのワールドカップとはいえ、下馬評では圧倒的有利と思われた絶対王者はメダルすら手にすることなく帰国の途につくことになりました。

決勝の実況を担当したOW最高のキャスターUberも過去最高の大会と絶賛

実に4年ぶりの開催となったOWワールドカップですが、グループステージでの日本の躍進含めて、この4年間で世界の勢力図は徐々に変わりつつあるのかもしれません。これまでの大会のように、試合早々に結果が見えてしまう戦いはほとんどなく、”0″watch試合でもスコア以上に濃い内容の試合が多かったように思います。

W杯効果でOW視聴者数はTwitchだけで20万人超え

OW2リリースとOWLの事実上の終焉を受けて、無印時代のようにプロシーンに忖度したパッチインターバルは縮小化され、ここ最近は、より頻繁なパッチサイクルと振れ幅の大きいバランス調整により、これまでのように豊富な練習量とスクリムでメタを熟成最適化させ相手を圧倒するという戦略は取ることが難しくなっています。

来年以降もワールドカップが開催されるかは現時点ではまだわからないものの、来季は運営開催形式が様変わりするであろうトッププロのサーキットシーン含めて、今回のワールドカップを機に、OW競技シーンは新たな時代を迎えようとしているのではないかと思います。

脚注:

  1. メイ、シンメ、シグマ、バティ、ルシオ
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