オーバーウォッチやチーム対戦ゲームではつきものと言える「ワンサイドゲーム」ですが、元OWプロコーチのSpilo氏の見解とその対処方法が話題となっていたので、長尺ですが、若干難解ともいえる同氏のコメントをわかりやすくまとめました。
SpiloコーチはOWLロンドン・スピットファイアのアシスタントコーチとして活動した他、最近では元リーガーで現キャスターのJake氏と並んで、OWコミュニティではオピニオンリーダーとしても知られています。
One-sided matches in Overwatch 2, a thread:
One of the biggest complaints on Overwatch (heck team games in general) is how one-sided matches can be. I’ve spent over 10,000 hours coaching this game, and I may have some insight on why this is… pic.twitter.com/W2ehKnv7oB
— Spilo (@Coach_Spilo) September 4, 2024
私はオーバーウォッチのコーチングに多大な時間を費やしてきたが、ワンサイドマッチになりやすい理由についてはいくつか自分なりの見解がある。
まずはOW2では「5v5」という大きな問題があり、個々の責任が増えたことで、良くも悪くもプレイヤー個人の影響力が強く反映されている。
プレイヤー個々の主体性が増えるということは喜ばしい一方で、プレイヤーが何をすべきか理解できていないときは悲惨なことになるという典型例でもある。
OW1ではソロキャリーの可能性が少ないことへの不満が常に存在していた。OW2では個人の影響力が増したことで、これが改善された一方で、一人減ったことで運に左右されやすいという皮肉な状況も生まれている。
これは「一貫性」というテーマに繋がるが、一貫性は平均的なプレイヤーが解決すべき最大の問題のひとつになる。
「あるときは素晴らしいプレーをしても、別のときにはブロンズのようなプレーをしてしまう」
こういった不満はランク上位のプレイヤーからも頻繁に聞くことができるが、誰もが完璧な結果を常に出すことなど不可能であることに気づいていない。
皮肉なことに、一貫性を追求すればするほどパフォーマンスは不安定になる。
あらゆるプレイヤーにとって、「一貫性の欠如」こそが通常であり、これらの欠如は心理面よりも重要な要素によって引き起こされている。
例えばOW2において、マップの得意不得意、ヒーロープール、敵の構成といった事柄が大きく影響しているが、ヒーローひとりのできることが増えたことで、OW2では多少の改善が見られている。
とはいえジャンクラットOTPはジブラルタルではうまく機能しないし、ソンブラのOTPがボールを圧倒したとしても、優れたトレーサーに対抗することは難しい。
私自身はハードカウンターというアイデアには強く反対しているが、ソフトカウンターやマップが生むヒーローの得意不得意の違いはこのゲームの一部といえる。
つまり、プレイヤーはマップやチーム構成に応じてヒーローやプレイスタイルを適応させていく責任があるということ。
しかし、この点でプレイヤー、とくに新規プレイヤーの理解を助ける手段が欠けており、ヒーローを十分に理解していないプレイヤーにカウンターピックを強制したことで、台無しになった試合が数え切れないほどある。
こういったプレイヤー間におけるやり取りや力学は次にあげる重要なポイントにつながる。
OW2では数千人のプレイヤーをコーチングしてきたが、ワンサイドマッチに不満を持つ人達はティルトしやすい傾向にある。
プレイヤーのパフォーマンスは既に述べたように、個々のパフォーマンスだけでなく、マップ/ヒーローなどの影響を受けるため、不安定であることは避けられないが、一貫性のあるプレイヤーほど、その矛盾を受け入れ自分自身のプレーに集中している。
マッチの質に対して不満の声が大きいプレイヤーほど、自身の問題に気づかず悪化させている。黙ってやるべき仕事をした後は次の試合に進むべき。
チームメイトのパフォーマンスを最適化しようとして自身のパフォーマンスを悪化させるのは愚かであるだけでなく、ゲームを楽しもうとする他のプレイヤーの妨げにしかならない(これは一部の配信者にもあてはまる)。
気が散ればエイムは低下し判断力も鈍りゲームを楽しむどころではない。経験上、低ランクになるほどこの問題が顕著になり、低ランクのプレイヤーは自ら自身の足を引っ張っている。思い通りにならない味方がいるという理由で、怒鳴り、ティルトして途中で抜け出してしまう。
こういった問題は上位ランクでも存在するが、低ランクで目立つのは偶然ではなく、低ランクのプレイヤーほど自身の責任としてとらえることができず、そのせいで上達できない。
こういった問題を改善するためにゲームではウェーブリスポーンや活躍できるヒーローの幅を広げることで成果をあげている。
開発システムデザイナーのギャビン・ウィンター氏に「ティルトを予測して、連敗に迅速に対処できるか」について尋ねたことがあるが(ティルトしたプレイヤーのSR帯をすぐに落とせば勝ちやすくはなるが、SRが落ちたことで更にティルトするというジレンマも生じる)、現実的な問題として、ワンサイドマッチは対戦ゲームにおいて避けられないため、自分自身を助けるためにできることは以下のとおり。
1. 8時間の睡眠、栄養のある食事、水分補給を欠かさずカフェインを摂りすぎない。
2. 可能であれば毎日同じ時間帯にプレーし、上達したいのであればあまり熱中しすぎないこと。
3. ピックプールは3~2人程度にしてカウンターピックを追いすぎないこと。ヒーローの弱点、長所を理解して構成/マップごとに適した使い方を学ぶ。
4. PCから完全に離れて、待ち時間の度に1分の休憩をとること。散歩したり水分をとり、ティルトしている場合は長めの休息をとること。
5. コミュニケーションにはボイスチャットを使用してテキストチャットは切ること。気が散る場合はボイスチャットもミュートする。
6. 使用するヒーローごとに小さくても具体的な目標を設定し、少なくとも週に1回はこれを変更する。ランクマッチを試合ではなくスクリムと考えてプレーする。ベストを尽くして(負けても)次に進むこと。