オーバーウォッチのご意見番こと、元OWLコーチでコンテンツクリエイターのSpilo氏が、ヒーローシューターとしての覇権を握りつつあるMarvel Rivalsと、そのリリース以降、何かとやり玉に挙げられるOverwatchとの比較論争ついて、客観的な視点からこれらの2つのタイトルについて自身の見解を述べています。
I think we’d learn more about what Marvel Rivals does well if we stopped pretending that it does every detail better than Overwatch objectively, but why all the eye-check problems don’t seem to matter.
I’m listening to a lot of podcasts/videos on Rivals, and watching a lot of… pic.twitter.com/RH40biX1rB
— Spilo (@Coach_Spilo) January 8, 2025
Marvel Rivalsがあらゆる点でOverwatchを客観的に上回っていると思い込むのをやめれば、Rivalsが実際にどんな点で優れているのかをもっと理解できるようになると僕は思う。それなのに、なぜ多くの“見過ごされている問題”が軽視されているのだろうか?
Rivalsについてのポッドキャストや動画をたくさん聴いたり観たりして、いろんな議論もチェックしたけど、人々が言っていることとゲームの現実との間にものすごいギャップがあるのに驚かされる。それでもみんなこのゲームを楽しんでいる(自分も含めてね)。これはRivalsを批判するためじゃなくて、Rivalsを本当にすごいものにしている要素は何なのか、浅く安易な比較じゃなく、きちんと考えてほしいという呼びかけでもある。いくつか例を挙げてみよう:
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「Overwatchの“肉壁タンク”はもうウンザリ」と何年も言い続けてきたのに、Rivalsのタンクは「OverwatchのようにただのデカいDPSじゃないのが良い。DPSをやりたいならDPSをプレーするから」と同じ口で賞賛する人たちがいる。
だけどコミュニティ内では意見の食い違いもあって、特定のタンク(ストレンジなど)はばかげたほどのDPSを出せる上に(しかもかなりの生存能力を持っているように見える)。タンクの生存能力がサステイン1によって支えられているだけじゃないのか?という疑問だってある。
多くのサポート/タンクヒーローはソロでのプレイメイキング能力があまり高くないし、特に6v6だと個人のキャリー力や影響力が限られる。
それと同時に「Marvel Rivalsには5v5のレイドボスタンクはいないからキャリーしやすい」という意見を耳にするけれど、これはもっと詳細な分析が必要だと思う(ここで深掘りする時間はないけど)。
さらに「6v6だと下手な味方がいても負けにくい」という矛盾した意見もあるけど、結局プレイヤーベースが本当に何を求めているのか曖昧なんだ。で、6v6の話を続けると…
Marvel Rivalsの6v6は、実はOverwatchの6v6とほとんど共通点がない。
昔のOverwatchの6v6は、タンク同士のコンボが生むキル力や戦略性を楽しむ声があった(Rivalsはその要素がかなり少ない)。そして、DPS/サポートがタンク(たとえポケットされていても)をゴリゴリ削れるような厳しい状況も楽しさだった(Rivalsにはそういった要素もかなり少ない)。
とはいえ、戦闘がもっと密集して忙しくなるという点はメリットにもデメリットにもなりうるし、5v6の状況は4v5より有利な場合が多い…というのは単純に人数差の話でもある。Rivalsの場合、サステインやアルティメットのパワーがとても高いので、単なる6v6の人数差というよりは別の要素が大きい。(Overwatchのマップ構造が4v5でも意外とやれる状況にしていることにも言及したことがあるけどね)
サポートのデザインが「モイラ/マーシーの脳死プレー」よりマシという意見。
実際、大半のサポートヒーローのキットはOverwatchの脳死サポートより押せるボタンが多く、クローク&ダガーのようにかなり頭を使うキャラもいると思う。でも、実際はうまく機能しているかというとそうでもなくて、Rivalsのサポートの大半はいわゆる“ヒールボット”化しやすい(高レート帯でもそうなることが多い)。
もしプレイヤーが“回復行為”を本当に好んでいるなら、MRの開発陣は、プレイヤーが口で言うことよりも実際に望んでいるものを把握しているのかもしれない。つまり、僕が言いたいのは、プレイヤーの「声と本音」は食い違うことが多いってことなんだ。
「ロールキューはOverwatchを殺した、オープンキューこそ至高」という意見。
だけど、キューの待ち時間以外に完全なオープンキューを正当化できるほど強い理由を聞いたことがほとんどない。将来的に変わるかもしれないけど、どんな状況でも結局タンクは最低1人、サポートは最低2人必要になるのは明らかで、プロやランクマッチのメタはそれを裏付けている。
「オープンキューは自由度が高い」と言いつつ、実際に自分でプレイして観戦した95%以上の試合では1-3-2か2-2-2ばかりで、残りの5%は“オフメタ”をやらされるチームがかなり不満を持っていた。もし本当に“クリエイティブで素晴らしい”編成が有効なら、もっといろんな編成が見られるはずでしょ?
結局、「ロールを固定しないことが待ち時間の短縮につながっている」という点がオープンキューの最大のメリットなのかもしれない。さらに、初期のOverwatchと違ってMRのタンク/サポートは操作が単調ではなくてボタンが豊富だから、仕方なくロールを埋める場合でも退屈しにくい。それこそがRivalsの本当の強みなんじゃないか、ということにもっと注目すべきだと思う。
Rivalsのほうがバランスが良い、という意見。
Overwatch 2のバランスやパッチ方針には自分もこの2年間ずっと批判的だったし、今は少しマシになったとは思うけど、それでもゲームの弱い部分だとは思う。一貫したビジョンが見えにくいところがあった。
とはいえ、Marvel Rivalsのバランスは正直ひどいものだと思う。現状のヒーローには、大半のキャラを完全に上回る性能を持つキャラが数体いて、なぜこんな状態でリリースしたのか疑問に思うほどだよ。サステインはおかしいし、サポートのアルティメットは壊れている、オールレンジで無双するDPSもいる。
だからこそ、Overwatchのバランスを批判しておきながら、同じ口でRivalsを褒めちぎるのはちょっと違う気がする。
ただ、Rivalsのバランスが面白いのは、「多少ぶっ壊れてても気にしない」、「高いスキルを要するキャラはそれだけOPになれる可能性を持つ」という一貫した“バランス哲学”が見えるところ。それからランクマッチでヒーローBANを導入して、プレイヤー自身である程度バランスをとれるようにしているのも大きいと思う。
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総合的に見て、Marvel Rivalsは自分たちのゲーム哲学をしっかり前面に打ち出しつつ、コミュニティのフィードバックも受け入れて開発のビジョンに合う範囲で調整をしている。そこに自信を感じるし、その姿勢が非常にうまく機能している。僕たちコミュニティも、「なぜそれが上手くいっているのか、Overwatchではなぜ上手くいかないのか」をもっと考えてみるべきだと思う。ああ、もちろん Rivalsがまだ新しいゲームだっていう新鮮さも大きいとは思うけどね!