‐リーパーのレイスフォームを任意にキャンセルできるようなアビリティしてはどうか?こうすればレイスフォームで上手く攻撃を回避して素早く反撃することが可能になる。
:不可能な話ではないが、レイスフォームのように「全て使い切る(all in)」類のアビリティが存在することはゲームにとっても利点があり、他に似たようなアビリティではロードホッグの自己回復やラインハルトのチャージがある。
こういったタイプのアビリティをキャンセル可能にすることもできるが、オーバーウォッチのアビリティを興味深いものにしていることのひとつは、アビリティには敵が利用できる欠点を伴うことがいかに多いかという点にある。
ファラのUltが良い例で、ゲームでは最も大きいダメージを与える攻撃のひとつではあるが、使用中は無防備になるという弱点を伴っている。彼女のUltを的確に使うには、可能な限り多くの敵に、できるだけ多くのダメージを与え、使用後すぐにキルされないようバランスよく考える必要がある。プロ選手がエントランスから出てくるエネミーを狙ってホバリングしているのを見ることもあると思うが、そのポジションからUltを発動させることで、多くの敵にダメージを与えつつ、適切なカバーも維持している。
リーパーに関しては、レイスフォームはとても強力なアビリティではあるが、少なくとも攻撃を受け付けない間、彼もまた攻撃をすることができない。経験を積んだプレイヤーであれば、レイスフォームが終了し反撃できるまでの時間を計算することもできる。もし、レイスフォームを自由にキャンセル可能にするとしたら、おそらく攻撃可能になるまで、敵に十分な警告を与えるためのディレイ時間を設定する必要があるだろう。そうしなければ、画面上ではリーパーがレイスフォームであるにも関わらず攻撃を受けてしまうことになる(少なくとも誰かが遅延ゼロのインターネットを発明するまでは)。
繰り返すが、レイスフォームのキャンセルをまったく考慮してないわけではないが、何故我々がそのように考えるに至ったのかを説明したかった。そしてこれらのアビリティの「コスト」を取り除くことは必ずしもゲームにとってよいとは限らない。
—————
‐ロードホッグのワンショットキルを前提としたデザインは果たして必要なのだろうか?
ワンショットキル能力を有するキャラクターのバランス取りはとても難しいと思う。フックの射程を増やす一方で、ショットガンのダメージを減らし、セカンダリファイアにノックバック効果を付けるなどして、フックを敵の位置を操る能力にしてはどうか?
:以前はローホッグにフックされたターゲットがまず先に行動を起こせるような試験を行ったこともあった。
この実験ではエスケープ手段のあるヒーローをフックした時、キルされない限りは常にローホッグから離れることができた。一部のヒーローはエスケープ手段を使うことはできても、最終的にはフックによってポジションが変わったことでキルされていた(メイのクリオフリーズやリーパーのレイスフォームなど)。
全体的に見るとこの検証はロードホッグにとって著しく不利であったが、興味深いでテストでもあった。我々が実験で試したようにロードホッグのフックから多くのパワーを取り除いていたら、彼の存在価値を確実なものにするために何か他の部分を変えなければならなかっただろう。
‐それならジャンクラットのトラップのように、フックされた後もアビリティは使用できないが、スタンではなく武器による反撃だけでもできるようにしたらどうか?
:かつてそのことを考えたこともあったが、実を言うとまだ一度もそれを実際に試そうとしたことはなかった。試すこと自体は簡単だし、おそらく試す価値はあると思う。それによって、ロードホッグとターゲット双方がどんなフィーリングを得ることになるか確認してみよう。
【動画】
ブリザードのアーティストDavid Gibson氏によるメイのハイライトイントロの制作過程を記録したタイムリープ映像。