今回の最新メタリポートは Overwatch Winter Premierでのマッチ(1/1~4)を対象に集計されています。
MLG Vegasから数週間経った現在もプロシーンではタンクメタの勢いは衰えていないが、PTRでアナとDVAがナーフされロードホッグはフックの仕様が変更されている。これらの変更がそのままライブ鯖に導入された場合、タンクメタがまだ有効と考える人は少なくなるだろう。現行のメタにそれほど多くの変化が生じない可能性もあるが、PTRの変更がライブ鯖に反映されるまでのこの期間は、その後の変化と比較する上でも重要な時期となる。幸運にもOverwatch Winter Premierが先週スタートしたため、タンクメタの最終形態を見ることができるかもしれない。
TIERS
S Tier (>=95% Usage Rate): Reinhardt (96%)
A Tier (>80% Usage Rate): Lucio (92%), Ana (91%)
B Tier (>50% Usage Rate): D.Va (78%), Zarya (68%), Roadhog (66%)
C Tier (>20% Usage Rate): Tracer (25%), Soldier 76 (23%)
D Tier (>5% Usage Rate): Genji (15%), Mei (10%), Zenyatta (10%), Pharah (6%), Sombra (6%)
F Tier (<5% Usage Rate): Symmetra (3%), Reaper (3%), Hanzo (3%), McCree (2%), Torbjorn (2%), Winston (1%), Junkrat (0%), Bastion (0%), Mercy (0%), Widowmaker (0% – 0 picks at all)
今週はタンクメタのコアヒーロー全員(ラインハルト、ルシオ、アナ、DVA、ザリア、ロードホッグ)が概ね使用率を上げている。また、コンポジションもバリエーションが増える傾向にあり、これらのヒーローに対する潜在的なナーフの可能性が減っていると考えることもできる。彼らの使用率は依然として高いものの、いくつかの状況では他のヒーローが好まれることがはっきりとしてきた。
ディフェンスでシンメトラとトールビヨンを選択する場合、真っ先に切られるのがルシオである。ラインハルトは多くのシチューエーションで最もバランスよく選ばれるヒーローだが、不向きとされていたコントロールマップも含めてルールにとらわれないオールラウンドなヒーローになっている。アナはオフェンスでゼニヤッタを入れるラインナップで外されることが多い。これはCompexityがソンブラを、Faze ClanがShadowburn選手のゲンジを入れる時に多く採用していたが、こういったヒーローは主にディスコードが付いたターゲットを狙っていく。また、RenegadesのMangachu選手が同様の戦術でファラを多用したこともありソンブラ、ゲンジ、ファラはFティアーを抜け出している。そして、ロードホッグはトレーサー、ソルジャーを抜きコントロールマップでは最も使用されたヒーローとなっている。
昨年11月のDVAとソルジャーのバフ以降、我々はトリプルタンクメタに支配されてきたが、シンメトラとトールビヨンがルシオとアナの使用率を少しでも下げている事実はブリザードが目指す「多様性」に近づきつつあることを示している。
今後の変更で、タンクの使用率が減り、オフェンスではソンブラ、トレーサー、ゲンジが、ディフェンスではメイ、トールビヨン、シンメトラといったヒーローに用途が拡散していけば、今後のメタは「グー・チョキ・パー」といった三竦みの形になり、これまでの「グーとグー」がぶつかり合うだけのメタに変化が訪れる可能性もある。将来的にオフェンスのコンプはトレーサー、ウィンストン、そしてComplexityのようなソンブラのEMPを多用するためのコンプなどを中心に展開されるかもしれない。ディフェンスではルシオを抜いて、シンメトラとトールビヨンを入れるか、もしくはソルジャー、マクリー、ハンゾー、ウィドウメーカーといった十字砲火を浴びせるコンプを活用したりといったことになるかもしれない。そしてタンクはメタの中心になることはなくても、上記ラインナップにおいて欠かせない要素となるだろう(ロードホッグはフック2.0次第で姿を消すかもしれないが)。DVA祭りは去っても、今後も高台からディフェンスを追い払うことが可能だろうし、ザリアのオールラウンドな能力も衰えていない。ラインハルトはダイブコンプを偏重するチームでは必要とされないかもしれないが、チームの守り役として不可欠な要素であることに変わりはない。
以上はあくまでも私自身の私見であるが、私は特定のヒーローのスペシャリストの存在を押し上げ、本当の意味で多様性に富んだチームコンポジションをトーナメントにもたらしてくるバランス調整を支持したい。
皆さんも私の意見より、プロ選手が今回のPTRの変更をどう評価しているのか知りたいと思っているだろうから、ここでは数人の選手に現在のPTRについて話を聞いてみたい。
Shake – Complexity, Ana
僕はアナのグレネードのナーフは必要だったと思う。実際にナーフの効果が十分にあるかは分からないけど、それでもアナはまだ十分強力なピックであると思うし、おそらく今後もランクマッチで最も選ばれるサポートヒーローになるだろうね。ゼニヤッタは多分、特定のエリアで使用率が少し増えるんじゃないかな。それでも全体的に見ればやっぱりアナが最も強力なサポートだと思う。
アナのグレネードはこれまでよりも攻撃的に使われるだろうね。今現在は攻撃的、守備的どちらも同じくらいの用途で使っているけど、このままパッチが来たら味方よりもエネミーに対して効果的に使われると思う。グレネードはアナ本人への回復量は変わってないけど、味方へのヒール以外に、ルシオや味方のヒールから受ける回復ボーナスも減っている。彼女の生存能力とデュエル性能は落すべきではないと思う。
今回の変更は気に入っているけど、このナーフが十分かどうかはちょっと分からない。開発が急激に、そして過剰にアナを弱体化しなかったことには満足している。もしパッチ後もアナがオーバーパワードなら次はグレネードの持続時間を調整するのが正しいステップだと思う。
Hymzi – NiP, Roadhog
ロードホッグの仕様が今のPTRのままならホッグは死ぬ。Geoff (Goodman)はフック2.0を更に再調整すると言っていたし、ロードホッグのサバイバビリティを上げてくれる可能性もある。だからまだホッグにも仕事があるとは思うけど、開幕からホッグをピックするようなケースは80-90%減るよ(フックが今のように簡単に外れる仕様ならだけど)。そして、コンポジションに左右されないヒーローは常に存在するはずだからスクリムを通してそれを見つける必要がある。何かが起こるのは確実だろうし、率直に言って例えホッグが弱体化しても僕はまったく気にしないよ。
Hyp3d – Immortals, DVA
DVAの性能は見極めるのが難しいね。DVAからは遠ざかっているし。ただ、DVAはオフェンスで高台にいる相手チームの誰かを追い出すために有効だし、まだ彼女を見る機会は多くあるんじゃないかと思っている。例えばHollywoodとかDoradoのようなマップでね。コントロールはどうだろう分からないな。それから彼女はダイブコンプでも有効だと思うよ。ザリア=ゴリラのコンビの代わりにゴリラ=DVAやザリア=DVAみたいに。でも今の段階ではなんとも言えないな。
Surefour – Cloud9
ロードホックのフックはもっと速くプルできるようにしてから、コーナーに隠れたターゲットはプルできないようにすればよかったと思う。今のフック2.0の仕様では簡単にコーナーに隠れてフックを外せるからロードホッグにしてみれば@#$%だよ。だから素早くプルできるようにして、ターゲットもコーナーに逃れればフックを外せるようにするのがよいと思うね。
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今後弱体化が予想されるロードホッグをメインで使っているプレイヤーがその他にどういったヒーローをピックしているのかを示すデータです。NiPのロードホッグゴッドことHymzi選手のようなプレイヤーでもパッチ後の仕様次第では転職を迫られることになるかもしれません。
昨年10月以降のプロトーナメントにおいて、期間ごとに最も多かった特定のラインナップを示したデータです。一世を風靡したベイブレードコンプでも全体の11%であったのに対し、クアッドタンクコンプの占有率は33%と高い数値を示しています。ただし、プロトーナメントに限定されたデータである以上、優勝したチームが採用していたコンプがどうしても多くなるので、データサイズ的にも参考の域を出ないのではないかと思います。