[OWCS] 元OWリーガーのコメントをもとに振り返る、OWL時代とOWCSの選手給与

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OWL Paris Eternal時代にラインハルトメインとして活躍したBebest氏が、当時のサラリーと現在のOWCS選手給与水準についてコメントしています。

Small info about OWL/OWCS salaries
byu/HeadNo4379 inCompetitiveoverwatch

これによると、同選手はOWL当時月6000~7000ドル程度を手にしており、OWLでは最低年俸5万2千ドルが保証されていたとしています。さらに、リーグ当初はゲームハウスや住宅手当などの保障面でも充実していたことから、Bebest氏いわく、NAにいた当時は食費以外ほとんどお金を使うことがなかったそうです1

当時のOWL選手の年俸に関しては、当ブログの過去記事を振り返ってみると、OWL初年度の選手平均年俸は8~12万ドルであったと推定されています。

【OWL】リーグ平均年俸は8~12万ドル?/ PTRでロードホッグが一時利用停止

リーグ年俸の最低保証額5万ドルについては、OWL立ち上げ当初にBlizzard自ら公式に明らかにしており、物価高騰やヴァロラントがEsportsシーンを席巻するまでは、これがリーグのステータスのひとつにもなっていました。San Francisco Shockでデビューした当時17歳のSinatraaのサラリーが150,000ドルだったことから「150K」という有名なミームも誕生しました。

NRGがsinatraaと年俸15万ドルで契約

リーグ初年度のPhiladelphia Fusionには豪華なゲームハウスだけでなく、専属の腕利きシェフまでついていました。Dafranも所属していた、全米の大富豪Cox一族が実質所有するAtlanta Reignの、あまりにも豪華すぎるゲームハウスが話題になったこともあります。

ただし、年俸最低5万ドルが保証されたのは、最初の数シーズン程度で、その後はコロナ禍やOWL人気の低迷により、この最低保証額はなし崩し的に廃止となっています。当初は年間単位だった契約期間も数ヶ月単位の短期契約が中心になっていきました。

コロナ禍やリーグ人気低迷とともに平均年俸は減少していきましたが、トップクラスの年俸自体はリーグ創設当初よりも割高となっており、当時の記事を振り返ると、2022年には、選手補強費に120万ドル以上の予算を費やしているSティアのチームでは、20万ドルから25万ドルを稼ぐプレイヤーもいたと言われています。

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OWL解散後にプロシーンを引き継ぐ形で誕生したOWCSの現在の選手給与についてBenbest氏は、選手の市場価値にもよるものの、パートナーチームやサウジアラビアのチームなどでは月2000ドルから3000ドル、その他のチームはそれよりも少額か、まったく払っていないとコメントしています。同氏は先日までサウジ資本のTwisted Mindsでコーチを務めていました。

この辺の額については諸説あるため、噂の域を出ませんが、スポンサーや運営組織を持たないチームの選手は、大会賞金以外の給与保証がごく僅かか、もしくはまったく支払われていないとしても、現在のOWCSの市場規模を考えればやむを得ないことで、EMEAやNAではスポンサーを持たない小規模のチームがほとんどです。おそらく他の地域でも一部のトップチームを除けば同じような状況かもしれません。

昨年にはNA最大手と言ってよいNRG Shock(前身はSan Francisco Shock、現在はOWCS撤退)に所属していたRakattackの配信から、Kellanのサラリーが1700ドルであったことが明らかになっており、これは現実的に考えて月給であるとの見方が強いようですが、OWLの最低保証額5万ドルの月割4100ドルを大きく下回ります。OWLシーズンの実働期間を考慮すると、その差はもっと広がります。

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一方でサウジアラビアやそのほかの強豪チームに所属するトッププレイヤーの中には、OWL時代と変わらない水準のサラリーを得ているプレイヤーもいるとの噂もありますが、そういった選手は一握りではないかと思われます。

むしろ、Activision Blizzardの元CEO Bobby Kotick氏の人脈により、多くのプロスポーツチームオーナーや富豪、そして投資家などが参入していたOWL時代が異常だったとも言えますが、一方で、現在のOWCSでは当時ほどの過剰な投資は見られないものの、スポンサーシップの拡大や視聴者数の増加とともに、今後は選手の待遇面も含めた、より健全で現実に即したエコシステムとして成長改善していくことが期待されています。

脚注:

  1. 当時は全チームがBlizzardアリーナのあるLAを拠点にしていました。
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