[OW2] オーバーウォッチがマーベル・ライバルズとの競争で優位に立つ理由

Overwatch 2

ヒーローシューターとしてなにかと比較されがちなオーバーウォッチとマーベル・ライバルズですが、現在オーバーウォッチがマーベル・ライバルズよりも好調であるとする理由を、海外メディア「GameRant」が両タイトルの現状を踏まえて分析しています。

Why Overwatch 2 is Now Winning the Fight Against Marvel Rivals
There was a time where Marvel Rivals seemed like a potential Overwatch 2 killer, but lately, the tables have turned — an...
記事のまとめ
  • 執筆時のマーベル・ライバルズのSteam同時接続者数は約7万6,000人で、過去最大だった64万4,000人の12%。オーバーウォッチ 2は約3万6,000人で過去最大時の7万5,000人からの落ち込みは大きくない
  • OW2にとってSteamが最小のプラットフォームであることを考えると、全体的にはMRよりも勢いがあることを示唆している
  • MR不振の理由は大きく分けるとサポートヒーローの不足、バランス調整とマッチメイキングに対する不満、トキシック化が進むコミュニティの3つ
  • サポート不足についてはDPSヒーローが多すぎ、ロールキューがないため、4DPSといった歪な構成も頻繁に見られ、マッチの質に悪影響を及ぼしている
  • マッチメイキングとバランス調整については、EOMM(ランク昇格直前に敗戦を挟むことでプレイ継続を促すマッチメイキング)に対する疑念が強く、ルナ・スノーといったOPヒーローが手つかずな一方で、不自然なナーフも目立つ
  • トキシック化については暴言、途中退出、試合放棄に対するペナルティが甘く、新規の離脱を加速させている
  • 最近のOW2はスタジアム、新たな進捗システム、報酬の大幅強化などプレイヤーの体験強化改善が続けられている
  • OW開発はプレイヤーが待ち望むストーリー面での強化も不可欠としており、将来的に希望が持てるポジティブな空気が広がっている
  • MRは将来の大型コンテンツが不透明で、今後も同じシーズンが繰り返されるのではないかとの停滞感が感じられる
  • マーベル・ライバルズが勢いを取り戻し、両者が競う状況こそが、ファンと開発にとっても望ましい環境

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オーバーウォッチ2がマーベル・ライバルズとの競争で優位に立つ理由

『マーベル・ライバルズ』が登場した当初は、まさに当時の話題の中心だった。大胆なチームアップ・メカニクスへの称賛、美しいアートスタイルへの評価、そして愛らしい“ジェフ・ザ・ランドシャーク”の人気まで、街の誰もが最新のヒーローシューターの話をしていたと言っても過言ではない。これらは今も本作の強みであり、新ヒーローや新マップの投入ペースが見事である点も変わらないが、マーベル・ライバルズはかつての勢いを失っている。その一方で『オーバーウォッチ 2』は着実に自らを改善し続け、Steam上の同時接続では両者が驚くほど拮抗する状況を作り出した…これは総合的に見ればオーバーウォッチが大きくリードしている可能性を示唆するものだ。

Note:執筆時点でマーベル・ライバルズのSteam同時接続プレイヤー数はおよそ76,000人で、これは驚異的なピークを記録したプレイヤー数64万4,000人の約12%にあたる。一方オーバーウォッチ2は現在36,000人で、2年前にSteam版が登場した際のピーク(75,000人)からの落ち込みはそれほど大きくない。

多くのPCプレイヤーが今もBattle.net経由でプレイしているため、Steamがオーバーウォッチにとって最も人口の少ないプラットフォームであることを考えると、現時点でオーバーウォッチ 2が競争相手よりも勢いがあると見なして差し支えないだろう。仮にマーベル・ライバルズのプレイヤー比率がコンソールに偏っていたとしても、Steamでの下降傾向はしばしば全プラットフォームにおける広範な傾向を示すため、多くのコンソールユーザーも同作から離れていると推測できる。オーバーウォッチ 2にも相当規模のコンソール層がいることを考慮すれば、このジャンルのを代表するオーバーウォッチよりもマーベル・ライバルズが少なくともかなり下回っているという推測は自然だ。誤解のないように言えば、マーベル・ライバルズは一部のプレイヤーが誤って使う「死んだゲーム」ではない。Steamで1日あたりのピーク数は10万人(新ヒーロー実装時はさらに多い)という数字は決して馬鹿にできない。それでも、プレイヤー離れが続き底が見えない現状を踏まえると、マーベル・ライバルズで何がうまくいっていないのか(そしてオーバーウォッチ 2で何がうまくいっているのか)を見ておく価値はある。

2025年後半にマーベル・ライバルズが苦戦している理由

リリース初期の勢いに乗って試しにプレイしていたライト層が自然に離れていく現象に加え、マーベル・ライバルズの苦戦には三つの要因があり、それぞれが、ゲームの失速に等しく関わっていると言ってよい。その問題は次の通りだ。

  • ストラテジスト(サポート)系ヒーローの不足
  • バランス調整とマッチメイキングに対する疑念
  • トキシック化が進むコミュニティ

もっとも分かりやすい問題は、3つあるロールの1つであるストラテジストが急速にマンネリ化してきていることだ。5月のウルトロン以来、新たなストラテジストが追加されていない。不幸なことに事前のリークで挙がっている今後数シーズンの候補(ローグ、ギャンビット、デッドプール、エルス・ブラッドストーン)がストラテジストだとは考えにくく、先行きも明るいとは言えない。新規のストラテジストヒーローの不足に加え、このカテゴリーのチームアップ自体も選択肢が限られがちで、ストラテジストファンが楽しみにできる要素が乏しいのだ。結果としてマッチでのストラテジストメインが減少し、ロール上の重圧から元々不足しがちなバンガード(タンク)の存在も相まって、デュエリスト(DPS)4人編成のような歪なチーム構成が頻発してしまう。

こうした楽しくないマッチの現状は、マッチメイキングとバランス調整への不信とも結び付いている。NetEaseはEOMM(Engagement Optimized Matchmaking、ランク昇格の直前にあえて敗北を挟むことで、プレイヤーに継続してプレイさせるよう誘導するタイプの設計)を採用しているという見方を否定しているものの、コミュニティの多数派は「マッチングの感触が良くない」と感じ続けている。一方的な展開になる試合が多く、ランクモードなのに肝心の競技性が希薄だと感じられる場面が目立つのだ。バランス面でも、たとえばルナの弱体化までに不自然なほど長い期間が空いたことなど、特定のヒーローが長らく放置されている点を疑問視する声が相次いでいる。逆に、ウルトロンについては現状トリプルサポート構成でしか成立しづらいにも関わらず、最新アップデートで回復量を下げる狙いが示されたように、不要とも思えるナーフもしばしば見られる。

そして最後に、もしかすると最も深刻といえるのがコミュニティの問題だ。オンライン対戦ゲームにトキシック化が付きまとうのは珍しくなく、『League of Legends』のように新規プレイヤーに厳しいことで悪名高いタイトルもある。しかしマーベル・ライバルズでは、チャットでの暴言・途中離脱・意図的な試合放棄に対するペナルティが十分に機能していないと感じるプレイヤーが多い。味方が選んだヒーローが気に入らないというだけの理由で“試合を捨てる”例が驚くほど頻繁に起こり、時間を無駄にし、不当なSR損失を招いている。ヒーローシューターというジャンルは時間の経過とともに熟練層が上達し過ぎ、新規やカジュアルが楽しみづらく追いつきづらくなる課題を抱えているが、マーベル・ライバルズはこの問題に加えて、ランクでもクイックでもプレイヤーの振る舞いが刺々しくなりやすく、それがカジュアル層の急速な離脱をさらに加速させている。

この点についてRedditでは、オーバーウォッチも同じではないかとの意見もありますが、暴言対策については評価する声が多いです(中には不当なBANなど、むしろ厳しすぎるとの指摘もあり)。

2025年後半にオーバーウォッチ 2が好調な理由

対照的にオーバーウォッチ 2は近ごろでは成功を重ねている。その筆頭が新モード「スタジアム」だ。スタジアム・ドラフトには一時的なつまずきもあったが、モードの戦略性はファンの間で大ヒットとなった。スタジアム用クイックプレイ、専用マップ、アップグレード、追加ヒーロー、新しいメカニクスと、プレイヤーの体験を強化改善する変更が継続的に行われ、従来の対戦モードとは異なる新たな魅力を持つモードとして人気を高めている。これに加え、シーズン18のトレジャーボックスを大盤振る舞いするイベントや、充実したキャラクター進捗システム(マーベル・ライバルズには欠けている要素。ヒーローが”Lord”に到達すると、目指すべき目標に乏しい)を組み合わせれば、いまオーバーウォッチが好調な理由は明らかだ。

オーバーウォッチ 2にとってもう一つの追い風は、コミュニティに将来に希望を感じられる環境が整っていることだ。最近、チーム4(OW開発チーム)の開発者は「ゲームをフル回転させるには、ロア(世界観)とストーリーテリングの強化が必要だ」と繰り返し言及しており、これは長らくファンが熱望してきた課題への取り組みを示すものでもある。さらにシーズン20では“大きな何か”が予告されており、スタジアムでの成功実績があるぶん、“次の大型コンテンツ”の名にふさわしい仕上がりになるという期待がファンの間に生まれている。こうした空気は、マーベル・ライバルズのコンテンツクリエイターの一部がオーバーウォッチ 2へ回帰する動機にもなっているはずだ。マーベル・ライバルズの求心力低下を肌で感じると同時に、Blizzardのヒーローシューターの将来に対するポジティブな見方が広がっているからだ。

最近ではBogur、Flats、Eskayといった大物ストリーマーがOW2配信を一時的に再開しましたが、一部のストリーマーはライバルズ移行前の言動が理由で、OWコミュニティから大きな反発を受け、すぐにライバルズ配信に戻ってしまいました。

オーバーウォッチ 2が初期の頃に苦しんだ一因は「開発が耳を傾けていない」という感覚にあったが、ここ数ヶ月はむしろ状況が逆転しているように見える。一方のマーベル・ライバルズは、“次のビッグコンテンツ”が何になるのかが不透明で、今後のシーズンも同じことの繰り返しに感じられてしまう。加えて、評価が分かれるバランス調整や、トキシックな問題のへの対処が不十分なせいで、「プレイヤーの声が届いていない」といった不満が広がっている。とはいえ、マーベル・ライバルズにもまだ可能性はある。ライバルズが再び勢いを取り戻してくれることを願いたい。複数のヒーローシューターが競い合う状況こそ、ファンにとっても開発側にとっても健全なのだから。

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